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60GHz帯の無線LAN「11ad」ルータも初展示、
WDはNAS向け「WD Red」をアピール

「NAS EXPO 2016 秋」開催レポート(HDD/周辺機器編) text by 石井英男

 10月8日、ベルサール秋葉原で、NASがテーマのイベント「NAS EXPO 2016 秋」が開催された。

 NAS EXPO 2016 秋は、主要NASメーカーや関連機器メーカーが参加し、NASの基本的な使い方からクラウド/スマホとの連携、ビジネスやプライベートでの活用までを紹介するウエスタンデジタルジャパン主催のイベントであり、今回が2回目の開催となる。初開催となった昨年は1万名近くが来場し大成功となったが、今回は昨年を上回る13社・ブランドが出展し、来場者数も昨年を上回ったという。

 当日のイベントでは、新製品の展示やステージセッションなど、多くの見どころがあった。「NASの入門向け」セッションのレポートと「NAS編」のレポートはすでに掲載したが、今回は「HDD/周辺機器編」として、Western Digital、TP-LINK、ロジテック、ユニットコム、ASUSのブースやセッションの様子をレポートする。

無線LANは60GHz帯に…「世界No.1」をうたうTP-LINKが実機を展示

世界初の11ad対応無線LANルーター「Talon AD7200」。現時点では日本では発売されていないが、11ad対応製品が増えてきたタイミングでの発売を検討中とのことだ

 無線LAN機器などのプロバイダーとして世界No.1の売上げを誇るTP-LINKのブースでは、同社の最新無線LANルーターや無線LAN中継機を展示していた。売れ筋は、最大1900Mbpsでの通信が可能な「Archer C9」だが、その上位製品の「Archer C3150」も性能重視の人にお勧めだという。

 また、日本では未発売だが、60GHz帯を利用する世界初の11ad対応無線LANルーター「Talon AD7200」も日本で初めて展示されていた。発売については「海外では発売している国もあるが、国内では11ad対応製品の少なさから今のところ見合わせている」とのことで、来年以降の投入を検討しているようだ。無線LAN中継機のハイエンドモデル「RE450」は、最大1,750Mbpsでの通信が可能で、アンテナを3本搭載しているため、中継可能なエリアも広いことが魅力だ。

TP-LINKブースの様子
世界市場での「シェアトップ」をアピールしていた
売れ筋の無線LANル-ター「Archer C9」。最大1,900Mbpsでの通信が可能
こちらは上位製品の「Archer C3150」。最大3,150Mbpsでの通信が可能
こちらは下位モデルの「Archer C7」。最大1,750Mbpsでの通信が可能
無線LAN中継機の「RE450」(左)と「RE200」(右)。RE450は、最大1750Mbpsでの通信が可能だ

 ステージセッションを行なったのは、ティーピーリンクジャパンのリテールマネージャーの田中寿朋氏である。田中氏はまず、TP-LINKの会社概要を説明し、世界市場では3年連続シェア1位を記録していると語った。日本法人ができたのは、昨年10月だが、日本国内での売上げも急成長しており、今後は店頭販売も予定しているとのことだ。

 同社は多くの製品ラインナップを取りそろえており、必要な性能に応じて最適な製品を選べるが、特にお勧めの製品が「Archer C9」だという。また、Archer C9をはじめとする同社の無線LANルーターの多くはUSBポートを備えており、そこに外付けHDDなどを接続することで簡易NASとしても使えることをアピールした。

 NASボックスとHDDを購入するのは金銭的にハードルが高いという人は、まずは無線LANルーターの簡易NAS機能を試してみることをお勧めするとのことだ。さらに、最新の無線LAN規格である802.11adについての解説も行なわれた。同社は世界初の11ad対応無線LANルーター「Talon AD7200」を開発し、北米ではすでに販売が始まっているが、日本での投入は、11ad対応製品の普及状況をみてからになる。また、同社は無線LAN関係以外にもセキュリティカメラやスマートLED電球などのスマートホーム用機器も開発・販売しており、今後は日本での販売も検討中とのこと。

