パワレポ連動企画

温度センサーケーブルの自作やオペアンプ交換など、マザーボード小技集

【自作PCチューニング技術大全100(8)】

DOS/V POWER REPORT 2016年4月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年4月号」の第1特集「もう一手間、一工夫でアナタのPCがグッと使いやすく快適に!! 自作PCチューニング技術大全100」を掲載する。

 第8回目では、内蔵GPUとビデオカードでマルチディスプレイを構築する設定や、温度センサー用ピンヘッダに接続できるセンサーケーブルの自作方法などを紹介する。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年4月号は全国書店、ネット通販にて2月29日(月)に発売。第1特集のほか、第2特集は最新OSの現在の姿を解説する「リリース時とはもう違う。現在形、分かってる? Windows 10知っておきたい10のこと。」、まずはデータ保存から始めよう、低コストで導入できるモデルを紹介「転ばぬ先のバックアップ! 1万円台で買えるお手頃NASキット」、マルチディスプレイやライトゲームに、内蔵GPUからのパワーアップを目指す「チョイ足しアップグレードで効果大! 格安ビデオカードセレクション」、外出先でも2画面で!「いつでもどこでも手軽に使える モバイル液晶ディスプレイ大集合」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は「小型PC向けパーツ大百科」。メインマシンもサブマシンもコンパクトにまとめる時代です!


-自作PCチューニング技術大全100-
温度センサーケーブルの自作やオペアンプを交換するテクニック~マザーボード編 その4~


マシンの機能や性能を十二分に発揮させよう
マザーボード編

 マザーボードはPCの根幹となるパーツだけに、使い方しだいでは接続されるデバイスの性能や機能を活かし切れないこともある。

 ここではマザーボードに関する基本的な設定方法から便利機能の活用法、ちょっと上級のテクニックまで、使いこなしの技を紹介しよう。

28. 内蔵GPUとビデオカードでマルチディスプレイを構築する   難易度★★

UEFIで設定が必要
ASUSTeKマザーの場合は、UEFIセットアップで「iGPU Multi-Monitor」の項目を「Enabled」にすれば、内蔵GPUとビデオカード両方からの出力が可能となる

 1枚のビデオカードでマルチディスプレイ出力を行なうと、単体出力時に比べてゲームのフレームレートが低下する場合があるが、内蔵GPUと組み合わせたマルチディスプレイを構築すればその心配はなくなる。

 内蔵GPUとビデオカードのマルチディスプレイの設定はUEFIセットアップで簡単に行なうことができる。

29. PCI ExpressのGen設定を確認する方法   難易度★★

PCI ExpressのGenが確認できる
ASUSTeKマザーでは、チップセットのPCI ExpressのGen設定を行なうことができる。基本的にはデフォルトのAutoで問題ないが、何かのタイミングで2.0(Gen 2)に設定してしまっていることもあるので一応チェUEFIで設定が必要 ックしておこう

 PCI Express 3.0対応の高速なNVMe SSDを使用していても、マザーボードでPCI ExpressのGen設定が2.0になっていると性能をフルに発揮させることができない。明らかに性能が出ていないと思われる場合は、PCI ExpressのGen設定を確認してみよう。

 ASUSTeKマザーの場合は、UEFIセットアップのAdvancedメニューで確認することができる。

30. マザーボードに接続できる温度センサーケーブルを自作する   難易度★★★

 ASUSTeKのZ170-Aなどのマザーボードには基板上に温度センサー接続用のピンヘッダが装備されており、ここに温度センサーを装着すれば、付属ユーティリティで温度を計測することができる。だが、一部のモデルを除いて温度センサーは付属しておらずオプション販売もされていないので、存在は知っていても活用できないと考えている人が多いのではないだろうか。ここではこのピンヘッダを活用できる温度センサーケーブルの作成方法を紹介したい。なお、今回使用した部材はWeb上の電子部品ショップでも入手可能だ。

マザーボードの温度センサー用ピンヘッダを活用する
1. 温度センサーケーブルを接続
基板上のT_SENSORと記されたピンヘッダに温度センサーケーブルを接続する
2. ユーティリティで温度を確認
ハードウェアモニタユーティリティでセンサー温度と連動したファン制御をすることができる

温度センサーケーブルの自作方法

用意するもの
サーミスタ
サーミスタは10kΩの平行線タイプのものが使用可能。今回は石塚電子のATサーミスタ「103AT-11」を使用した。実売価格は200円前後
QIコネクタ
サーミスタを基板上のピンヘッダに接続するために必要な2ピンのQIコネクタ。実売価格はコンタクトピン付きで50円前後
精密圧着ペンチ
サーミスタをQIコネクタのコンタクトピンに圧着するためには精密圧着ペンチが必要。今回はエンジニアの精密圧着ペンチ「PA-20」を使用した。実売価格は5,000円前後
1.サーミスタをコンタクトピンに装着する
2.圧着ペンチで圧着
芯線をコネクタピンの芯線圧着部に合わせるようにサーミスタの先端をコンタクトピンに装着する
圧着ペンチで芯線圧着部と被膜圧着部を圧着、もう一方の芯線にも同様の手順でコンタクトピンを圧着する
3.コンタクトピンをQIコネクタへ挿入
コンタクトピンの圧着面と、QIコネクタの穴のあいている面を合わせて挿入すれば作業は終了

