買ってみたらこうだった!

FX-9590をまだまだ使いたい、M.2 SSD/USB 3.1対応マザーで延命

Socket AM3+環境で最新パーツの性能が引き出せるのかテストしてみた text by 瀬文茶

 どうも、瀬文茶です。

 今回は、最新規格に対応した最新鋭Socket AM3+マザーボードに、最上級CPUであるAMD FX-9590を搭載。TDP 220WなCPUの実力を再確認するとともに、新たに使えるようになったM.2スロットとUSB 3.1ポートの性能がどの程度引き出せるのかチェックしてみました。

 足回りを強化することでSocket AM3+環境を延命できるのか、テストの模様をお届けします。

AMD FX-9590と新たにM.2/USB 3.1をサポートした990FXマザーでテスト

AMD FX-9590(水冷ユニット付属モデル)

 今回用意したCPUは、Socket AM3+プラットフォーム向けCPUの頂点に位置する「AMD FX-9590」。第2世代Bulldozerこと「Piledriverアーキテクチャ」を採用する8コアCPUでありながら、定格で4.7GHz、TurboCORE時には最大5.0GHzに達する超ハイクロック動作をTDP 220Wという発熱量と引き換えに実現したスペシャルなCPUです。

 2016年現在、AMD FX-9590はCPU単体で税込30,000円前後という価格で販売されています。なお、筆者が購入したのは、CPUにCooler Masterのオールインワン水冷ユニットがセットになったスペシャルパッケージ(当時36,000円前後)でしたが、現在は販売終了となっています。

AMD FX-9590。AMD FX-8300シリーズと同じコアをベースに、発熱と消費電力を厭わず性能向上を狙ったロマンに満ちたCPU。
CPU-Z実行画面。最大動作クロックは5.0GHzに達する。
Cooler Masterのオールインワン水冷ユニット。120mmラジエーターに2基のファンを搭載。

 今回、このAMD FX-9590と組み合わせてテストを行うマザーボードはGIGABYTE GA-990FX-Gaming。AMD 990FX + SB950チップセットを搭載し、PCI Express 2.0 x4接続とNVMeをサポートしたM.2スロットと、10Gbps対応のUSB3.1ポートを備えた最新鋭のSocket AM3+マザーボード。実売価格は税込21,000円前後。

 ポイントは、最新規格であるM.2やUSB 3.1をサポートしたこともさることながら、要求電力の厳しさから対応するマザーボードの少ないTDP 220WのAMD FX-9590とその下位モデルAMD FX-9370をサポートしている点にあります。最新規格と最上位CPUを使えるというのは魅力的です。

GIGABYTE GA-990FX-Gaming
M.2スロット。SATA 6Gbps(SB950チップセット)またはPCI Express 2.0 x4(20Gbps)接続が可能。対応カードサイズは42/60/80mm。
USB 3.1ポート。バックパネル部分にType-CとA端子(Standard-A)をそれぞれ1ポートずつ備えている。

・今回のテスト環境
 CPU AMDFX-9590
 マザーボード GIGABYTEGA-990FX-Gaming
 メモリ DDR3-1600 4GB×4
 ストレージMZ-V5P256
 OS 日本マイクロソフトWindows 10 Home 64bit
 グラフィックスドライバRadeon Software Crimson Edition 16.3.2
 室温 28.0±0.5℃

NVMe対応SSDでM.2スロットのパフォーマンスをチェック

 M.2スロットの性能チェックに用いるのは、M.2接続のSSD「Samsung SSD 950 PRO」。

 PCI Express 3.0 x4(32Gbps)での接続とNVMeに対応したSSDしており、今回用意した256GBモデルのMZ-V5P256は、シーケンシャルアクセスで読出し2,200MB/sec、書込み900MB/secという圧倒的な転送速度を実現しています。

Samsung SSD 950 PROシリーズの256GBモデル「MZ-V5P256」。M.2(PCI Express x4)接続、NVMe対応。
GIGABYTE GA-990FX-GamingのM.2スロットに搭載したところ。
CrystalDiskInfoで表示したSSD 950 PRO。対応転送モードの左側の表示が「PCIe 2.0 x4」となっている通り、GIGABYTE GA-990FX-Gamingの仕様によりPCI Express 2.0 x4での接続となっている。

 今回はMZ-V5P256をシステムディスクとして利用、Windows 10 Proをインストールした状態でCrystalDiskMarkを実行して、パフォーマンスを測定してみました。

CrystalDiskMark実行結果

 結果として、書込みはスペック値の900MB/secを超える970MB/secという値を記録した一方、読出しに関しては約1,670MB/secとスペック値を500MB/sec以上割り込む結果となりました。GIGABYTE GA-990FX-GamingのM.2スロットはPCI Express 2.0での4レーン接続となっているため、帯域は理論値で20Gbps(2GB/sec)。この制約があるため、速度が頭打ちとなっているようです。

 NVMe対応SSDの性能をフルに発揮できないのは残念ですが、SATA 6Gbpsを大きく上回る高速なストレージがSocket AM3+環境で利用できるようになったことは間違いありません。M.2ポート、そしてNVMe対応SSDが使えるようになったことは、ストレージ性能に不足を感じていたSocket AM3+ユーザーにとって、魅力ある進化であるといえるでしょう。

