【 2009年7月25日号 】
LEDバックライト式液晶「LG電子 W2486L-PF」を試す -後編-
緑の発色が特に鮮やか、第一弾としては高い完成度
 前回、LEDバックライトを採用するW2486L-PFは画質面に関して癖を持っていると書いたが、後編では既存モデルとどうに違うのか、逆に変わらないのかを中心に見ていく。

 なお、バックライト以外ほぼ同等のスペックを持つW2453V-PFとの発色傾向に違いがあるのでメーカーに確認を取ったが、パネル自体は同世代のものとのこと。ただし、製造ロットなどによって多少の違いはあるそうなので、個体差によるものである可能性もある。また、今回レビューで使用しているのは試作機のため、市販品とは異なる可能性もある点には留意してもらいたい。

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緑が鮮やかな発色傾向、全体に寒色寄り



 LEDバックライト搭載のW2486L-PFだが、通常バックライトの製品と比べると全体に寒色寄り、というかわずかに緑がかった発色傾向だ。

 写真は左がW2486L-PFで、右が通常バックライトのW2453V-PF(以下の比較は全てこれ)。並べて比較しない限り気づかないと思われる部分もあるが、若干発色傾向は異なる。設定はどちらも明度は最大、色温度6500Kの状態で比較している。

 W2486L-PFは緑系の色が鮮やかに表示され、白や緑が多い画像では通常バックライト品がくすんで見えるほど。逆に、赤系の発色は通常バックライト品の方が優れており、この辺り得手不得手があるようだ。

 発色の好みは非常に個人差が大きい部分なので、購入時などは必ず発色傾向を確認することをお勧めしたい。


調整範囲も寒色中心



色温度 sRGB

色温度 sRGB

色温度 6500K

色温度 6500K

色温度 9300K

色温度 9300K
 通常、液晶ディスプレイは色温度を上げると寒色寄りの発色となり、色温度を下げると暖色寄りの発色となる。寒色寄りの発色傾向があるW2486L-PFを調整してニュートラルな発色に調整できないか試してみた。

 結論から言うと、暖色寄りの発色傾向には調整できなかった。色温度を上下させてもあまり目立った変化が見られない。W2453V-PFが色温度を上げると寒色に、下げると暖色に調整できていることから、バックライト側の影響によるものと思われる。個人的な感想を言わせてもらえば、色温度を上げたほうが発色のバランスがいいように見える。

 W2486L-PFのバックライトに使用されているLEDは、青色ダイオードに黄色蛍光体を適用したタイプの白色LEDと公表されている。この方式のものはコスト面に優れる反面、色再現性はあまり高くない方式のようだ。ほかにLEDで白色を得る方法としては、赤+緑+青のLEDを使用するものや、近紫外線LEDと赤/緑/青の蛍光体を組み合わせたものなどもある。これらは色再現性に優れる面もあるが、高コストになる面や、色を安定させるための制御が複雑といった面があるようだ。


残像感や視野角などに差異は無し


 応答速度や視野角だが、LEDバックライトと既存のバックライトで差がでることは無いようだ。FPSや対戦格闘ゲーム、動画などを再生してみて確認してみたが、色味以外に差異は感じられなかった。

 TN方式のメリットとなる応答速度の速さや、弱点となっている視野角の狭さに違いがでるようなことは無い。元のパネルの傾向を大きく変えてしまうような影響はないと言える。

 余談だが、筆者は普段IPS系パネルの液晶ディスプレイを使用しているので、W2486L-PFW2453V-PFの残像感の少なさには少し驚かされた。

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コントラスト2,000,000:1動作モードはエンタメ向け


 W2486L-PFのウリの一つである映像エンジン「F-Engine」有効時の2,000,000:1をうたう高コントラストモードもテストしてみた。本機には「F-Engine」のデモ動作モードが用意されており、それを利用してテストしている。

 「F-Engine」有効時はゲームや動画、写真などを見る分には非常にメリハリのある画質に変わる。画像加工ソフトで高コントラスト/高精彩フィルタをかけたような感じに近い。写真などは特に変わる印象で、彩度が高く表示されるため綺麗に見える。

 ただし、薄いグレーの文字などは判別しにくく、繊細な色調の写真や絵などには逆効果になる面もある。テレビ的な用途に向いている機能なので、使用シーンに合わせて使い分けると効果的だろう。


初期モデルとしては完成度は高い、付加価値を見出せるユーザーにはお勧め

 前後編にわたってレビューをお届けしたが、LEDバックライト搭載モデルは多くの面で従来モデルより優れている点があるといえる。特に消費電力や発熱の面では優れており、こうした面にメリットを感じるユーザーにはお勧めできる製品だ。

 発色に関しては多少寒色寄りという癖があるものの、緑系の発色は優れておりLEDバックライトの可能性を感じさせてくれる仕上がりとなっている。普及モデル初のLEDバックライト搭載モデルという事を考えると、完成度は中々高い。今後、改良モデルなども登場してくると思うが、後継機にも期待したい。

 このモデルは、先週発売されたばかりで、実売価格は33,000円前後になっている。既存モデルとの値差は1万4千円前後で、価格がシビアに見られる普及機としては気になる額ではある。付加価値にメリットを見出せるかどうかで価格に対する評価は大きく変わりそうだ。

 今後、LEDバックライト搭載品が主流となる可能性も十分あるので、展示機などを見かけた際はLEDバックライトの特色を是非確認してみて欲しい。


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【2009年6月11日】最新液晶ディスプレイ ピックアップ LGエレクトロニクス・ジャパン「W2486L-PF」(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/lcd/20090701_298454.html

W2486L-PF


※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。