【IEEE 802.11adモデルの解説】
最新の無線LAN規格802.11adは、新しい周波数帯域である60GHz帯を利用する
世界初の11ad対応無線LANルーター「AD7200」は、8本のアンテナを備え、3周波数帯あわせて最大7200Mbpsの超高速通信が可能
11adなら、4K動画も数分で転送可能で、数千枚の写真なら数秒で転送できる
【そのほかの解説】
ステージセッションを行なったティーピーリンクジャパンのリテールマネージャーの田中寿朋氏
同社の無線LANルーターの製品ラインナップ。必要な性能に応じて最適な製品を選べる
Archer C9やArcher C7のUSBポートに外付けHDDなどを接続することで、簡易NASとして利用できる
無線LAN中継機のラインナップも充実している
無線LAN中継機の最上位モデル「RE450」は、3つの外付けアンテナを搭載し、最大900m2のエリアをカバーできる
現時点では日本では販売されていないが、TP-LINKはセキュリティカメラやスマートLED電球などのスマートホーム用機器も開発・販売しており、今後は日本での販売も検討中とのことだ

WDは「カラー戦略」を分かりやすく解説

HDDやNASを展示していたWestern Digitalのブース
同社のHDDのラインナップ一覧

 イベント主催者である、Westren Digitalのブースでは、同社のカラー戦略に基づくHDD製品などを展示した。

 用途別に色分けしたブランドを付けることで、それぞれの用途に最適なHDDの選択を容易にすることが、カラー戦略の狙いだ。

 NAS EXPOということもあり、最もアピールしていたのは、NAS専用HDD「WD Red」であり、WD Blackとの消費電力比較デモも行なわれていた。また、NASを使ったことがない初心者向けに、NASとは何かということを分かりやすく説明するパネルが設置されていたり、HDDの分解展示も行なわわれていた。最近登場したWD Redの8TBモデルは、筐体内にヘリウムを充填させることで、プラッタ間の隙間を薄くしていることが特徴だが、それについての展示もあった。そのほか、コンシューマー向けNAS「WD Cloud」なども展示されていた。

HDDの分解展示が行なわれており、HDDの構造がよく理解できる
同社がパーソナルクラウドストレージと呼んでいるコンシューマー向けNAS「WD Cloud」
NASを使ったことがない人にも、NASとは何か分かりやすく説明するコーナーが設けられていた
HDDの消費電力比較。左が高速なWD Black、右がNAS向けのWD Red
WD Blackのアクセス時の消費電力が13Wなのに対し、WD Redのアクセス時の消費電力は8Wと少ない
NAS向けHDDの「WD Red」にヘリウムを採用した8TB製品も登場している

 ステージセッションを行なったのは、ウエスタンデジタルジャパンのチャネルマーケティング マネージャーの宮本貴通氏。

 最初に語られたのは「HGSTとSanDiskを傘下に収めたことで、Western DigitalがHDDメーカーから、総合ストレージソリューションプロバイダーとなったこと。そして、コンシューマー向け製品からエンタープライズ向け製品まで、全ての分野をカバーするポートフォリオを実現した」こと。

 また、同社のスローガンである「すべてのドライブには意味がある」を紹介。用途に応じた製品を用意していることを解説した。特に、NAS専用HDD「WD Red」は、独自のファームウェア「NASware 3.0」を搭載し、24時間365日の連続稼働を保証しているとアピールした。また、内蔵HDDの市場では、Western Digitalはシェア51%を獲得しており、5年連続で1位を記録しているという。

