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悪条件でも確実に冷却、ASUSが語る「GTX950-OC-2GD5」

人気のファン停止機能を無くし、耐久性や安定動作を重視 text by 石川ひさよし

ASUS GTX950-OC-2GD5
ASUSのPeter Chen氏

 ASUSからGeForce GTX 950を搭載した「GTX950-OC-2GD5」がリリースされた。

 ここ最近のASUS製ビデオカードは、ハイエンドGPUならR.O.G.シリーズ、メインストリームがファンの回転停止機能付きのSTRIXシリーズ、そしてショート基板の「M」シリーズと、特徴的なシリーズ名が付き、シンプルな型番のモデルはせいぜいハイエンドGPUのリファレンス準拠カードくらいだった。

 そのため、シリーズ名が冠されていない「GTX950-OC-2GD5」は製品名からは特徴が推測できず、どのような特性を持ったカードなのかは気になるところだ。そこで、新型カードの特徴やシリーズ名が付かない理由など、ASUSのPeter Chen氏にポイントをうかがった。

「GTX950-OC-2GD5」は高耐久をコンセプトとしたモデル

白いクーラーを採用したのは、同社の現行Intel Z170マザーで白を取り入れた点が大きい。ただ、そのほかの色のマザーに組み合わせても白は映える。
GeForce GTX 700シリーズの高耐久モデル「GTX750TI-PH-2GD5」。

――このタイミングでGeForce GTX 950ビデオカードの新モデルを投入された理由をお聞かせください。

[Peter氏]現在のASUSのGeForce GTX 900シリーズビデオカードは、STRIXシリーズやR.O.G.シリーズなど各種のOCモデルをはじめ、ゲーミング用途にフォーカスしたラインナップが中心となっております。

 そうしたなか、今回の「GTX950-OC-2GD5」は、耐久性という異なるコンセプトの製品となります。とくにGeForce GTX 950は、900シリーズ中で最廉価のGPUになりますので、ゲーミング用途のみならず、ほかの用途でもビデオカードを搭載したいという幅広いニーズに応えるGPUですので、ここに「高い品質で長く使えるミドルレンジ」としてリリースいたしました。

 時期的にはリフレッシュモデルのタイミングですが、今回はこうしたコンセプトを前面に打ち出した製品となります。耐久性という点では、GeForce GTX 750/750 Ti GPUで「GTX750-PHOC-1GD5」「GTX750TI-PH-2GD5」という製品をリリースしていますが、「GTX950-OC-2GD5」はこのコンセプトを継承するモデルと位置づけております。

――「GTX750-PHOC-1GD5」「GTX750TI-PH-2GD5」の際は高耐久を「Phenixコンセプト」として型番に「PH」を掲げていましたが、「GTX950-OC-2GD5」には「PH」が付いていませんね。これはどういうことでしょうか。

[Peter氏]Phenixコンセプト(PH型番)は、日本では高耐久の意味として広く認知されたのですが、残念ながら世界的にはそこまで浸透できませんでした。

 型番に「PH」は入っていませんが、「GTX950-OC-2GD5」はPhenixコンセプトを継承し、さらに耐久性を向上させています。

最新世代の高耐久機能をフル装備自動製造による耐久性/品質向上、ホコリの付着/侵入防止、改良版の高耐久パーツ採用

Auto-Extreme Technologyを採用する「GTX950-OC-2GD5」(上)と非採用モデル(下)。下のカードでは映像出力端子のピンが飛び出ているが、上のカードではそれがない。

――では耐久性の点で、具体的にどのような点で耐久性が向上しているのか、旧Phenixコンセプトとの違いを教えて下さい。

[Peter氏]まず、「GTX950-OC-2GD5」では、ASUSが現行の最新世代ビデオカードで採用している「Auto-Extreme Technology」が用いられています。

 基板への部品の実装が手作業から機械化に移り、耐久性や品質の向上とともに、部品のピンなどの出っ張りが抑えられたことでホコリの不着も抑えられます。これを比較的お求めやすい価格帯の製品で採用できたことは大きいと思います。

 続きまして、Super Alloy Powerの世代がIからIIに引き上げられたことに伴い、コンデンサ寿命が標準品の2.5倍から3倍に向上、MOSFETの小型化によって耐熱性能が向上しています。同時に、チョークコイルの内部空間に、より細かな粉末を詰め込むことで振動を防止、コイル鳴きを抑えております。


Super Alloy Power II世代の「GTX950-OC-2GD5」(左)と初代Super Alloy Powerの「GTX750TI-PH-2GD5」(右)を電源回路部分で比較。ひと目で分かるのがチョークコイルの違い。

 三つ目は防塵ファンで、ファンのトラブルを防ぎます。この点はPhenixコンセプトを継承するものとなります。ファンの軸部分にできる隙間をなくし、2層のフィルターを設けることでホコリの進入を防いでいます。


「GTX950-OC-2GD5」は軸部分へのホコリの進入を徹底的に防ぐため、2重のフィルターを搭載した防塵ファンを採用している。
現在主流の「STRIX」も防塵ファンを採用。設計や風圧特性などから「GTX950-OC-2GD5」に採用されているファンの方がより防塵性が高いものになっているという。