USB 3.1ポートのパフォーマンスを外付けHDDケース+SSDでチェック

 続いてUSB 3.1ポートの性能をチェックするのに用いるのは、2.5インチHDD/SSD対応の外付けケースと、SATA 6Gbps対応SSDの組み合わせ。

 USB 3.0やUSB 3.1 Gen1の5Gbpsという帯域はSATA 6Gbpsよりも細いものでしたが、GIGABYTE GA-990FX-Gamingに搭載されたUSB 3.1 Gen2ポートでは10Gbpsの帯域を実現。これにより、SATA 6Gbps対応のSSDを外付けしても十分なパフォーマンスを発揮することが期待できます。

USB 3.1 Gen2対応の2.5インチHDDケース「玄人志向 GW2.5FST-SU3.1」
テストに用いたSATA 6Gbsp SSD「CSSD-S6T256NHG6Q」。転送速度は、読出し530MB/sec、書込み490MB/sec。

 今回のベンチマークでは、外付けケースを使ってUSB 3.1ポートとUSB 3.0ポートにそれぞれ接続した場合と、SSD単体でSATA 6Gbpsポートに接続した場合の3パターンにおいて、CrystalDiskMarkを実行してみました。

USB 3.1接続時
USB 3.0接続時
SATA 6Gbps接続時

 USB 3.1接続時のベンチマークでは554MB/sec、書出し510MB/secを記録。読出し400MB/sec弱、書込みも300MB/sec弱に留まるUSB 3.0接続の結果を大きく上回り、SATA 6Gbpsに匹敵するパフォーマンスを発揮しています。

 SATA 6Gbps対応SSDのパフォーマンスをほぼ維持したまま外付けを可能にするUSB 3.1は、大容量データのやり取りに高速かつ大容量なストレージを求める方にとって、手軽で有用なインターフェースとなるでしょう。

Socket AM3+の頂点たるAMD FX-9590の実力

 最後にAMD FX-9590のパフォーマンスをチェックしてみましょう。今回はCPUベンチマークの定番、CINEBENCH R15を実行してみました。

CINEBENCH R15の実行結果

 AMD FX-9590の8コアすべてを活用するCPUテストでのスコアは719cb。8コアCPUだけあって、そのマルチスレッド性能は価格的に競合する最新世代のCPUと比べても負けていません。一方、CPU(Single Core)テストのスコアは114cbとそれなり。だいたいIntel Core i7-2600Kよりわずかに低いと言ったところ。

 CPU性能を期待する場面が、動画のエンコード作業のようにコア当たりの性能よりマルチスレッド性能が効く作業ばかりという方には、最新の同価格帯製品を上回るAMD FX-9590のパフォーマンスは魅力と言えるかもしれません。

 さて、TDP 220Wという数値から、その発熱と消費電力が気になられる方もおられるかと思います。

 CPUの発熱についてAMD OverDriveで確認したところ、CINEBENCH R15実行中に最大で「熱マージン」が22℃まで減少、この際Cooler Masterのオールインワン水冷の冷却ファンの回転数は約1,800rpmに達しました。アイドル時の熱マージンは62℃程度なので、40℃程度温度が上昇しているようです。

 「熱マージン」とはCPUの過熱を理由にCPUクロックや電圧を引き下げる動作が発生する基準温度までの余裕を表していますが、筆者の検証だと熱マージンが10℃未満となるような状況ではFX-9590の動作が不安定になる場合があったので、CPUの冷却については相応に気を使う必要のあるCPUであることは間違いありません。

CINEBENCH R15 CPUテスト実行中の熱マージン
アイドル時の熱マージン

 消費電力については、以下にCINEBENCH R15のCPUテストで使用するスレッド数を1~8に制限して実行した時の消費電力をグラフ化してみました。

使用スレッド数毎の消費電力

 アイドル時は67W、フルロード時(8スレッド)は305Wという結果です。率直に言って消費電力は高いです。現在の競合製品との大きな差はここにあると言ってもよいでしょう。

 今回はあくまでテストなので、500Wの80PLUS TITANIUM認証電源を使いましたが、TDP 220WなCPUにミドルレンジ以上のGPUを組み合わせて載せて常用するなら、総出力750W以上かつ大容量を供給できる12V出力を備えた電源ユニットは欲しいところです。

TDP220W級CPUのロマンを追求するなら最新鋭Socket AM3+マザー、延命に有効

 競合製品に引けをとらないマルチスレッド性能を持つTDP 220W級CPUと、M.2スロット、NVMe、USB 3.1をサポートした最新鋭Socket AM3+マザーボードの組み合わせ。なかなか魅力あるものではないでしょうか。

 CPUクーラーや電源ユニットを相応のものにする必要があるので、それなりにコストは掛かってしまいますが、とてもロマンのある構成だと筆者は思います。

 さて、真面目に言えば、今回のテストに用いたGIGABYTE GA-990FX-Gamingをはじめとする最新鋭のSocket AM3+マザーボードは、既にSocket AM3+プラットフォームで自作PCを組まれている方にとって、最新規格に対応した環境を比較的安価に入手する手段となります。

 特に、NVMe SSDを起動ドライブにできるようになったことは大きなポイントです。CPU性能に不満が無いのであれば、足回りを一気に近代化するアップグレードとして、検討に値するものであると言えるでしょう。

(瀬文茶)