【 2008年8月15日号 】
夏休み特別企画:
FPSゲーマーfumioが語る「マウスパッドのススメ」


最近は“脳波マウス”こと「Neural Impulse Actuator」に興味津々とのこと。 - fumio -
FPS系のゲームを中心にプレーするゲーマー。過去、世界最大のe-SportsイベントWorld Cyber Gamesに日本代表の一員として参加しているほか、フリーのFPSゲームWarsowの国内大会での優勝、Crysisアジア大会で4位の成績を収めるなど、国内トップクラスの実力を有する。


 夏休みということもあり、PCパーツを買ったり、デジタル家電を買ったり、ここぞとばかりに欲しいものを買った方も多いのではないだろうか。

 しかし、夏の予算を全額を丸々使いきってしまうことは少ないはず(女房に管理されて雀の涙ほどしか使えない人もいるかもしれませんが……)。

 そこで一つ提案、この機会にマウスパッドを買ってみませんか?


マウスパッドは快適なPCライフをお約束します

 「PCでの作業を快適にするためにはマウスやキーボードのような直接触れる部分にこそ金をかけろ」と薦める人はよく目にする。しかし、それに続いてマウスパッドの購入を勧めている現場を見たことがない。入力機器を安物から良い品に変えることで作業効率がアップするのは事実だから、筆者としても否定はしないしむしろ推奨したいところ。

 でも、なぜ「YOU良いマウス買っちゃいなよ!」の後に「マウスパッドも買っちゃいなよ!」とならないのか。これはちゃんとしたマウスパッドを選ぶことがどれだけのメリットを生むのか理解されてないということに他ならない。ひどい話だ!

 ということで、この機会に「マウスパッドがいかに作業を快適にするものか」を知ってもらおうというのがこの記事の趣旨である。


・筆者愛用の「Icemat
どれだけ使い倒しても劣化しないのがで気に入っていたが、撮影直前に不注意から粉砕。今回は撮影のためパソコンショップ アークから貸し出して頂いた。

良いマウスパッドの定義とは

 マウスパッドというと、キャラクターの柄が入った販促品のようなものを思い浮かべる方も多いのでは?今回紹介するのはそういうのじゃあありません。まず知ってもらいたいのは、実用的なマウスパッドと販促品などのマウスパッドを比べると「快適さはまるで別モノ」ということ。じゃあ実用的なマウスパッドってどんなのだよ!というとこんなの↓


・マウスを動かす際の抵抗が少ない
・止めたい位置でピタッと止まる
・素早く動かしてもマウスカーソルが飛ばない
・長時間の使用にも耐えうる耐久度


お勧めマウスパッドその1
DHARMA TACTICALPAD HARD
実売1,980〜2,380円
滑りがなかなか良く快適にマウスを動かせる。取り扱い店が多いのと控えめな値段により入手性も高い。サイズは2種類。

 以上の条件を満たすパッドを選べば作業効率グンとアップ間違いなし。

 ただ、抵抗が少ないということは動かしてるときのストレスが減る代わり、思ったとおりに止めづらくもある。なので滑れば何でもいいというわけでは決してなく、滑り心地と止まり心地のバランスがいいものを選んだほうが作業効率は良くなる。そのへんのバランスは完全に好みの問題。最初は良く滑るものを選んでおいたほうがカルチャーショックを受ける的な意味でお勧め。

 ちなみに、販促品やそのへんの安物の中で上に挙げた条件を満たすものはまず無く、更に一般的な量販店のマウスパッドコーナーに置いてあるのもデザイン重視のものがほとんどなので、実用性の高いものを探し出すのは若干困難だったりする。世の中にはパソコンゲーム用の周辺機器を専門的に扱っている店があり、購入前に展示品を触ることもできるので、可能であればそういう店に出向いたほうが良い。