  GTX950-OC-2GD5 旧Phenixコンセプト そのほかの現行世代モデル
Auto-Extreme Technology 一部モデル
Super Alloy Power II I II
防塵ファン

悪条件でも確実に冷却し性能を発揮させるためのクーラー「環境を選ばず誰でも安心して使える」がコンセプト

「GTX950-OC-2GD5」のクーラーはヒートシンクのみで構成されたシンプルな構造。一方後ろの「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」はヒートパイプを組み合わせた現在のスタンダードなヒートシンク構造。

――「GTX950-OC-2GD5」のクーラーは比較的シンプルな構造ですが、「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」と同様にリファレンスクーラー比で3倍静かといううたい文句は変わりません。どのような設計をされているのでしょうか。

[Peter氏]ASUSのGPUクーラーのなかで最も冷却性能の高い設計は「DirectCU II」です。とくにDirectCU IIを採用するGeForce GTX 950搭載モデル「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」では、冷却性能の高さを活かし、GPU温度が低い際はファンを停止できる機能を搭載しています。

 ただし、GPUを低温に保ちファンの回転停止時間をより長く求める場合は、ケース内のエアフローが良好であることが必要です。つまり、最高のパフォーマンス出すためには自作PCのスキルも求められるわけです。

 一方、「GTX950-OC-2GD5」にはファンの回転停止機能は搭載していません。通常の回転数制御は行っておりますが、ファンは回り続ける仕様になっています。こちらは「使用する環境を選ばず、装着するだけで誰でも安心して使える」という点をコンセプトにしたもので、ケース内環境に左右されにくく、自作PCスキルに関わらず安心してご利用できる製品となっています。

 常時ファンを回転させることで、エアフローなどが悪くてもしっかり安定動作し、ユーティリティなどでチューニングを行わなくても性能が発揮されるよう扱いやすさも重視したモデルです。

 ファンは常に回転しているほうが安心できるというお客様もいらっしゃいますし、そうした方にもオススメできる製品といえます。

「GTX950-OC-2GD5」はアルミブロックのヒートシンクを採用。基板上を冷やすためにGPU接触部の左右にはスリットもある。一方の「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」は銅製ヒートパイプをGPUに直接接触させるDirectCU IIクーラー。単純に冷却性能なら「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」の方が高い。
「GTX950-OC-2GD5」(上)と「GTX750TI-PH-2GD5」(下)のクーラーを比較。どちらもアルミ製ヒートシンクだが、「GTX950-OC-2GD5」はかなり大きい。


「GTX950-OC-2GD5」(左)と「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」(右)のヒートシンク部分を拡大。「GTX950-OC-2GD5」はアルミブロックなのに対し、「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」は薄いステンレス製フィンに銅製ヒートパイプの組み合わせ。
「GTX950-OC-2GD5」(上)と「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」(下)の基板比較。ともにAuto-Extreme Technologyを採用しほぼ同じレイアウトだが、電源回路部分は「GTX950-OC-2GD5」が3フェーズ、より高クロックの「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」は4フェーズ。

――DirectCU IIのほうが冷えるということですが、「GTX950-OC-2GD5」はその部分を補うためにどのような設計を盛り込んでいるのでしょうか。

[Peter氏]まず、GeForce GTX 950カードは、GeForce GTX 750と比べるとひとまわり大きなカードになりますので、合わせてヒートシンクを大型化し電気回路部もカバーできるサイズに、そしてファンを2基搭載することができたことで風量を向上させることができました。

 逆にGeForce GTX 750カードのサイズに落とし込もうとすれば、シングルファンになりますし、それで十分な冷却を行うためにはヴェイパーチャンバーのような技術も必要となります。そうなると今回のコンセプトからは外れてしまいますので、大型ヒートシンクとデュアルファンという組み合わせを採用しています。

 GPU温度に最も影響するクロック設定につきましては、「GTX950-OC-2GD5」もOCモデルですが、同じGeForce GTX 950カードの「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」よりは抑えたクロックとしています。

 パフォーマンスの面では「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」のほうが優位ですが、「GTX950-OC-2GD5」も定格クロックよりは高いクロックとすることで耐久性重視のコンセプトを維持しつつパフォーマンスの向上を図っています。


「GTX950-OC-2GD5」(左)はコアクロック1,076MHz(OCモードでは1,102MHz)、「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」(右)はコアクロック1,140MHz(OCモードでは1,165MHz)。GeForce GTX 950の定格は1,024MHz。

 これらに加えて2段分のブラケットのうち1段全てを排気口としています。同じGeForce GTX 950を搭載する「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」では、この部分にもう1基、DVIポートを備え、4画面出力が可能ですが、「GTX950-OC-2GD5」では3画面出力とすることでエアフローを向上させています。


同じGeForce GTX 950カードでも、「GTX950-OC-2GD5」は映像出力端子が1列の3系統、「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」は2列の4系統。DVI端子一つぶんスリットの面積が拡大している。

