取材中に見つけた○○なもの

“Made in 秋葉原”なオーディオソフトの試聴会が開催、音の違いを体感してきた

再生ソフトで音質が変わるPCオーディオ、音質向上のためのこだわりをメーカーが解説

 PCをハイレゾ音源対応ネットワークプレイヤー化するソフト「HYSOLID」の試聴イベントが16日(土)にオリオスペックで開催されました。

 HYSOLIDを作製したコンポーネントデザインは、アプリケーションやシステム開発を行っているSIベンダー。秋葉原にあることもあり、今回紹介されたソフトは「Made in Akihabara」である点をアピール。オーディオソフトは海外製の物が多いので、ちょっと驚きました。

「徹底してPCの負荷を下げ、ノイズの発生を限界まで抑制」HYSOLIDの開発コンセプトをメーカーが解説

 HYSOLIDはPCへの負荷を徹底して下げることで、ノイズの発生を可能な限り押さえ込むことをコンセプトにしたオーディオソフト。ユーザー登録することで無料で使用可能です。

 PCから直接の操作は行えず、再生などの操作はスマートフォンなどから行うタイプのソフトで、PCを簡単にオーディオ機器化するソフトというのが感じとしては近いかもしれません。現在、iOS端末のみのサポートとなっているますが、近日Android端末用のソフトも公開予定とのことです。

この日解説を行ったコンポーネントデザインの山口氏
開発のきっかけ
PCへの不可を最小とすることで低ノイズ化

 開発のきっかけは、NASなどの使用機種で音が変わったり、ビットパーフェクトな状態でも再生ソフトで音が変わるPCオーディオに疑問を持った点からスタートしているそうで、「PCに負荷がかかった際に発生するノイズを減らせば、素晴らしい音がするのではないか」という思いから開発がスタートしたそうです。

 PCの負荷を下げることに対してHYSOLIDはかなり徹底されており、「Windowsはサインインの状態だと多くのプロセスが動作してしまうため、動作するプロセスが少ないサインアウト状態で動作するソフト」という個性的なものになっています。

サインアウトの状態で動作するプロセスを最小に
スマートフォンとPCの通信も負荷を最小にするためオリジナルのプロトコルを採用

 スマートフォンとの通信も負荷を下げるためにDLNAやHTTPなどのプロトコルを使用せず、オリジナルの双方向プロトコルを採用、データ形式もWindowsのソフトウェアが最も低負荷で処理できるように文字にUTF-16、数値にリトルエンディアンを採用するなど、プログラマーにしかわからないような部分の解説もありました。

ソフトの違いで音は変わるのか実際にデモ、明確な違いがでてビックリ?

 実際の音質のテストは、オーディオPCでは定番のfoobar2000、HQPlayer、JRiver Media Centerなどとの比較が行われました。

 山口氏による各ソフトの印象は、foobar2000は機能性を最重要視したソフト、HQPlayerは音を積極的に変えて高音質化を狙ったソフト、JRiver Media Centerは使い勝手の良さと音質面の両方にこだわったソフトといった感じだそうです。

この日の試聴環境機材
山口氏の各ソフトの評価
DACやアンプもグレードの高いものが使用されていました
使用PCはオリオスペックが販売するオーディオ向けカスタムモデルRitmo2
完全ファンレスで電源などもオーディオ用の物を採用した製品、HYSOLID向け仕様もあるそう

 この手のイベントでは音の差がよくわからないということも多いのですが、ソフトの違いによる音の違いは素人の筆者が聴いてもわかるレベルでちょっとビックリ。

 筆者が聴いた感じでは、foobar2000は良く言えばクリアですが、ザラつきも感じる音。HQPlayerはこれぞ高級オーディオという感じの厚みのある音。JRiver Media CenterはHQPlayerほどの濃さはありませんが、温かみのある音。HYSOLIDはオーディオ機器よりの音色ですが、素直な感じで1音1音にまとまりがある感じ。

 関係者も含め予想以上の違いがでたこともあり、会場は結構盛り上がりました。

HYSOLIDはOSの読み込みキャッシュをキャンセルするモードも実装
DACが動作を開始するまでのラグを考慮して、HYSOLIDは再生時は1秒間の無音再生を行ってから実際にオーディオファイルが再生される仕組みになっているそうです。無音再生の実装も負荷が最小になるようにしているそう。

 HYSOLIDはOSの読み込みキャシュをキャンセルする機能もあり、キャッシュの有効/無効を切り替えてのデモも行われました。

 理論上はキャッシュをキャンセルした方が音質が良くなるはずらしいのですが、データの転送が間に合わないと音が途切れるとのこと。実際の音の違いは相当なマニアでないとわからないかも……といった感じで、わかる人にはわかる違いだったようです。筆者は何となく違うような……といった感じでした。

自宅でもHYSOLIDを試してみた

HYSOLDは動作可能な環境さえあれば設定なども簡単で、手軽に導入できます。

 イベントで結構な音の違いが出ていたので、自宅の機器でHYSOLDとfoobar2000を使って違いが出るのか試してみました。

 結果からいうと会場で聴いた時ほど劇的な違いは出なかったものの、音の方向性の違いはわかりました。HYSOLIDとfoobar2000は音色がかなり異なるので、この二つで比べるのがわかりやすいかもしれません。

 なお、HYSOLIDはUSB DACでの使用が推奨されていますが、WASAPIの排他モードやASIOをサポートする機器であればUSB DACでなくても使用可能なものもあるそうです。スマホをリモコンにできる点も便利なので、気になる方は是非テストしてみてください。

(1/25 8:00更新)記事初出時、記事タイトルに誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

(久保 勇)