パワレポ連動企画
Core i7-6700K全方位レビュー その1
~CPUコアとメモリ性能~
【ド本命登場!Skylake K(2)】
(2015/8/31 11:30)
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年10月号」の第一特集「システム一新でヌルサク環境をこの手に! ド本命登場!Skylake K」を掲載する。
第2回目では、旧世代のCPUと比べて「Skylake」がどのくらい進化したのか検証するため、Core i7-6700Kを使って実際のパフォーマンスを比較していく。まずは改良されたCPUコアと、新たに対応したDDR4メモリの速度について見てみよう。
この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年10月号は全国書店、ネット通販にて8月29日(土)に発売。大本命の新CPUを解説した第一特集のほか、HDDを飲み込む勢いの最新デバイスを紹介する第二特集「NVMe対応モデルが超速い!500GBオーバーの大容量モデルが超安い! とにかく今、SSDが欲しい!!」、新世代メモリを採用した高性能ビデオカード「Radeon R9 Fury X&Furyの実力に迫る!」、興味はあるけど、どうすればいいのか分からないというあなたに実際の乗り換え手順をご紹介!「安くて!速くて!自由に選べる!初めての格安SIM」、光る!回る!!ただのファンでも製品ごとに結構違う「個性いろいろ、選ぶ楽しみ 特選ケースファンギャラリー22」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
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-Core i7-6700K全方位レビュー その1 ~CPUコアとメモリ性能~-
Skylake Kの実力やいかに!?
Core i7-6700K 全方位レビュー その1
Skylakeでは、Haswell以来のCPUコアマイクロアーキテクチャ刷新が行なわれており、キャッシュまわりや、内蔵GPUコアも大きく改良されている。第4世代(Haswell)や第5世代(Broadwell)に比べてどのくらい進化したのか検証していこう。
CPUコアとメモリ性能
マイクロアーキテクチャ改良でAVX系処理性能が大幅に向上
SkylakeではCPUのマイクロアーキテクチャに大きな改良を加え、クロックあたりの性能を向上させている。その内容は8月18日(現地時間)からサンフランシスコで行なわれたIDF2015でようやく公開されたが、その内容は下に簡単にまとめた。
Skylakeも歴代のCPUと同じく、プログラムされたx86系命令を内部命令に変換し、アウトオブオーダーで(命令の並びを無視して)実行するスーパースカラ型の基本構造を採る。HaswellではAVX2をサポートしたこともあって内部命令変換後の部分を拡張し、並列実行性能を拡張させた。
今回は内部命令変換前の段階(フロントエンド)部分を拡張して命令取り込み性能を向上させるアプローチをメインに、アウトオブオーダー部のバッファ増量や、キャッシュ構造の改良によるデータロードや実行結果の書き出しも高速化して効率化を図っている。
Sandy Bridge | Haswell | Skylake | |
---|---|---|---|
アウトオブオーダーウィンドウ | 168 | 192 | 224 |
インフライトロード | 64 | 72 | 72 |
インフライトストア | 36 | 42 | 56 |
スケジューラエントリー | 54 | 60 | 97 |
整数演算レジスタファイル | 160 | 168 | 180 |
浮動小数点演算レジスタファイル | 144 | 168 | 168 |
アロケーションキュー | スレッドあたり28 | 56 | スレッドあたり64 |
ここでは、こうした改良がクロックあたりの性能をどのくらい向上させたかをベンチマークテストで検証していこう。世代間の比較を主目的としているため、もっともクロックが低いCore i7-5775Cに合わせて、4コアとも3.3GHzに固定した状態でのテストも行なっており、その結果を中心に見ていく。
Sandraのプロセッサーの性能テストは、整数演算や浮動小数点演算における実行ユニットの基本的な処理性能を見るためのものだ。ストレージやグラフィックスはもちろん、2次以降のキャッシュやメモリの性能もまず影響しない。結果は、整数演算性能ではHaswell/Broadwellよりも14%弱向上した一方、浮動小数点演算では、Haswellからの改良が入ったBroadwellには若干見劣りしている。
