買ってみたらこうだった!

Pentium 20周年モデル「G3258」のオーバークロック性能を試してみた

お手軽OCでどこまで遊べるのかテスト、“殻割り”も検証

Pentium G3258

 前回「殻割り」を失敗して関係者からもいろいろと言われた編集部の久保ですが……、めげずに今回はPentium G3258のオーバークロック性能を検証してみたいと思います。

 筆者はオーバークロッカーではないので、オーバークロック向けにベストなセッティングは正直わかりません。ということで、「PCパーツが好き」レベルの人間がどこまでお手軽に遊べるのか試してみました。

※製品の分解やオーバークロックはメーカー動作保証外の行為になります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。また、検証の数値等はテストに使用した個体のもので、全ての製品で保証されるものではありません。

Turbo Boost倍率とコアのクロック同期の設定を変更するだけのお手軽OC

今回変更するのは「CPU Core Ratio」の項目のみ
使用したASUS GRYPHON Z87

 今回マザーボードの設定で変更したのは、Turbo Boost倍率と、動作クロックの制御を全コア同期とした部分のみ。電圧等、他の部分はすべてAuto設定。電圧等の設定は詰めた方が良いのは当然ですが、今回はお手軽オーバークロックなので、基本的に設定はマザーボードにおまかせで行きます。

 どこまでを安定動作とするかは、「負荷がかかっても動作温度が85度を超えない」、「Prime95 version 28.5で一定時間高負荷をかけても落ちない」の2点で今回は判定しています。最高温度のリミットをどこまでとするかは好みにもよりますが、個人的には85度以下が安全なラインと判断しています。なお、室温25度(±0.2度)でテストを行いました。

 今回、ベースの機材としてマザーボードはASUSのGRYPHON Z87、メモリはCrucialのCT2KIT51264BA1339(DDR3-1333 4GB×2枚)を使用しています。


まずはリテールクーラーでテスト、4.1GHzまでは常用OK

リテールクーラーでも結構遊べる!
4.1GHz動作時の温度

 まずはリテールクーラーで限界値を探ってみました。温度はCore Temp 1.0 RC6で計測。Prime95を30分ほど動作させて、85度を超えないクロックを探っていきます。

 テストの結果、今回試した個体は4.1GHz動作がリテールクーラー使用時の上限値。4.1GHz動作時のCPU電圧は1.2034v。リテールクーラーでも4GHzを超えられるので、コストパフォーマンスを考えるとかなりの満足度。“4GHz”の数字を超えられるのはなかなか気持ちが良いものです。

 ちなみに、4.2GHzにすると安定動作はしていたものの、動作温度は85度に収まりませんでした。


大型クーラーでテスト、冷やせば4.5GHz動作も可能

クーラーはProlimatech Mega Shadow、ファンはBlacknoise B12-4(12cm/2,400rpm)を使用
4.5GHz動作時の温度

 次に、更に冷やせばより高クロックでの動作が可能なのかをテスト。

 クーラーにProlimatech Mega Shadow、ファンはBlacknoise B12-4(12cm/2,400rpm)を使用しています。12cm/2,400rpmのファンは結構な動作音がするので、常用は厳しい感じですが……。ガンガン冷やした際に安定動作するポイントを探ってみました。

 リテールクーラーから変更した結果、動作温度が85度に収まったのは4.5GHzまで。この時のCPU電圧は1.3749v。温度的には若干ゆとりがありますが、4.6GHz動作だと最高温度が86度に達して85度にギリギリ収まりませんでした。

 より高性能な空冷CPUクーラーや水冷クーラーを用いれば、静音環境でも4.5GHz前後での常用が可能そうな手応えです。CPU的にはまだ余力はありそうな感じ。


「殻割り」でグリスを交換、クロックは4.8GHzに

前節のクーラーとファンにGELIDのグリス「GC-Extreme」を使用
4.8GHz動作時の温度

 ここからはお手軽ではなくなってしまいますが、「殻割り」を行ってどこまでクロックが伸ばせるのかもチェック。

 ヒートスプレッダ内のTIM(Thermal Interface Material)が冷却のボトルネックになっている話は有名ですが、高性能グリスに変えた場合にどの程度変化があるかテストしてみました。

 標準のTIMのかわりにグリスはGELIDのGC-Extremeを使用。クーラーとファンは前節と同じProlimatech Mega ShadowとBlacknoise B12-4を使用しています。

 結果の方ですが、殻割り前から300MHzアップの4.8GHzまで安定動作が可能でした。ただし、CPU電圧は1.5269Vで、ギリギリな状態。電圧が1.5Vを超えたあたりからは危険といわれるので、5GHz近くで動作させる場合はUEFIの設定を詰めて、冷却もしっかりと行う必要がありそうです。

 なお、4.9GHzでもOSは起動はしましたが、長時間Prime95を動作させているとまれにエラーがでることがあったため、今回のお手軽オーバークロックでは4.8GHz動作が限界となりました。

・殻割りの効果

 「殻割り」の効果ですが、リテールクーラーを使って殻割り前と殻割り後を比較してみました。下の画像は4.1GHz動作時の温度を比較したもの。

4.1GHz動作時の温度比較
クーラーはリテールクーラーを使用
殻割り前の温度
殻割り後の温度

 アイドル時はあまり差がありませんが、高負荷時の最高温度の差は15度と効果は歴然。知識としては知っていたものの、実際にやってみると「これはすげーーーー!!!!」と驚きます(笑)。かなりリスクが高い行為ですが、殻割りをする人の気持がよくわかりました。


素の状態でもお手軽に遊べるPentium G3258

 今回Pentium G3258で遊んでみて、素の状態でもなかなかのオーバークロック性能があることがわかりました。税込み8千円以下で購入できるCPUとしては結構遊べて満足度は高め。

 お手軽に5GHz動作といかないところはちょっと残念ですが、しっかりと設定を詰めれば5GHz動作も可能かもしれません。

 絶対性能を求める場合や、実用品的な面では価格なりなところもありますが、趣味のPCパーツとしては触っていて面白いCPUです。