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PCゲームは意外とHDDでも速かった?「ゲームとHDD」最新事情をまとめてみた

SSDとの速度比較や「浮いた予算でビデオカード強化」の検討も…… text by 石川ひさよし

「ゲームとHDD」最新情報を知っていますか?

 コストパフォーマンス重視の場合、ゲーミングPCはOSのシステムディスクにSSD、ゲームインストール用にHDDという組み合わせが定番だ。

 速度にこだわるならゲームインストール用のデータディスクもSSDにしたいところだが、「予算的に仕方なく」でHDDを選ぶユーザーも多いだろう。しかし、「SSDとHDD、PCゲームでどれだけ差が出るか」については、(昔はともかく)最近の検証例はあまりない。どれぐらいの「妥協」なのか、あまり把握していない人も多いだろう。

 そこで、現行のHDDとSSDを使い、PCゲームを遊ぶ上でどれだけ明確な性能差が出るのか検証、ついでにインタビューも行ってみた。

 HDDで性能的に十分なら、ゲーム用に大容量のSSDを無理に選択しなくても良くなり、ストレージにかける予算を抑えることができる。その分ビデオカードやCPUなど、よりクリティカルなポイントにコストをかけられるというわけだ。「OS用にSSD、ゲーム用にHDDの組み合わせ」が妥協ではなく鉄板ということにもなる。

 実際、タイトルによってはかなり面白い結果が出ているので、「ゲームならSSDしか考えられない」という人も、まずは目を通して頂ければ幸いだ。

HDDはとにかく容量単価が安い!「節約した資金でビデオカードを上位モデルに」なんてことも………

Seagate BarraCudaシリーズは、性能だけで無くコストパフォーマンスにも優れるモデルだ
3TBモデルは週末特価品が8千円前後で購入できる

 さて、システムドライブに関しては、ほぼすべてのユーザーがSSDを選ぶべきという認識だろう。OSによるストレージアクセスは、その多くがランダムアクセス。よく知られている通り、SSDとHDDの間では大きな体感差があり、OS自体もSSDのシステムドライブが前提になっている面もある。OSのみと割り切れば、容量は256GBもあれば十分で、安価なSSDを購入できる今、あえてシステムドライブをHDDにするユーザーは少ないだろう。

 では、PCゲームに関してはどうだろうか。「SSDとHDDの速度差」については後で検証することとして、まず、容量について指摘しておきたい。

 基本的な話として、最近の大作ゲームは50GB以上のストレージ容量を要求してくるタイトルも珍しくなく、これを小容量のSSDでやりくり(インストール/アンインストール/再ダウンロード)するのは大変だ。SSDも大容量化しているとはいえ、TB級のモデルはまだまだ高価。ゲーム管理の利便性や導入のしやすさを考えると、「HDDは大容量品を購入しやすい」という部分は重要なポイントになる。

 例えば、1TBのSSDは安くても3万円程度だが、HDDなら3TBで8~9千円、4TBでも1万3千~1万4千円程度用意すればよい。OS用に小容量のSSDを用意するとしても、ストレージにかかる費用はSSDのみの時と比べて1万~2万円前後割安になる。差額をビデオカードに投入すれば、GeForce GTX 1050からGeForce GTX 1060に変更したりとワンランク上のものを選ぶことも可能で、より快適なゲーミング環境を整えられるというわけだ。

HDDとSSDを実際に比較してみたゲーム用ストレージに選んだHDDは「ST4000DM005」

Seagateの4TB HDD「ST4000DM005」

 というわけで、実際にHDDとSSDを比較してみた。今回使用するHDDはSeagateのコスト重視モデル、Barracuda「ST4000DM005」だ。購入時の価格は税込で約1.4万円。

 「容量単価重視」のモデルを選択したため、スペックは回転数5,900rpm、キャッシュ64MBと「最高性能」のモデルではない(Barracudaシリーズは7,200rpmのモデルも多い)。そして、キャッシュ容量も旧モデル「ST4000DM001」の128MBより減少している。

 もっとも、最大転送速度は旧モデル(ST4000DM001)の160MB/sから190MB/sに向上しており、「容量単価重視」だからといって速度に期待できないわけではない。実測値では約200MB/sを記録しており、これは3.5インチHDDとしては高速な部類になる。

