パワレポ連動企画

SSD/HDDを使いこなす小技集

【自作PCチューニング技術大全100(12)】

DOS/V POWER REPORT 2016年4月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年4月号」の第1特集「もう一手間、一工夫でアナタのPCがグッと使いやすく快適に!! 自作PCチューニング技術大全100」を掲載する。

 第12回目からは、SSDやHDDを効果的に使うテクニックを紹介する。Trimがちゃんと動作しているかの確認や、NVMeのSSDでOSを起動する際の設定などを解説する。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年4月号は全国書店、ネット通販にて2月29日(月)に発売。第1特集のほか、第2特集は最新OSの現在の姿を解説する「リリース時とはもう違う。現在形、分かってる? Windows 10知っておきたい10のこと。」、まずはデータ保存から始めよう、低コストで導入できるモデルを紹介「転ばぬ先のバックアップ! 1万円台で買えるお手頃NASキット」、マルチディスプレイやライトゲームに、内蔵GPUからのパワーアップを目指す「チョイ足しアップグレードで効果大! 格安ビデオカードセレクション」、外出先でも2画面で!「いつでもどこでも手軽に使える モバイル液晶ディスプレイ大集合」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は「小型PC向けパーツ大百科」。メインマシンもサブマシンもコンパクトにまとめる時代です!


-自作PCチューニング技術大全100-
SSD/HDDを使いこなすテクニック~SSD/HDD編 その1~


M.2やNVMeの活用法とは
SSD / HDD編

 M.2やNVMeなどの新規格を採用した製品の登場によって多様化が進んだSSD。これに伴い、従来のSerial ATA接続のSSD/HDDを利用するときとは異なったテクニックが生まれている。

 ここでは、素朴な疑問を解決する小技や性能を向上させる、実用的なテクニックなどを紹介しよう。

45. Trimの動作はツールでチェックできる   難易度★★

Trimの動作を確認できる
Trimがきちんと動作しているかは、「SSDTRIM check tool」を利用することで確認できる。このツールを2回実行して、2度目で「WORKING」と表示されれば、Trimがきちんと動作している。SSD TRIM checktool(http://blog.thecybershadow.net/2012/12/09/ssd-trim-check-tool/)

 Trimは、ファイルを削除した領域など不要になった領域の情報をSSDに対して通知する機能である。SSDはこの機能を利用することで、内部の管理効率を向上させることができ、長寿命化したり、速度の低下を抑制したりできる。このため、現在のSSDはTrimを標準サポートしている。Serial ATA接続のSSDだけでなく、NVMe対応のPCI Express接続のSSDやAHCIベースのPCI Express接続のSSDもTrimに対応している。

 また、Intel RSTを利用したRAID環境も「RAID 0」で利用する場合に限って対応。さらに、NVMe対応PCI Express SSDを利用したRAID 0環境も対応している。OS側もWindows 7以降のすべてのWindowsがTrimに対応している。

Windowsの各バージョンにおけるTrimの対応状況

46. NVMeのSSDを使うときはCSMの設定がポイント   難易度★★

Secure Bootは、Windows 8以降で利用できる。UEFIモードで利用する場合、非対応のOSは起動できなくなるので、Disabledに設定しておくと、ほかのOSを利用するときにトラブルを少なくできる

 SSDでOS起動を行なう場合のポイントとなるのが、UEFIの「CSM」(Compatibility Supported Module)の設定だ。とくにNVMe対応SSDは、UEFIモードのみでしかサポートされないため設定を間違えるとOSがインストールできなかったり、起動が行なえなかったりする場合がある。

 NVMe対応SSDでは、CSMの設定を「Disabled」にするか、「Enabled」に設定した場合は、ストレージの設定のみ「UEFI Only」または「UEFI First」に設定しよう。

CSMの設定が重要
SSDからOSを起動する場合、利用機器すべてがUEFI対応のときはCSMの設定を「Disabled」にする。ビデオカードなど一部の機器が非対応のときは、CSMの設定を「Enabled」にし、ストレージの設定のみ「UEFI Only」または「UEFI First」に設定するのがオススメだ

47. L字形のSerial ATAケーブルを活用する   難易度★★

L字形なら出っ張らずスッキリ
L字形ケーブルは、通常、マザーボードを購入すると付属品として同梱されている。ケース内の取り付け環境などに応じて、活用するとよいだろう

