借りてみたらこうだった!
MMORPGは内蔵GPUでどこまで遊べる?ロースペックPCで『エルダー・スクロールズ・オンライン』を遊んでみた
Core i3-6100とA10-7860Kでテスト、画質を絞れば意外にイケる text by 加藤勝明
2016年8月22日 00:01
「Oblivion」、「Skyrim」の世界観をオンラインRPGにした『エルダー・スクロールズ・オンライン(The Elder Scrolls Online:ESOと略)』。
前回のレビューでは、最高の没入感を求めてゲーマー向け高リフレッシュレート液晶からフルHD3画面構成まで、Core i7-6700KとGeForce GTX 1080というほぼ最強といってよい構成でいろいろと試してみたが、今回は真逆の最小構成となる内蔵GPUでどこまで遊べるのかを検証してみたい。
結論から言うと、内蔵GPUでも設定次第でESOはそこそこ遊べる。テストに使用したのは「Intel Core i3-6100」と「AMD A10-7860K」の2製品で、詳細は以下の検証結果を確認してもらいたい。
ESOのCPU負荷は意外に軽め、現行の2コア4スレッドCPUであれば十分に遊べる
最近のゲームはCPUもGPUもフル回転させて動かすタイトルが多いが、ESOのゲームエンジンは「Oblivion」や「Skyrim」に近い挙動のものが使われているようで、GPU側の性能が重視されるようだ。また、ある程度の性能が満たされると、それ以上PC側の性能を上げてもフレームレートなどがリニアに向上しなくなる傾向もある。
若干癖のある挙動なのだが、GPUさえある程度の性能があればしっかり動いてくれる特性もあり、Core i3+GTX 750Ti程度のスペックでも、フルHDであれば快適に遊べるのだ。この点はロースペックPCユーザーでも遊びやすいタイトルといえる。
下の図はESOをプレイしている最中のCPU占有率をタスクマネージャでチェックしたものだ。ビデオカードにGeForce GTX 1080を使用し、画質設定は最高、解像度はフルHDに設定して計測している。
4コア8スレッドのCore i7だと、ほぼ1コアに処理が集中し、残りの7コアは軽い負荷がかかる程度といった状態。2コア4スレッドのCore i3では各コアの負荷が平均して50%程度、負荷が高いシーンでも一瞬80%近くまで上がる程度で収まる。
ESOの推奨環境は4コアCPUと明示されているが、ハイパー・スレッディング付きの2コアCPUでも、CPUの基本性能が良ければ負荷的には問題ないようだ。
Core i3-6100の内蔵GPUでもESOはギリギリ遊べる
前置きが長くなったが、ローエンド環境となる内蔵GPUでESOを動作させた際の様子を紹介しよう。
まずは税込12,800円前後で流通しているCore i3-6100での結果だ。
Skylake世代のCore i3からi7にはもれなく「Intel HD Graphics 530」が搭載されているが、内蔵GPUの常として、メモリのクロックが高い方が描画性能が向上する。そこでメモリはDDR4-2133ではなくDDR4-2400のモジュールを使用している。なお、マザーボードは前回のレビューと同じくMSI H170 GAMING M3を使用した。
内蔵GPUでプレイする時には画質は控えめが鉄則。解像度はフルHDのままだが、画質は“低”に設定してプレイを開始。
万全を期したつもりだったが、筆者がプレイした環境では、垂直同期をオフにしないとフレームレートが24fpsでキャップがかかってしまった。画質を設定したら忘れずに垂直同期を切っておこう。これでだいたい30~45fpsの間でプレイできる。
プレイを始めてすぐ画質“低”設定では妙にドット感が強いことに気がつくだろう。ESOでは画質を下げると、「サブサンプリングの品質」という設定が落ち、結果として3D描画の部分だけ解像度が落ちる(UIは高解像度のまま)。
ここを「高」にすれば、3D部分もドットバイドット表示になる。ただし、この設定だとパワー不足になって画面のカクつきが激しくなるため、同時に影をオフにしてバランスを取ろう。このカスタマイズだとプリセット“低”設定時に近いフレームレートが期待できる。
快適とは言えないが、Core i3の内蔵GPUでもなんとか遊べそうなラインには到達できそうといったところではないだろうか。
APUなら画質を抑えるとフルHD/60fpsでも遊べる
Core i3-6100だとサブサンプリングという名の擬似的解像度を下げても若干GPUが弱い印象を受けた。だがAMDのAPUは、Intel製CPUの内蔵GPUよりも強力なGPUが内蔵されている。こちらでもESOに挑んでみよう。
今回使用したパーツは「A10-7860K」で、販売価格は税込12,200円前後。これにDDR3-2133メモリ、ASUS製のSocket FM2+マザー「A88XM-A」を組み合わせて使用している。
CPUはCore i3-6100より数百円安く、マザーもAMD向けの方がわずかに安い(装備や付加価値にもよるが……)。今回のように内蔵GPUが活きる場面ではAPUのコスパの高さには大いに期待できる。
APUにすればもしかして……と思ったが、プリセット“中”以上の設定だと画面がカクついてプレイしていてストレスがたまる。APUを使う場合でもプリセットの“低”画質で攻めるのが良さそうだ。
プリセットの“低”画質であれば、GPUが強力なだけあって、フィールド上でも60fps以上、街等の場所であっても60fps前後(一瞬50fps前後まで下がる時はある)のフレームレートが見込める。
描画距離の短いダンジョンならばさらにフレームレートが期待できる。ESOを内蔵GPUだけで攻めるなら、画質“低”設定という限定付きだがAPUの上位モデルにOCメモリの組み合わせがオススメだ。
内蔵GPUでもESOは思ったより遊べる、内蔵GPUだけで遊ぶならAPUがベター
以上のように最新CPU/APUの内蔵GPUなら、ESOのプレイは十分可能だ。
画質はどうしても低めの設定となるため、一昔まえのゲームのようなぼんやりとした印象になるものの、内蔵GPUでも思った以上に動く。お金をかけずにESOが遊びたい!という人には朗報といえるだろう。A10クラスのAPUであれば、画質設定次第で60fpsで遊ぶことも可能だ。
最高スペック環境、最低スペック環境と2回に渡って紹介してきたが、次回はESOをフルHD環境で快適に遊ぶにはどのあたりのPCパーツがコストパフォーマンス的に良いのかを検証し、その模様をお届けする予定だ。
[制作協力:DMM GAMES]
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