 強化されたポイントとしては、内部はプラッタ容量が1TB(ST4000DM001)から1.3TBへと変わり、それに伴いプラッタ枚数/ヘッドの数も4/8(ST4000DM001)から、3/6になった点があげられる。また、HDDの速度を引き出すというMTC Technology(後述)の強力なメディアキャッシュが搭載されて、より性能を引き出す工夫がされているという。

 ちなみにこのHDD、アイドル時にもシーク音が聞こえてくるのだが、これはMTC Technologyの動作によるものなのだそう。詳しくは記事後半のインタビュー部分を見てもらいたい。

比較に使用するのはIntel製SSDのスタンダードモデル「SSDSC2KW480H6X1」

 一方、SSDは「Intel SSD 540s SSDSC2KW480H6X1」を使用した。メインストリーム向けの500番台のモデルで、700番台と比べれば容量単価が抑えられていて、システムドライブ用に適したところだ。購入時の価格は税込で約2.5万円だった。

 性能面でも、6Gbps SATAの帯域をほぼ使い切るシーケンシャルリード560MB/s・シーケンシャルライト480MB/sとなっており、メインストリームモデルとしては十分すぎるパフォーマンスを持っている。

480GBの2.5インチSATA SSD「Intel SSDSC2KW480H6X1」

HDDとSSDの速度差はゲーム次第、「ほぼ差がない組」と「差がある組」に二分「ストV」「FFXIV」「PSO2」ではあまり差が出ず

 さて本題のHDD対SSD。まずはゲーム本体の起動時間を計測してみた。実際にどれほどの差が出ているのかは動画を見てもらえれば幸いだ。

 使用したのは以下6タイトル。

ストリートファイターV
ファイナルファンタジーXIV
ファンタシースターオンライン2
Fallout 4
Rise Of The Tomb Raider
Star Wars バトルフロント
【HDDとSSDのPCゲーム起動時間比較】
ストリートファイターV、ファイナルファンタジーXIV、ファンタシースターオンライン2、Fallout 4、Rise Of The Tomb Raider、Star Wars バトルフロントの順
ゲーム起動時間一覧

 まず、ゲームの起動については、大きな差が付いたものと差がほとんどないもので分かれた。

 一部、HDDのほうがSSDよりも速い逆転現象も見られるが、これは起動時間が計測ごとに変化するためだ。オンラインゲームの場合、ネットワークの状況によって変わるケースもあり、バックグラウンドプロセスがジャマをしていることなども考えられる。ディスクの性能以外の要因も絡むため、常に一定の時間となることがないのだが、だいたいの傾向はわかるので、参考値としてもらえれば幸いだ。

 傾向としては、海外メーカーのゲームのほうがHDDとSSDの起動時間に差が開いた。このあたりはゲームエンジンの差が影響している可能性もあるだろう。Star WarsのようにSSD比で倍以上待ち時間が開いたものもあった。

 反面、国内メーカーのゲームについては2秒程度の差で、SSDとHDDの性能差をほぼ感じない結果となった。

 続いて、実際のゲームデータを読み込むことになるロード時間を計測してみた。

【HDDとSSDのPCゲームプレイ中ロード時間比較】
ストリートファイターV、ファイナルファンタジーXIV、ファンタシースターオンライン2、Fallout 4、Rise Of The Tomb Raider、Star Wars バトルフロントの順
ゲームロード時間一覧

 やはりこちらも海外メーカーのゲームと国内メーカーのゲームで傾向が分かれた印象だ。今回テストした国内メーカーのゲームはHDDでも十分な速度が出るようだ。HDDとSSDでとくに差の付いたものとしてはFallout 4があるが、これが14秒ほど。ほか2タイトルは10秒未満だった。

 確実なことは、SSDのほうが短時間で起動する傾向にある点と、もう一つ、HDDも案外健闘しており、一部のタイトルを除けばほとんど変わらない場合もあるということだ。

 数秒の差であれば、その差を体感するのが難しいケースもある。差が生じたものでもギリギリ許容範囲といったところで、ゲームを遊んでいて絶対にSSDでなければ耐えられないといった印象は無い。