ステージセッションを行なったウエスタンデジタルジャパンのチャネルマーケティング マネージャーの宮本貴通氏
宮本氏は、Western DigitalがHGSTとSanDiskを傘下に収めたことで、総合ストレージソリューションプロバイダーとなったと語った
SSDを手に入れたことで、コンシューマー向け製品からエンタープライズ向け製品まで、全ての分野をカバーできるようになった
製品ポートフォリオ。用途別に異なる色のブランドで販売されていることが特徴
NAS専用HDD「WD Red」は独自のファームウェア「NASware 3.0」を搭載し、24時間365日の連続稼働を保証している
NAS専用HDDと通常のデスクトップ向けHDDとの違い。駆動時間やRAID対応、RAIDボードとの互換性、保証期間などが異なる
NASware 3.0の特徴。RAIDサポートや信頼性、互換性の高さ、振動対策、低消費電力を実現している
Western DigitalのHDDなら、無償でイメージバックアップソフトやアラインソフトなどをダウンロードして利用できる
内蔵HDDの市場トレンド。販売台数では、Western Digitalのシェアが51%であり、5年連続No.1シェアを獲得している

ASUSは無線ルータ、ロジテックはHDDケース、ユニットコムは防犯カメラシステムを展示

 このほか、周辺機器系のブースとしては、ASUSとロジテック、ユニットコムがブース展示を実施。

、ASUSのブースでは、無線LANルーターや無線LANアダプタが展示されており、特に無線LANの性能を要求するPCゲーマー向けのアピールが行われていた。同社のハイエンド無線LANルーター「RT-AC88U」は、合計で最大3167bpsでの通信が可能で、USB接続の無線LANアダプタ「USB-AC68」を利用すれば、11ac非対応のちょっと古いノートPCやデスクトップPCも高速な無線通信が可能になる。

 ロジテックのブースは、HDDケースを中心に展示していたが、8ベイHDDケースという、かなり珍しいものも展示されていた。2ベイ以上のHDDケースでは、RAID機能を搭載したものが多く、NASまでの機能は必要としないが、データを安全に保存したいというニーズに低価格に応えてくれると、担当者は語った。新製品のRAID機能搭載4ベイHDDケース「LHR-4BRHEU5」は、内部構造も見られるようになっていた。

 ユニットコムのブースは、ネットワーク経由で監視が可能なセキュリティカメラを中心に展示。また、QNAPのNASボックスやNASボックスとHDDのセット商品が、イベント協賛特価で販売されていた。

【ASUSブース】
無線LAN関連製品を展示していたASUSのブース
ASUSのハイエンド無線LANルーター「RT-AC88U」。合計で最大3167Mbpsでの通信が可能
こちらは合計で最大2534Mbpsでの通信が可能な無線LANルーター「RT-AC85U」
USB経由で接続する無線LANアダプタ「USB-AC68」。内蔵と外付けの合計で4つのアンテナを搭載しており、最大1300Mbpsでの通信が可能
【ロジテックブース】
ロジテックのブース。外付けHDDケースやNASボックスを展示。
手前左が2台のHDDをまるごとコピーできる「LHR-2BDPU3」、手前右がRAID機能搭載の2ベイHDDケース「LHR-2BRHU3」、奥左がRAID機能搭載の8ベイHDDケース「LHR-8BRHEU3」、奥右が4ベイのWindows NAS「LSV-5S4CKWシリーズ」
RAID機能搭載の4ベイHDDケース「LHR-4BRHEU5」の内部
手前左が2.5インチHDDケース「LHR-PBNU3W」、手前右が3.5インチHDDケース「LHR-EJEU3F」
【ユニットコムブース】
セキュリティカメラやNASボックスを展示していたユニットコムのブース
ブラウザで監視が可能なセキュリティカメラ。左が200万画素の「PF-CS717」、右が100万画素の「PF-CS716」
左がQNAPの1ベイNASボックス「TS-128」、右が2ベイNASボックス「TS-228」
イベント協賛特価でQNAPのNASボックスやHDD「WD Red」とNASボックスのセットなどが販売されていた