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MSI台湾本社で聞いた「ゲーミングマザー = カーボン戦略」
赤の次はカーボンが来る!?MSI X99・Z170カーボンマザー
~Skylakeの"曲がり"を防ぐ「CPU GUARD」もレポート~ text by 石川ひさよし
(2016/1/25 00:00)
昨年末、台湾のMSI本社にうかがう機会を得た。MSI本社の建物は台北市をぐるりと囲む新北市のなかでも南の中和区にあり、付近には日本でもよく耳にするPC DIY関連メーカーが多く集結している。
ちょうどCESの直前ということもあり、本社ツアーだけでなく、CES展示予定製品のほか、Skylakeで話題の「CPU GUARD」などのレクチャーなどもあった。
Broadwell-Eを見越したカーボーンヒートシンク版GODLIKE
ゲーミングマザーと言えばブラック/レッドの配色がトレンドだが、MSIが考えるレッドの次のゲーミングカラーが「カーボン」だ。
そのハイエンド向けの製品となる「X99A GODLIKE GAMING CARBON Edition」(以下、GODLIKE CARBON)は、現行のX99A GODLIKE GAMING(以下、GODLIKE)をベースとするバリエーションモデルとなる。
GODLIKEは、LGA2011-v3と互換性を持ちつつOC向けにピン数を増やした「Turbo Socket」LGA2036、金属製スロットカバーの「Steel Armor」や、高品質オーディオ回路「Audio Boost 3」、巨大なレッドのヒートシンクにLED発光機能「Mystic Light」といった機能と見た目を両立した最上位モデルだった。GODLIKE CARBON自体は、主な機能をGODLIKEと共通としつつ、デザイン面を一新したモデルになる。
GODLIKEではブラック基板をベースに、レッドの大型ヒートシンクを組み合わせていたが、GODLIKE CARBONではヒートシンク部分にカーボン素材のシートが採用され、引き締まった印象を受ける。MSI GAMINGのドラゴンマークは従来のエンブレムからシンプルなプリントに改められたが、編み目が並ぶカーボンに、シルバーのドラゴンが乗るこちらも自己主張は強い。
MSI本社のスタッフによると、GODLIKEではレッド部分の割合が大きすぎるという意見があり、ほかのカラーバリエーションを検討するなかで、自動車レースや航空・宇宙分野のイメージのあるカーボン素材がハイエンドゲーミングのイメージにマッチし採用したとのことだ。
こうして完成したGODLIKE CARBONは、未通電状態ではかなり落ち着いた雰囲気をみせる。残念ながらMystic Lightのデモンストレーションはなかったためにあくまで想像だが、点灯時はGODLIKEのように色が重なることがなく、よりLEDの発光色が映えるのではないだろうか。
そのほかGODLIKE CARBONでポイントとなるのが、2016年半ばに登場すると噂されるBroadwell-Eへの最適化や、メモリスロットに装着された金属製カバー「DDR4 Steel Armor」だ。
前者は、具体的にどこを、というのはまだ難しいが、後者は、大型ヒートシンク搭載メモリを利用する際はその支えになるという。また、EMI対策としてもメリットがあるとのことで、OCメモリとの組み合わせ時にその効果を期待できそうだ。
GODLIKE CARBONは、3月頃の発売予定で、価格は未定だが現行GODLIKEと同じくらいの価格帯になるだろうとされる。
普及価格帯のカーボンモデル
カーボンモデルはハイエンドだけでなくメインストリームにも展開される。それが「Z170A GAMING PRO CARBON Edition」(以下、GAMING PRO CARBON)だ。GAMING PRO CARBONは、メインストリーム向けの製品で価格帯は2万円台前半(インタビュー時点では未発売だったが、23日に発売された)。Intel Z170を搭載するMSIマザーボードのラインナップで比べても決してハイエンドモデルではない。ここにMSIの本気度が感じられる。
先のGODLIKE CARBONと比較するとヒートシンクの面積も小振りにはなるが、VRM用、チップセット用双方にしっかりとカーボンが用いられている。また、ベースとなった「Z170A GAMING PRO」(以下、GAMING PRO)に搭載されていた「Mystic Light」も継承しており、LED発光によるハデな演出が楽しめる。GAMING PROでのMystic Lightは、「msi NO.1 IN GAMING」とプリントされた部分が発光するデザインだったが、GAMING PRO CARBONは基板パターンのようなラインが仕込まれ、その部分がLED発光するデザインへと改められた。
なお、ヒートシンク上のMSIロゴなどはGODLIKE CARBON同様にシルバーとなる。
ハードウェア面ではGAMING PROにあったPCIスロットが無くなり、PCI Express x1スロットへと変更されたほか、垂直に設置されていた内部SATAポートは水平方向へと改められた。また、バックパネルのUBS 3.1 Gen2がType-A×2からType-A+Type-Cの組み合わせに変更されるとともに、内側のUSB 3.0ピンヘッダ(USB 3.1 Gen1)が1基から2基へと増設されている。
MSI 30周年記念モデル「Z170A KRAIT GAMING 3X」
そしてもう一つ、後日開催された国内説明会で発表されたマザーボードについても紹介しておこう。それが「Z170A KRAIT GAMING 3X」。こちらはホワイトが特徴のKRAIT GAMINGシリーズで、MSIの30周年記念モデルでもある。
現行モデルの「Z170A KRAIT GAMING」(以下、KRAIT GAMING)と比べると、前項のGAMING PRO CARBONと同じようにPCIスロットがPCI Express x1スロットへと置き換えられ、基板上のSATAポートの一部が水平端子へと変更されている。バックパネルのUBS 3.1 Gen2がType-A×2からType-AとType-Cに変更されていたり、内部USB 3.0ピンヘッダが1基から2基へと増設されていたりする点も同様だ。
KRAITシリーズの特徴となるホワイトの配色は、一部のスロットやヒートシンク、基板上のプリントに加えSATAの水平端子にも施されている。ブラック/ホワイトの配色もゲーミングマザーでは人気なので、こちらも注目。比較的製品が揃っているホワイト系パーツと組み合わせれば、Mystic Light無しでも十分に映えるだろう。発売は2月末くらいを予定しており、販売価格はまだ未定とのこと。
なお、30周年を記念する3Xモデルは、今後1年に渡ってほかにも展開される予定だ。
ラボツアーで見てきたSkylake用基板破損防止金具「CPU GUARD」
さて、話を台湾に戻し「CPU GUARD」について聞いてきたことをレポートしよう。
まず、昨年末にわかに話題となったのがSkylake系CPUの基板破損問題。MSI本社スタッフによると、これはSkylakeがそれ以前のLGA115x系CPUと比べて基板が薄くなっていることに起因すると言う。CPU GUARDはこれを防止するための固定具だ。
まず、CPU GUARDを装着するには、一度通常のリテンション金具を取り外す必要がある。そのうえで、CPU装着後にCPU GUARDを装着し、通常であればこの状態でリテンション金具を再装着して使用する。基板とリテンションの間にCPU GUARDが挟まれる格好だ。
また、リテンション金具を用いず、そのままリテンション用ネジでCPU GURADを固定した状態では、殻割りした状態で用いるのにちょうどよい厚みとなる。