 当然、旧型で低速なHDDを使用した場合はSSDとの差が開く可能性もあるが、Seagate Barracudaの4TBモデル「ST4000DM005」であれば、今回のような性能が得られる。

 容量で見ると、HDD 4TB級対SSD 500GB級だから8倍程度の差がある。速度的な性能差がこの程度なのであれば、8倍も多くのゲームタイトルを詰め込めてかつ安いというHDDの魅力は大きい。

 もちろん、5年後10年後といった先々もHDDの優位性が続くかは分からない。ただ、今、ゲームのデータ用ドライブとして、コストパフォーマンスを求めるのならば、HDDを選んで間違いないと言える。

NANDフラッシュをキャッシュとして搭載するSSHD「FireCuda」

 なお、さらにSSDとの差を縮めたい場合、SeagateからはNANDフラッシュを搭載したHDD(SSHD)「FireCuda」が販売されているので、こちらを選ぶ手もある。

 通常のHDDよりは高価となるが、それでも容量単価はSSDよりも安価だ。キャッシュが活用された際は最大でHDDの5倍高速とされており、性能にこだわる場合はこちらも選択しになるだろう。

オンライン対戦ゲームはストレージの速度にこだわらなくて良い?
ストレージの性能差が全く出ない例も

 なお、今回の検証で気になった点としては、ゲームによってはストレージの性能差が全く意味をなさないケースが存在するということだ。

World of Tanksは自信のロードが完了しても、参加プレイヤーのロードが完了するまで待たされる。
Overwatchはロードが速く完了すれば操作可能な状態にはなるが、試合自体は全員の準備が整うまで待たされる。
リーグ・オブ・レジェンドにいたっては、全員のロードが完了するまで待たされるだけで何もできない。

 HDDとSSDの、転送速度の違いというほかにも、ゲームでは様々な要素で「待ち」時間が生じる。とくに顕著なのが冒頭にも述べたオンラインゲームの「サーバーへの接続」や「参加ユーザーのロード完了待ち」だ。

 サーバーへの接続待ちでは、使用中のネットワークの状態が影響することに加えて、サーバー側の負荷も影響する。また、参加ユーザーのロード完了待ちは、人気のゲーム、ユーザーの多い時間帯ならよいのだが、そうでない場合はかなり待たされることがある。

 実例をいくつか紹介しておくと、World of Tanksの場合、自信のロードが速く終了しても、参加プレイヤー全員のロードが完了するまで試合は始まらない。このため、ストレージが遅くてもほぼ影響が無く、速度にこだわってもリターンがほぼ無い。オーバーウォッチもロードが速く完了すればマップ自体には入れるが、全員のロードなどが完了するまで試合自体はスタートしない。リーグ・オブ・レジェンドにいたっては、全員のロードが完了するまで待つしかないので、ストレージの速さによる恩恵が無い。

 オンラインゲームではこうした場面に多々遭遇することになるのだが、それと比べればHDD対SSDというストレージによる起動速度の違いは「たいした差ではない」と言えるだろう。

浮いた予算を有効活用、SSDからHDDの差額でPCはどうかわる?1) SSD→HDDで節約した資金をビデオカードにまわしたり、Steamでゲームを購入したり

 さて、データ用ドライブにHDDを選択することでコストを抑えるなら、差額でビデオカードのグレードを引き上げたり、あるいはより静かな製品、より高クロックの製品といった選択肢が生まれてくる。

 ここでは大雑把な例として、GeForce GTX 1050 Ti/1060/1070のパフォーマンスを見ておきたい。今回用いたのは、GeForce GTX 1050 Tiが「MSI GeForce GTX 1050 Ti GAMING X 4G」、GeForce GTX 1060が「MSI GeForce GTX 1060 GAMING X 6G」、GeForce GTX 1070が「MSI GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」だ。

MSI製GeForce 10搭載カード。

・ビデオカード以外の使用機材
 CPU IntelCore i7-7700K
 マザーボード MSIZ270 KRAIT GAMING(Intel Z270)
 メモリ DDR4-2400 8GB×2
 OS 日本マイクロソフトWindows 10 Pro(64bit)

