ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

驚きの移植度だが大勢の目に触れなかった傑作、キャリーラボ PC-9801版『ギャプラス』

アーケード版『ギャプラス』のポスターでもお馴染みのイラストが、PC-9801版パッケージでも使われています。今回パッケージ写真で使用したのは綺麗な3.5インチ版だったのですが、画面写真の撮影に用いたのは5インチ版で、実機はPC-9801VM21を使い縦画面回転も可能な液晶モニタに繋いでプレイしました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、『ハイドライド』をMZ-2000へ移植したり、『ジェルダ』などのシューティングゲームでも有名なソフトハウス・キャリーラボがアーケードからPC-9801へと移植した『ギャプラス』です。

タイトル画面などもしっかりと再現されています。上に見えるのが標準の自機で、下が変身したあとの3連射ができるファイターです。

 ゲームセンターに通っていた人であれば、パソコンを手に入れたらアーケードと同じゲームを遊びたいと思うのは、誰しもが通る道ではないでしょうか。そんな要望は、さまざまなソフトハウスによってかなえられていくのですが、難しいのがゲームセンターでは縦画面で遊ぶタイトルです。パソコンのディスプレイは横画面なので、移植に際しては画面右側の約1/4をスコア表示などで使用して縦画面風にするか、左右を黒くして中央部分のみ使う、またはパソコンに合わせて横画面仕様で移植してしまう、と色々な方法が採られてきました。X1版『ゼビウス』やPC-8801版『ディグダグ』、多機種で発売された『パックマン』といった作品は、プログラマたちの創意工夫があってこその移植作品といえます。

 しかし、そのような方法を採らなかったタイトルもありました。横画面のブラウン管モニタが主流だったこの時代に、敢えて縦画面表示を採用してまで移植度にこだわったタイトルが、今回取り上げたPC-9801用『ギャプラス』です。発売時期ですが、初めて広告が掲載されたのが1986年1月号の月刊誌『I/O』でした。この時点で新登場と書かれていることから考えると、リリースされたのは1985年末から1986年初頭にかけてではないかと推測されます。

 本作最大の特徴は、なんといってもディスプレイを縦に設置してプレイするという、縦画面仕様が標準となっている点でしょう。本作が発売された当時のディスプレイ事情といえば、パソコン用モニタは13インチ前後で横画面据え置きというのが当たり前。それを縦にして使うなどということは、(PC-100ユーザー以外は)ほぼ誰も考えなかったのではないでしょうか?しかし、その“まさか”を実現してしまうことで、アーケード版の雰囲気をそのままパソコンに持ち込むことに成功したと言えるのでした。

PARSEC 1は第1種族が登場して、ファイターに襲いかかってきます。敵編隊がすべて揃った後に左から2番目の敵を撃つとスペシャルフラグが現れますが、これを取らずにブラスター・ヘッドを運んできたクィーンに体当たりするとファイターが3連射に変身し、攻撃力が大幅アップします。

 とはいえ、当時のブラウン管モニタは縦置きにすると地磁気の影響を受けるなどして画面が紫になってしまう部分が出ることもあるなど、壊れてしまってもおかしくないもの。筆者も一時期、縦画面仕様のアーケード基板を購入して自宅の14インチテレビを縦置きで遊んでいたところ、画面端が紫色に変色し、徐々に映りがおかしくなっていった経験があります。

 そんなリスクを抱えてでも「アーケード版を忠実に再現する」ということで縦画面を標準設定にしたというのは、今考えても英断だったのではないでしょうか。横画面に回転させるというオプションも用意されていませんので、どうしても画面を横のままでプレイしたい場合は、首を傾けるしかありません(笑)。

 肝心のゲームですが、プレイヤーは自機であるファイターを操作して、ギャプラス軍団を全滅させればステージクリアとなります。『ギャラクシアン』や『ギャラガ』での敵は1種族のみでしたが、『ギャプラス』では第1種族から第3種族まで3種類がいて、1面から10面が第1種族、11面から20面が第2種族、21面から30面が第3種族、そして31面からは再び第1種族と、10面おきに変わりました。