お勧めマウスパッドその2
Steelpad Qck
実売1,250〜3,980円
安価な布系の中では程よい滑り心地で、なおかつ狙った場所で止めやすくバランスに優れている。サイズや厚さ違いを含めて計5種類存在する。

マウスパッドに心血を注ぐ人々

プロゲーマーの場合

 世の中でもっともマウスパッドにこだわっている連中といったらやっぱりPCゲーマーだ。ガンシューティング、アクションゲーム、リアルタイムストラテジー、MMORPGなどあらゆるジャンルで精密なマウス捌きをしなければならない彼らが、操作精度をよくするために入力デバイスにこだわるのは当然のこと。サッと動かしてピタッと止めるその様はまるで人間精密機械のよう。

 欧米や中韓ではゲームを極めすぎてプロとして生計を立てているプレイヤーも存在する。中にはデバイスメーカーをスポンサーに持つプレイヤーもいるのだが、実際に使うデバイスが他メーカーの製品だったりすることもよくある。スポンサー無視しちゃって平気なの?などと契約上の問題を心配したくなるのだが、結果を出せなければスポンサーに付く意味もなくなるので勝つためならそれくらいのことは許されているのだ。

 メーカーがプロゲーマーの意見を参考にデバイスを作ることもある。プレイヤー側の無茶な要求を満たすのは中々骨が折れるようで、その苦労が垣間見える話として次のようなエピソードもある。

 Steelseriesという海外のゲーミングデバイス専門メーカーが、Counter-Strikeのプロチーム SK.sweのエースEmil "HeatoN" Christensenの協力を得てマウスパッドの新製品を開発していたが、彼は新品のパッドを一日一枚の割合で使い物にならなくしてしまうとんでもないプレイスタイルの持ち主だった。そんな常軌を逸した人間を満足させるために、メーカーは200種類の試作品を作り一つ一つテストしていくという気の遠くなる作業を繰り返した。そして最終的にどうにか彼を満足させる品質と耐久性を兼ね備えた製品「SteelSeries S&S」をリリースすることができたのだが、それでも彼は大会の日となると練習用と試合用にそれぞれ新品を用意しているそうだ。いくらマウスパッドが消耗品だといっても恐ろしいったらない。


Razer Destructor
Fnatic TeamTeam World EliteTeam EGといった海外の有名eSportsチームが開発に関わったモデル。

筆者の場合

 筆者が初めてマウスパッドに金をかけたのはもう6年も前だろうか。

 当時既にPCゲーマーだった筆者は、ゲーム仲間からあるマウスパッドを薦められた。パワーサポート社のAirpad Proだ。それまではメッシュ生地のものやら、ウレタンゲル入りのもの、ひどい時は机の上でダイレクトにマウスを動かしていたこともあったが、Airpadをはじめて使ったとき、売り文句通りの「エアーホッケーをしているような」感覚にとても驚いたというか、なんか漏らしそうになった。価格は大サイズのもので3,000〜4,000円くらいだったろうか。「マウスパッドに3,000円も出すなんて……!悔しい……!」と思っていたのだが、ストレスフリーな世界にコンニチワしたことでマウスパッドに対する考え方がえらく変わった。これやべー。

 で、しばらくAirpadを使っていたのだが、ある時別のゲーム仲間から面白い情報を得た。「海外のプロゲーマーが使用しているモデルを知り合いが個人輸入したらしく、かなり満足しているようだ」と。当然その話に興味を持った筆者は、数日後にはWebサイトから個人輸入の手続きをしていた。これがいまや国内でも入手可能になったfUnc Surface1030である。Airpadに比べると滑り心地でわずかに劣っていたが、これもよく滑る割に狙った場所でマウスを止めやすく非常に気に入った。筆者はこうした出会いを機に底なし沼のようなマウスパッドの世界に飲み込まれて行くことになり、それから部屋の片隅がマウスパッドの堆積層となるまでさほど時間はかからず、今もなお新しい歴史を刻んでいる。助けてー!