GeForce GTX 1050 Ti GAMING X 4G、実売価格は税込2万円前後。
GeForce GTX 1060 GAMING X 6G、実売価格は税込3.5万円前後。
GeForce GTX 1070 GAMING X 8G、実売価格は税込5.5万円前後。
GeForce GTX 1050 Ti GAMING X 4Gの3DMARK Fire Strikeのスコア。
GeForce GTX 1060 GAMING X 6Gの3DMARK Fire Ssrikeのスコアは11,493、GeForce GTX 1050 Tiモデル比で約7割増し。
GeForce GTX 1070 GAMING X 8Gの3DMARK Fire STrikeのスコアは16,207、GeForce GTX 1060モデル比で約4割増し。

 価格差を見ると、GeForce GTX 1050 TiとGeForce GTX1060が1.5万円程度、GeForce GTX 1060とGeForce GTX 1070が2万円程度となる。

 大まかなコスト感を紹介しておくと、今回テストしたSSD(システムドライブ)+SSD(ゲーム用480GB)の構成と、SSD(システムドライブ)+HDD(ゲーム用4TB)の構成は、HDDを用いる方が1.5万円ほど安価。ちょうどGeForce GTX 1050 TiとGeForce GTX 1060の差額に重なり、HDDを選択することで節約できた予算で、ワンランク上のビデオカードが選択可能になる。GeForce GTX 1050 TiとGeForce GTX 1060は性能差が開いているので、ここにコストをかけられると性能もグッとあがる。

Seagate BarraCudaシリーズの3TB HDD「ST3000DM008」。4TBモデルと比較すると1世代古い設計となるが、コストを優先するならこちらを選ぶ手もある。

 はじめからGeForce GTX 1060を搭載する予定だった場合、ゲーム用にHDDを選択し、さらに4TB HDDよりも5千円ほど安い3TB HDDを選択すると2万円の予算を捻出するができる。この場合はGeForce GTX 1060からGeForce GTX 1070が選択可能になったりもする。

 ゲームではやはりビデオカードが何よりもパフォーマンスに影響する。ゲーミングPCではここがお金のかけどころと言えるだろう。

ミニインタビュー: ゲーム用にお勧めのHDDはどれ?Seagateに聞く最新HDDの技術と選び方

 今回、ゲーム企画でHDDを取り上げるにあたり、Seagateのコンシューマイベントでもおなじみの佐藤氏にお話を聞くことができた。そこで、最近のHDDの動向や、選び方についてのアドバイスをいただいてきた。

日本シーゲイト 技術本部 技術部の佐藤氏

――ゲームPC用としてHDDを選ぶ上でポイントとなる点はありますか

[佐藤氏]用途別にHDDを展開していますが、とくにゲーム用という点で最適化されたモデルはありませんので、まずはコストパフォーマンスのよいデスクトップ用を選んでいただいて構わないと思います。

その上で、より信頼性を高めたいかたはBarracuda Proを、プロゲーマーのようにさらにエラーや故障にシビアな方にはエンタープライズ向けモデルが適しています。ゲームに熱中し、エキサイトしてデスクに置かれたPCにも衝撃や振動が加わってしまうような方には、RV(衝撃センサー・補正機能)付きモデルをオススメしますね。

設計が新しいモデルは、5,900rpmでも従来の7,200rpmモデル並の速度が出ており、性能を犠牲にせず低消費電力化や高耐久化がはかられている。
5,900rpmでも200MB/s近い速度が出ている

――HDDに速さを求める際、回転数を目安にすればよいのでしょうか。

[佐藤氏]確かに回転数は転送速度の目安ですが、HDDの速さはそれだけで決まるものではありません。HDDの速さに影響のあるものは、回転数のほかにキャッシュやプラッタの記録密度、ファームウェアがありまして、これらのバランスで決まります。

Barracudaの4TBモデルでは、従来モデルの7,200rpmから新モデルでは5,900rpmに落としていますが、一方でプラッタの記録密度がより高密度のものを組み合わせています。高密度プラッタは読み書き出し速度が速く、回転数を落としても従来製品とほぼ同等のパフォーマンスを維持しています。一方で回転数を落とすことのメリットはいくつもあります。まず消費電力を抑え、熱を抑え、耐久性を向上させられます。また、同じ容量を実現するためのプラッタ枚数も減らせますので、部品点数が少ない分、信頼性も向上します。

