【不定期連載】レトロな○○ギャラリー

シャープ X1C

Xシリーズで唯一のキーボード内蔵パソコン

 今回紹介するパソコンはシャープの「X1C」。「X1」の後継機として1983年11月に発表されたモデルで、Xシリーズの中で唯一、キーボードを内蔵しています。その一方で、X1との互換性は確保されており、価格も引き下げられました。また、X1では別売りオプションだったG-RAMが標準搭載になったほか、プロッタプリンタが内蔵可能になりました。本体カラーはレッドとシルバーの2色になり、X1で用意されていたスノーホワイトは廃止されました。ちなみにシャープのカタログでは、「コンパクト&ハイコストパフォーマンスの高密度マシン」、愛称は「アクティブタイプ」として紹介されています。

スペック

・CPU:SHARP LH0080A(Zilog Z80A セカンドソース)
・動作周波数:4MHz(0.004GHz)
・メインメモリ:64KB(0.000064GB)
・サブCPU:SHARP M80C49-22(Intel 80C49互換)
・CRTC:日立 HD46505SP-2
・同時発色数:8色
・テキストビデオメモリ:2KB+2KB(0.004MB)、テキスト文字+色、制御コード
・グラフィックビデオメモリ:48KB(0.048MB)
・解像度:640×200ドット
・PCG機能内蔵 6KB(0.006MB)
・サウンド(PSG):GI AY-3-8910
・同時発音数:3音モノラル
・記憶装置:データレコーダ
・記憶メディア:コンパクトカセット
・記憶装置容量:60分テープ装着時:約1MB(2700ビット/秒)
・表示装置:デジタルRGB接続モニタ

X1C本体です。カセットデッキから横に続く黒いラインが目印です。
キーボード部分です。X1用からチャンネルとボリュームキーが削減されました。
背面です。左からRGB、テレビコントロール、拡張I/Oボックス接続端子、プリンタ、音量調整、音声出力、リセットボタン、ジョイスティック1・2、キーボード端子です。
カセットデッキです。本体を分解する場合は、最初にカセットデッキをイジェクト状態にしないと上部カバーが外れません。
カセットデッキの手前にある基板はグラフィックメモリです。
カセットデッキの隣のスペースにはプロッタプリンタが内蔵できます。
本体の上部カバーを外した状態です。
さらにキーボードを外しました。銀色のシールドを外すとシステムボード全体が現れます。
上部のパーツを取り外しました。全体が見えるようになったシステムボードはATXマザーボードとほぼ同じ大きさです。
本体左上の様子。SHARPロゴ(左端)の右にある「GI」というICがサウンド用のPSGです。
本体左下の様子。中央の大きなICはCPUのZ80Aです。左下の8個のIC(三菱製)はメインメモリ(容量64KB)です。
本体右下の様子。「SN」で始まる型番の汎用ICが多く見られます。中央近く「IX02 86CE」ROMにはフォントが記録されています。このROMを中心に下3つのICがPCG設定用のメモリ(6KB)で、上2つのICが文字表示用のメモリ(4KB)です。
本体右上の様子。中央の「HD46505SP」と書かれた日立のICはCRTCです。青いソケットに搭載されている「X0395CE」は汎用ICを組み合わせたカスタムチップのようですが、詳細は不明です……。
G-RAM基板(容量48KB)です。カセットデッキの手前にあるスロットに取り付けられています。
カセットデッキ部分です。ライバル機では実現できなかった2700ビット/秒の高速転送や、プログラム自動頭出しの高機能のテープ制御が可能です。
オプションの拡張カード増設用外付けボックス「CZ-81EB」です。本体色に合わせて、赤色モデルもあります。
外付けボックスの内部。拡張カードは4枚まで増設可能です。
外付けボックスを接続してみました。
三菱の液晶ディスプレイ「RDT202WLM」(16:9)を接続しました、本来は4:3表示ですが横に伸びてしまっています。製品の仕様範囲を超えた使い方ですので真似をしてはいけません。
起動した様子。漢字が表示されていますが、X1Cに漢字ROMは搭載されていません。グラフィック機能を使っています。

標準価格

・本体 CZ-801C 標準価格:119,800円
・モニタ CZ-801D(マスクピッチ 0.45mm 解像度 560×200) 標準価格:99,800円
・モニタ CZ-802D(マスクピッチ 0.4mm 解像度 640x200) 標準価格:128,000円
・内蔵プロッタプリンタ CZ-81P 標準価格 34,800円
・拡張I/Oボックス CZ-81EB 標準価格 29,800円

※当時の物価:はがき 1枚40円・国鉄(現JR)初乗 120円・タクシー初乗430円
※マスクピッチ シャドウマスク方式で解像度の性能を現す数値、数値が小さいほど高性能で解像度を細かくすることができる。

(後藤 儀兵衛)