チャレンジング・ステージでは敵を撃ってお手玉のように弾き、その回数でボーナスポイントが得られます。文字を揃えるとボーナスがもらえますが、他にも1UPしたり倍のボーナス得点をゲット出来たりと、種類はさまざま。

 『ギャラクシアン』や『ギャラガ』になかった特徴としては、敵のクィーンが運んでくるブラスター・ヘッドを回収することで、自機がパワーアップすることでしょう。チャレンジング・ステージ直前では、『ギャプラス』を印象づけるトラクタービームが上空に向かって延びるファランクス・ヘッドを回収できます。これを取ると自動的に前方にトラクタービームが射出され、その間は自機は無敵で左右にしか動けませんが飛来する敵をキャプチャすることが可能になりました。うまくいけば、最大で自機の左右に3機ずつ、合計6機まで合体させることができます。『ギャラガ』のデュアルファイターどころか、7機分のショットを一度に撃てるので敵を倒し放題になるのですが、そのぶん敵弾も避けづらく被弾しやすいという諸刃の剣状態になりました。なおブラスター・ヘッドは他にも5種類あり、いずれもプレイヤーが敵を攻撃するのに有利な効果が備わっています。

 ステージ(本作ではPARSECと表記される)3、8……はチャレンジング・ステージとなっていて、上空から飛来する敵をお手玉のようにして撃った数だけ文字が描かれていき、完成させるとイベントが発生しました。コツさえつかめば簡単なのですが、撃ちすぎると敵が遠くに飛んでいってしまうので、そこだけは要注意。

先に進むと、敵の攻撃も激しくなっていきます。コツは、とにかく止まらずに動きながら撃ちまくること。特に、スター・フラッシュは敵が出現し終わっても現れるので、完全に出なくなるまではスペースキーの連打を忘れずに。

 隠しフィーチャーも盛り込まれていて、条件を満たすことでファイターが通常の2連射から3連射へ変身するというテクニックのほか、ステージ開始時に条件に当てはまる特定の敵を倒すことでスペシャル・フラッグが出現して、これを取れば自機が1UPするなど非常に謎多きゲームでもありました。

早さに慣れてくれば、第2種族まではコンスタントに進めるようになるかと思います。このあたりから敵も本気を出し始めるので、油断は禁物。

 もちろん、移植されたPC-9801版でも隠しフィーチャーは同じように実装されているので、アーケード版と遜色ないプレイが楽しめます。筆者はアーケード版なら何とかPARSEC30を超えるくらいまではプレイ出来るのですが、PC-9801版はチャレンジング・ステージがアーケード版よりも体感的に難しく思えたり、面が進むと現れる黄色の弾スター・フラッシュがあまり脅威ではないといった違いを感じました。とはいえ、1984年にアーケードに登場した作品を、それほど時間をおかずにパソコンへと移植したのだから、細かい部分に注文を付けるのはヤボというもの。むしろ、PC-9801版はFM音源ボードPC-9801-26kに対応しているので、当時のPC-9801版ゲームにありがちなBEEP音ではなく、豪華なBGMで『ギャプラス』を楽しむことができたのは大きなメリットでした。

キャリーラボは工学社の月刊『I/O』誌にて、広告目次下のスペースを年間契約していたと思われます。ここに『ギャプラス』の広告が初掲載されたのが1986年1月号でした。その後、ソフトバンクの月刊誌『Oh!PC』に、大きく1ページ広告が載ります。下段左にはモニタを縦置きにした写真も掲載されていますが、明らかに横置き用のディスプレイを縦に配置しているので、とある方面からは怒られ案件だったのでは……と勝手に想像してしまいます(笑)。

 市場にはそれほど出回らなかったようで現在では見かけることがほとんどありませんが、今ならば液晶モニタを使えば簡単に縦画面でプレイすることも可能なので、興味を持った人はぜひ機会を見つけて遊んでみてください。

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