――プラッタの記録容量と枚数の関係は具体的にどのように変わったのですか。

[佐藤氏]従来モデルですと1TBプラッタを採用し、それを4枚用いて4TBを実現していました。一方、新モデルは1.33TBプラッタを3枚用いて4TBを実現しています。

――Barracudaの4TBモデルは、そのほかどのような技術や機能を搭載していますか。

[佐藤氏]基本的には従来技術の延長で作られています。一部の大容量モデルのようにSMR(瓦記録)技術を用いているわけではなく、従来型のCMR技術を採用しています。

HDDの速度を引き出すSeagateの「MTC Technology」

――SMRを利用していないとのことですが、新しい4TBを試してみたところ、SMR技術を採用したArchive HDDと同様に、アイドルに入った後にもカリカリ……カリカリ……とシーク音が聞こえてきました。SMRではないとするとこの音は何の音なのでしょうか。

[佐藤氏]SeagateのHDDには「MTC Technology」が用いられています。シーク音はその中のキャッシュ機能により、バックグラウンドでディスク媒体上キャッシュ領域へのアクセスが実行されるために起こるものです。

MTC Technologyのキャッシュ機能では、HDDのプラッタの一部に書き込み専用の連続した(書き込み処理時にシーク量が少なくすむ)領域を設け、ランダム書き込みがあった場合、まずその領域に素早くすべて書き込み、その後、HDDアクセスの減った状態を見計らって、正しい領域に再配置いたします。この再配置がシーク音の原因というわけです。ちなみに、詳しいキャッシュ容量は非公開ですが、TB級のHDDに対してわずかな容量ですので、ユーザーのデータ領域の圧迫も気にしなくてすむわけです。また、シーケンシャル書き込みではキャッシュを経由することはありません。

――ユーサーに対してメッセージをいただけますか

[佐藤氏]プラッタ容量やヘッドの技術などはおそらくメーカーの技術差はほとんどありません。回転数も大きく変わりません。ただ、ファームウェアでは差が付けられる。MTC Technologyのように、Seagateのファームウェア技術に注目していただければ、HDD選びが楽しくなるものと思います。

コストパフォーマンスを気にするならPCゲームにはHDDHDDとSSDでPCゲームのロード時間の差は思いのほか小さい

Seagate BarraCuda ST4000DM005
Steamなどでは特価セールが頻繁に行われており、特価のタイミングでとりあえず購入、ということも多いだろう。だが、そうして購入していくとSSDはすぐに容量が一杯になる。画像は6本のゲームをインストールした480GB SSDの例。半分近く埋まっているが、さらに残量が減ると「遊ぶときだけインストールする」「再度遊ぶ際はダウンロードからやり直す」などの、やりくりが必要になる。大容量HDDであれば、こうした問題はかなりの間、起きないだろう。

 ここまで確認してきたように、ゲームにおいてはHDDはSSDに対しそこまで遅れをとるわけではない。今回使用している最新世代Seagate BarraCudaシリーズは高速なHDDということあり、想像していたよりも差はずっと小さいものだった。

 ゲーミングPCにおいて、SSD + HDDという組み合わせは定番だが、今回の検証で非常に理にかなった構成であることも再確認できたのではないだろうか。HDDには圧倒的な容量単価のアドバンテージがあり、現時点で「コスト重視のゲーミングPCのベストチョイス」であるといえる。

 そして、Seagateへのインタビューで得られた、高性能なHDDが欲しいならば、「HDDは回転数よりも、最新世代の技術を採用しているかの方が重要」という点も参考になる。アイドル時にHDDからシーク音がするのは、メーカーを問わず最近の大容量HDDで確認される現象だが、これもHDDがより賢く、転送速度を向上させようとしている証だということも分かった。

 こうした点を参考に、ゲーミングPC用にコストパフォーマンスに優れたHDDを選んでみてはいかがだろうか。今回使用しているSeagate BarraCudaの4TBモデル「ST4000DM005」などは、速度面・コスト面で選びやすいモデルといえるだろう。

[制作協力:Seagate]

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