――最後に自作PCユーザーに向けてメッセージをいただけますか。

[Peter氏]ASUSは、これまでどおり安心、高耐久でより長く使える製品、そしてR.O.G.のようなコンセプトモデルを今後ともリリースしてまいります。

 「Phenixコンセプト」を受け継ぐ「GTX950-OC-2GD5」は、ゲームはもちろん、高耐久性という点を求める方に最適な、「バランス」重視、そして「Auto-Extreme Technology」を採用する現行ラインアップで最もお求めやすい価格の製品となります。

 一方、「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」はより高いクロックによるゲームパフォーマンス、そして4画面出力などのフル機能が魅力の製品となります。また、「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」はDirectCU IIによる冷却性能のマージンやさらなるOCといった楽しみ方もございます。そうした点に注目して2つの製品をお選びいただければと思います。
 なお、今回は新製品「GTX950-OC-2GD5」の紹介がメインですが、「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」は現在「ASUS STRIX Series VGA 購入者限定 W特典キャンペーン」を展開しております。STRIXオリジナルマスコットやASUSイベントでのノベルティプレゼントなどありますので、STRIXシリーズで最も低価格の入門機として「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」もどうぞご検討ください。

――ありがとうございました。

GTX950-OC-2GD5を使ってみたGPU温度とファン回転数でコンセプトの違いが明確に

 最後に、「GTX950-OC-2GD5」と、「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」、「GTX750TI-PH-2GD5」の3製品で、比較を行ってみた。

 まずは3DMarkとファイナルファンタジーXIVでのパフォーマンス比較から紹介しよう。

 「GTX950-OC-2GD5」の3D性能は、「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」と比べるとクロックが低く抑えられている分、スコアに差が生まれた。とくに実タイトルベンチマークであるファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークでは250ポイントほどの差となっているが、フレームレートで見ると48.618fps対50.450fpsと、2fps弱の差だった。

 ただし「GTX950-OC-2GD5」も30fpsを大きく超えているので、評価は「とても快適」だ。一方、「GTX750TI-PH-2GD5」と比較すると「GTX950-OC-2GD5」は1700ポイントほど高く、「GTX750TI-PH-2GD5」のフレームレートは34.026fpsなので14.6fpsという大きな差がついている。

 なお、パッケージにプリントされているWorld of Warshipsに関しては、グラフのとおり3枚のカードでほとんど差が出ていない。GPUよりもCPU側の性能が重要と言えそうだ。ただし、GeForce GTX 950の2枚とGeForce GTX 750 Tiの「GTX750TI-PH-2GD5」には2fpsの差が生じた。

 「GTX950-OC-2GD5」と「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」の製品選びの際にもうひとつポイントとなるクーラー性能を見るため、3DMark実行中のGPU温度とファン回転数を計測してみた。

 まずはGPU温度。こちらのグラフで分かるのは、STRIXはファン停止機能を備えるため、アイドル時からGPU温度が高めである点だ。ファンが回り続ける2製品は似たグラフを描いているが、GPUのぶん「GTX950-OC-2GD5」の温度のほうが高い。ファン回転数では、「GTX750TI-PH-2GD5」が非常に細かく回転数が可変するのに対し、「GTX950-OC-2GD5」は緩やかな調節を行っていた。

 動作音に関しては、GPUクーラーのファン面から30cmの位置で3DMarkのFire Strikeを実効して計測した。高負荷時で見ると「GTX950-OC-2GD5」が最も高く、「GTX750TI-PH-2GD5」が最も低い値となったが、どれも35dB以下で音量の違いを耳で判断できるほどではない。どれも極めて静かな製品と言える。

 また、アイドル時の「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」がファン回転停止機能によって動作音ゼロ(CPUクーラーや電源ファンなどシステム動作音のみ)を実現するわけだが、一方で電源投入時には一度全開を行い、その際だけは38.7dBを記録した。しかしこれも30dB台なのでうるさく感じるほどではない。ケースに入れてしまえばよほど静かな環境でないと気にならないだろう。

 検証を通じて、補助電源の不要な「GTX750TI-PH-2GD5」は確かに便利であると感じたが、一方でパフォーマンスで見ればファイナルファンタジーXIVのフルHD、最高画質を狙うにもギリギリのパフォーマンスなので、GeForce GTX 950を搭載する2製品のほうが魅力に感じた。

 動作音に関してはどれも優秀だが、GPU温度で見ると、アイドル時から50〜60℃台で推移する「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」、ファンの回転停止機能はないものの30℃台まできっちり冷やす「GTX950-OC-2GD5」という具合で分かれる。

 「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」の50〜60℃というGPU温度は、安全な温度の範囲内ではあるが、これは確かにケース内温度、ケース内エアフローに影響され易いと言え、一方で「GTX950-OC-2GD5」はそうした影響を受けにくいと言えるだろう。もちろん、一般的な意味でケース内エアフローは重要であるし、そこを良好に保つことでGPU温度、そしてGPUクーラーの動作音を低く保つことができるだろう。

[制作協力:ASUS]

(石川 ひさよし)