借りてみたらこうだった!
安価なSSDでもSATA最高クラスの速度が出る時代に、Plextorのバリューモデル「S3」をテスト
TLC NAND採用、2.5インチ形状とM.2形状の2タイプ text by 加藤勝明
2017年6月13日 07:01
動画編集のように巨大なファイルをゴリゴリと読み書きするなら、PCI-Expressで接続するNVMe接続のSSDが最適だが、SATA接続のものに比べると数千~1万円程度割高。それほど強烈な読み書き性能は必要ないが、容量単価に優れるものが欲しいというニーズもまだまだあるだろう。
そこで、そうしたニーズを満たすPlextor製SSDの新型バリューモデル「S3C」のレビューをお届けする。
今日の低価格路線のSSDの主力は、MLCからTLC NANDへ移行しており、Plextor S3CシリーズもTLC採用モデルだ。TLCというと、性能的にはイマイチというユーザーが大多数だと思うが、最新のTLC採用モデルは思いのほか高速化されている。
今回は2.5インチの512GBモデル「PX-512S3C」と、M.2(SATA)接続の256GBモデル「PX-256S3G」のサンプル版を借用したので、その性能をご覧頂こう。
まずは外観をチェック、コントローラはSillicon Motion製、NANDは14nmのTLC NANDを搭載
では今回入手した2製品を外見からチェックする。
2.5インチモデルは7mm厚、M.2モデルは2280モジュールというお馴染みの形状を採用している。コントローラは低価格SSDで採用例の多いSillicon Motion Technology製の「SM2258G」、NANDフラッシュメモリはSK Hynixの14nm TLCが使われていた。
メーカーによると、製品版ではコントローラチップにSillicon Motion Technology製の「SM2254G」を採用しているという。SM2258GとSM2254Gはほぼ同じ性能のチップで、SM2258GをPlextor向けに若干カスタムしたチップがSM2254Gとのことだ。
それでは、まずは2.5インチ版の「PX-512S3C」から紹介しよう。筐体サイズに対して内蔵されている基板はコンパクトだ。
続いてM.2版の「PX-256S3G」。搭載チップの一部に違いはあるが、基本的には2.5インチ版と同等といえる構成になっている。
最大リードは560MB/s超、ライトも530MB/sと低価格SSDとしては申し分のない性能
今回のベンチマーク環境は以下のような後世とした。テスト対象のSSDはデータドライブとして初期化し、検証を行っている。M.2モデルはCPUに近い側のM.2スロットに装着した。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-7700K(4.2GHz、最大4.5GHz)
マザーボード:ASRock Fatal1ty Z270 Gaming K6(Intel Z270)
メモリ:Corsair CMU16GX4M2A2666C16R(DDR4-2666 8GB×2)
グラフィック:ASUST ROG-STRIX-GTX1080Ti-O11G-GAMING(GeForce GTX 1080Ti)
ストレージ(OS起動用):Intel SSDPEKKW512G7X1(NVMe M.2 SSD、512GB)
電源ユニット:Silverstone ST85F-PT(850W、80PLUS Platinum)
OS:Windows 10 Pro 64bit版(Creators Uptade)
最初に定番「CrystalDiskMark」でどの程度の数値が出るかチェックする。テスト条件はデフォルトの「1GiB×5」を使用する。
シーケンシャルリードおよびライトはSATA SSDとしてはほぼ限界に近い値が出ている。その他のテストでもほぼ両者は同傾向にあるが、キューデプス32のランダム4Kリード&ライトに関してはPX-512S3Cの方が速くなっている。
続いては「ATTO Disk Benchmark」を使ってみた。テスト条件はデフォルト値をそのまま使用している。
こちらもシーケンシャルリードは560MB/sec程度、ライトは530MB/sec程度と、CrystalDiskMarkの結果を裏付けるものとなった。
最後に「HD Tune」を使ってもう少し性能の特性を探ってみよう。まずはリードとライトの性能だが、縦軸は性能(MB/sec)、横軸はデータ量となる。
コストパフォーマンスに優れたSSDを買うなら一考の価値あり
以上、ざっくりとではあるがPlextorの新SSD「S3」シリーズの検証は終了だ。
2.5インチの「S3C」、M.2の「S3G」ともに、コントローラが同じで、搭載NANDフラッシュメモリも枚数以外は共通なため、性能的にはほぼ同等といえるものだった。特にシーケンシャルリードとライトはSATAの性能限界近くであるため、日常作業やゲームの導入先としては非常にお買い得感のある製品といえる。
特に現在のPCゲームに関していえば、SSDを使用した時点でかなり高速化された状態になるので、高価なNVMe接続のものやRAID 0構成にしたところで読み込み待ち時間はそれほど変わらない。今回M.2と2.5インチモデルを試したが、Steamライブラリを丸ごと突っ込みたいという人はPX-512S3Cを、ゲームは程々(あるいは遊ばない)が手軽さ重視ならPX-256S3Gがオススメだ。
[制作協力:Plextor]
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