【問い合わせ先】

石塚電子:Webサイトのフォームから/http://semitec.co.jp/
エンジニア:maido@engineer.jp /http://www.engineer.jp/

31. テスト用スイッチでマザー単体テストを快適に   難易度★★

アイネックス
実験用スイッチ・LEDセット KM-01
実売価格:800円前後

セット内容は、Powerスイッチ×1、Resetスイッチ×1、Power LED×1、HDD LED×1、Speaker×1

 マザーボード単体でテストを行なうときに困るのがスイッチ類の操作。電源は電源スイッチ用ピンをマイナスドライバーなどでショートさせれば投入できるが、変なところをショートさせてしまう危険も。

 そんなときには、アイネックスから発売されている実験用スイッチ・LEDセットなどが重宝する。

32. 外付け無線LANアンテナでPCまわりをスッキリさせる   難易度★★

TFTEC JAPAN
ANT-SMA1
実売価格:500円前後

無線LANのアンテナ用コネクタに接続できるアンテナ。角度や向きの調整もできる。1本売りなので要注意

 マザーボード付属の無線LANアンテナのケーブルの多くは感度に合わせて設置場所を移動できるように長めになっている。これをスッキリさせたいと考えている人はTFTEC JAPANの無線LAN用アンテナ「ANT-SMA1」を利用するとよい。無線LANのアンテナ用コネクタにダイレクトに接続できるのでジャマになることはない。

33. RAMキャッシュを活用してSSDを高速化させる   難易度★★

操作も簡単
RAMCacheの設定はキャッシュするドライブとメモリ容量を指定するだけ。あとは自動で設定が行なわれる

 ASUSTeKのR.O.G.シリーズやPRO GAMINGシリーズのゲーミングモデルには、メインメモリの一部をSSDのキャッシュに割り当てることでSSDの読み書きを高速化させることができる「RAMCache」というユーティリティが付属している。

 このRAMCacheを使うと下のテスト結果のとおり、SSDのパフォーマンスが大幅に向上するので、メモリ容量を使い切れていないと思ったら試してみよう。

RAMCacheによるパフォーマンスの変化

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170 PRO GAMING(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial CT4K4G4DFS8213(PC4-17000 DDR4 SDRAM 4GB×4 ※2枚のみ使用)
グラフィックス機能:Intel Core i7-6700K内蔵(Intel HD Graphics530)
SSD:Micron Crucial m4 CT128M4SSD2(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit版

34. オペアンプを交換して音質の違いを楽しむ   難易度★★

DIP 8ピンのオペアンプが使用できる
交換できるオペアンプはDIP 8ピンタイプの2回路入りのものだ

 GIGA-BYTEのゲーミングマザーの多くは、オペアンプを交換することにより、音の傾向を変えることができる。今回の検証では、GA-Z170X-Gaming 5のオペアンプ(Texas Instruments OPA2134)を「Linear Technology LT1358」に交換してみたが、解像度が若干下がった感がある半面、中域の出がよくなった上に低域が引き締まったことで、女性ボーカルがよりつややかに聞こえるようになった。

 交換は下のとおり簡単なので、より自分に合った音を手に入れたい人は試してみてはいかがだろうか。

交換できる主なオペアンプ
メーカー名製品名実売価格
Analog DevicesAD827JNZ1,300円前後
Texas InstrumentsOPA2604AP400円前後
Linear TechnologyLT1358900円前後
新日本無線MUSES8920D500円前後

オペアンプの交換手順

1.オペアンプを取り外す
2.オペアンプを装着する
ICリムーバーのツメをオペアンプとソケットの両側の隙間に引っかけ、オペアンプをゆっくりと真上に引き上げて取り外す
交換するオペアンプの上面にある丸形のくぼみのあるほうをソケットの1番ピンに合わせ、八つの接点がすべてソケットの穴に入っているのを確認した後、ゆっくりと押し込む

[Text by 滝 伸次]


DOS/V POWER REPORT 2016年4月号は2月29日(月)発売】

★第1特集「もう一手間、一工夫でアナタのPCがグッと使いやすく快適に!! 自作PCチューニング技術大全100」
★第2特集「リリース時とはもう違う。現在形、分かってる? Windows 10知っておきたい10のこと。」
★特別企画「転ばぬ先のバックアップ! 1万円台で買えるお手頃NASキット」「チョイ足しアップグレードで効果大! 格安ビデオカードセレクション」「いつでもどこでも手軽に使える モバイル液晶ディスプレイ大集合」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「メインマシンもサブマシンもコンパクトにまとめる時代です! 小型PC向けパーツ大百科」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

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(AKIBA PC Hotline!編集部)