 ドライブベイにストレージを取り付ける場合に活用したいのが、コネクタ部分がL字形になっている「L字形ケーブル」である。通常のケーブルだとコネクタ部分がストレートになっているため、ストレージと接続した場合にL字形ケーブルと比較して1cmほどの出っ張りができてしまうが、L字形ケーブルならこの出っ張りがなくなる。とくに小型のケースを利用している場合は、設置スペースの関係でさまざまなパーツが込み合っている場合が多いので、便利に活用できるはずだ。

 L字形ケーブルは、マザーボードに同梱されていることが多いので、積極的に活用してほしい。

48. 前世代のマザーボードでPCI Express x4のSSDを活用する   難易度★★

今回テストしたパーツ
玄人志向
M.2(Type.M)→PCI-Express x4変換基板
実売価格:2,000円前後
PCI Express接続のM.2スロットをPCI Expressの拡張カード形状に変換するアダプタ。PCI Express 2.0/3.0のどちらでも動作するので、一つ持っておくと便利に使える

 Intel 100シリーズチップセット搭載マザーでは、M.2スロットがPCI Express 3.0 x4接続だが、前世代の9シリーズ搭載品では、PCI Express 2.0 x2接続が主流。このため、PCI Express 3.0x4接続のNVMe対応SSDは、本来のスピードを発揮できない。

 M.2のSSDをPCI Express x4の拡張カード形状に変更する製品を利用しよう。

接続方法の違いによる速度比較

【検証環境】

CPU:Intel Core i5-4690(3.5GHz)
マザーボード:ASRock Z97 Extreme6(Intel Z97)
メモリ:Micron Crucial BLT2K8G3D1608ET3LX0(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)
システムSSD:東芝 Q Series Pro HDTS325XZSTA(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit 版

49. SMR技術のHDDは用途を選ぶ   難易度★★

今回テストしたHDD
Seagate Technology
Archive HDD v2 ST8000AS002
実売価格:27,000円前後
SeagateのArchive HDD V2は、8TBという現在トップクラスの容量を実現しながら、安価ということで人気が高い。SMRを採用した数少ない製品の一つだ

 SMR技術を採用したHDDはGB単価が安価という点はメリットだが、特定の環境下では極端な性能低下が発生する可能性がある。このため、用途によっては、不向きなHDDとなる点には注意が必要だ。

 というのも、SMR技術は、記録データの一部を隣接トラックに重ね書きすることで高密度化を図っている。このため、記録データの書き換えが頻繁に発生するような環境下では、性能が著しく低下する場合がある。保存用途で利用するのがオススメだ。

このランダム速度が環境によっては大幅に遅くなる
SMRを採用したHDDは、従来のHDDとは異なり4KBのランダムライトの速度が速い。ただし、これはよい状態の話。最悪の環境下では、0.1MB/s以下まで低下することがある

50. PCI Express接続のSSDは電源プランの影響を受ける   難易度★★

 PCI Express接続のSSDは、チップセット側とCPU側のPCI Expressスロットに接続した場合で若干の速度差がある。これは、チップセット側のPCI Expressスロットが、チップセット自体の省電力機能の影響を受けやすいからだ。とくに4KBなどの小さなデータのランダムライトは、Windowsの電源プランの設定によって速度に差が出てくる。なお、Intel 100シリーズ搭載マザーのM.2スロットは、基本的にチップセット側のPCI Expressバスに接続されている。

 ここではNVMeのSSDをチップセット接続のM.2スロットに接続した場合と、変換カードを利用してCPU側のPCI Expressバスに接続した場合で、電力プランを変えたときの速度を比較した。

電力プランの違いによる速度の違い

【検証環境】

CPU:Intel Core i5-6600K(3.5GHz)
マザーボード:ASRock Fatal1ty Z170 Professional Gaming i7(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
システムSSD:CFD 販売 CSSD-S6T256NHG6Q(M.2[PCI Express 2.0 x2]、MLC、256GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit版

[Text by 北川達也 / 芹澤正芳]


DOS/V POWER REPORT 2016年4月号は2月29日(月)発売】

★第1特集「もう一手間、一工夫でアナタのPCがグッと使いやすく快適に!! 自作PCチューニング技術大全100」
★第2特集「リリース時とはもう違う。現在形、分かってる? Windows 10知っておきたい10のこと。」
★特別企画「転ばぬ先のバックアップ! 1万円台で買えるお手頃NASキット」「チョイ足しアップグレードで効果大! 格安ビデオカードセレクション」「いつでもどこでも手軽に使える モバイル液晶ディスプレイ大集合」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「メインマシンもサブマシンもコンパクトにまとめる時代です! 小型PC向けパーツ大百科」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

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(AKIBA PC Hotline!編集部)