Sandraのマルチメディア処理は、AVX/SSE系のSIMD演算の処理性能を見るためのテストだが、こちらははっきりと旧世代からの進化が分かる。HaswellとBroadwellは似たようなスコアだが、それに対し、Skylakeでは整数演算系の項目で3割以上と大きく性能が向上しているほか、FMAを含む浮動小数点演算も2割以上向上した。
Sandraの暗号処理(AES256)でも、SkylakeはHaswell/Broadwellに比べて約35%も性能が向上している。暗号化処理命令の実行性能のほか、キャッシュやメインメモリ性能の影響も大きく、それが出ているのだろう。
リングバス構造も改良 キャッシュも高速化
Sandraのキャッシュとメモリーでは、転送データのブロックサイズを逐次変えてテストすることでキャッシュやメモリ性能を計測する。これを見ると、1次データ、2次、3次(LLC)いずれも旧世代から高速化しており、とくに2次と3次キャッシュは40%以上高速化している。
3.3GHzに統一した状態での折れ線グラフを見るとそれがよく分かる。
メモリーレイテンシは、2次キャッシュまではまったく変わっていないが、3次キャッシュ一杯のデータ量である8MBでSkylakeのレイテンシが低い。理由は不明だが、何かしらキャッシュ管理が効率化された可能性はある。Skylakeについては、1GB、つまりメインメモリのレイテンシの低さも興味深い。
DDR4-2133(CL=15)とDDR3-1600(CL=11)はサイクルタイムで比較すると若干後者のほうが短いのだが、はっきりSkylake+DDR4のほうが低いのは、メモリコントローラレベルでアクセスが効率化されている可能性がある。メモリ帯域については、PC4-17000とPC3-12800、利用したメモリの帯域差がそのままストレートに反映されている。
最後にアプリケーションレベルの比較を見てみよう。同一クロックに合わせて比較しても、CINEBENCH R15、PCMark 8、どちらのテストでもHaswellよりBroadwell、BroadwellよりもSkylakeのほうがはっきり高速化されていることが分かる。
オーバークロック耐性をチェック
クロックあたりの性能が高いSkylakeだが、14nmプロセスルールで製造されていることやCPU内蔵レギュレータ(FIVR)が廃止されたことなどから動作クロックを伸ばしやすい要素があり、OC面でも期待されている。
今回、Core i7-6700Kで倍率変更によるOCを軽く試してみたところ、電圧1.585V(定格では1.25V前後)まで上げて4.8GHzでのベンチマークテスト完走が確認できた。今回はミドルクラスのCPUクーラー(サイズ 虎徹)を利用したが、冷却を強化すればさらに行けそうな感触も受けた。
なお、Skylakeプラットフォームでは、システムのクロック体系が変更された。PCI Expressのクロックがベースクロックから独立したため、PCI Expressの動作に影響がなくなったのはメリットだ。
【検証環境】
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)、ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)
メモリ:センチュリーマイクロ Prototype(R.C.-B1)(PC4-17000 DDR4 SDRAM 8GB×2)、センチュリーマイクロ CAK8GX4-D3U1600(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×4 ※2枚のみ使用)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Samsung 840 PRO MZ-7PD256B/IT(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
電源:Sea Sonic Xseries XP2 SS-660XP2(660W、80PLUS Platinum)
CPU クーラー:サイズ 虎徹
OS:Windows 8.1 Pro Update 64bit版
3.3GHz設定:Turbo Boost 設定をOFFにし、すべてのコアの動作クロックを3.3GHz(内部倍率33倍)に設定
[Text by 鈴木雅暢]
【DOS/V POWER REPORT 2015年10月号は2015年8月29日(土)発売】
★第1特集「システム一新でヌルサク環境をこの手に! ド本命登場!Skylake K」
★第2特集「NVMe対応モデルが超速い!500GBオーバーの大容量モデルが超安い! とにかく今、SSDが欲しい!!」
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