 fUnc Surface1030購入から1年半くらい過ぎた頃になると、あちこちからゲーマー向けマウスパッドがバンバン登場するようになり、それに伴って国内でも入手が容易になっていった。実に喜ばしい。素材のバラエティも樹脂だけでなく布や金属、ガラスなど多岐にわたり、様々なニーズに応えることが出来るようになったのも嬉しいところだ。


筆者が初めて買ったゲーミングマウスパッド「Airpad Pro」。
最初は半信半疑で購入したパッドだったが、今では欠かせないものに。

 止まり心地よりも滑り心地をやや重視していた筆者は、もっぱら樹脂・プラスチック製のものを好んで使っていた。しかし4年ほど前海外のゲーム大会に参加した際、お気に入りのパッドに凹み傷をつけてしまうという事件が起きた。はじめは気にせずそのまま使おうとしていたのだが、実際に使っていると手に凹みの感触が伝わってきてどうにも気持ち悪く、仕方なく新しい樹脂製のパッドに交換した。交換後数ヶ月ほど経った頃、今度はよく使う手前の部分とあまり使わない奥の部分で滑り心地が変わっていたことに気づいてしまった。ハードタイプの樹脂系マウスパッドはどうしても磨り減ってしまうものなのだ。

 「もっと安定した品質を保ち続けられるパッドはないのか!」と、マウスパッドに振り回されるのがめんどくさくなった筆者が次に選んだのは、ガラス製のIcematだった。見るからに磨耗とか傷などとは無縁そうで、その上ひんやりしてて手触りも気持ち良く、カラバリ豊富でオサレ。素敵!ガラスだからちょっとしたことで割れるんじゃ?とも思ったが、ガラスの層が結構厚いせいか絨毯の上に落とした程度ではなんともない(※1)。この子頑丈。激しく使いこんでも全然磨り減らないし、耐久性の面では満点である。マウスのソール(※2)が馴染んでくるとまさに氷の上で足を滑らせた時のような感触になって気持ち良い。自分雪国出身なんで評価高いですこれ。とりあえず今のところIcematがマイベストパッドの座を譲らない状況なんだけど、残念なことにレーザー式のマウスと相性が悪いので、レーザーマウスを使うときだけ別のパッドを合わせている。うーん。

(※1)不慮の事故により最近粉々に砕け散った。
(※2)ソールとはマウスの足の部分。実際にマウスパッドと触れる部分なので、マウスパッドを買ったらソールもちゃんとしたものに付け変えることでより一層快適になる。ゲーミングマウスなどでは最初から摩擦の少ないテフロン製のソールを採用しているものもあるが、だんだん磨り減っていくので交換の必要は出てくる。


・樹脂
滑りやすく、ある程度止めやすい。プラスチック系の硬質なものと、シリコン系の軟質なものがある。

・ガラス
樹脂の特徴に加え耐久性が高いが、摩擦音がうるさい。樹脂系にはない独特の摩擦感も特徴。金属系ものもガラス系に近い特性がある。

・布
滑り心地はやや劣るが、摩擦感が強く止めやすい。廉価な点も特徴。

終わりに

 以上、長々と筆者のマウスパッドに纏わる体験談を披露しつつマウスパッドの世界を紹介させていただいたが、これで皆さんもこの世界に興味を持つようになってもらえたなら光栄だ。ぜひ、この素晴らしい世界を体験していただき、マウスパッド選びに頭を悩ませるようになっていただきたい。

 この記事を読んでマウスパッドを買ってみようと思ったのなら、まずは滑り重視で樹脂・プラスチック製のよく滑るパッドがお勧めだ。マウスを滑らせた瞬間その快適さの余り腰が抜けるに違いないと確信している。その際、余裕があればソールもセットで購入していただくとより腰を抜かすことが出来てベターである。

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【 2008年3月29日 】FPSゲーマーfumioが薦める「ゲーミングマウスの選び方」
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20080329/sp_gmouse.html


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