【 2011年1月15日号 】
[不定期連載]PCパーツ最前線:
GIGABYTEに聞く“Sandy Bridgeマザーの注目点”
 ついに発表されたSandy Bridgeこと新世代のCore iシリーズプロセッサ。

 各社から多数の製品が発売されているが、GIGABYTEも10製品をラインナップ。非常に豊富なラインナップを揃えている。

 今回はそんな日本ギガバイトの代表取締役であるJoshua Yeo氏にインタビュー、Sandy Bridgeに寄せる期待と同社ラインナップの特徴について伺った。


聞き手:石川ひさよし
協力:日本ギガバイト
実施日:2010年12月20日


 
GIGABYTEはP67をプッシュ!


日本ギガバイト 代表取締役 呂 正民(Joshua Yeo)氏

−GIGABYTEから見たSandy Bridgeの感触はいかがでしょう?

[Joshua Yeo氏]Sandy Bridgeの魅力はやはりパフォーマンスです。社内でもテストをしておりますが、CPUパフォーマンスでは同じ価格のCore i5(Lynnfield)と比べ20%以上向上していますし、グラフィックパフォーマンスで比較すればClarkdaleと比べおよそ2倍という良好なパフォーマンスを示しています。

 ソケットが変わってしまうためマザーボードごと交換が必要となりますが、SATA 3のチップセットへの搭載など新たな機能もあります。

 現行製品でも追加チップでサポートしている製品がありますが、チップセットレベルでサポートされる点は大きな安心につながるでしょう。お客さまにとってプラットフォームレベルでアップグレードするメリットは大きいと考えております。



「GA-P67A-UD5」「GA-P67A-UD4」「GA-P67A-UD3P」「GA-P67A-UD3R」。黒いパッケージの角には「Unlocked Performance」ロゴ。基板も黒が採用され引き締まった印象に

「GA-P67A-UD7」は金色ラインのヒートシンクがフラッグシップの証。
−そのチップセットですが、Intel P67 ExpressとH67 Expressがあります。どちらが主力になるとお考えでしょうか?

[Joshua Yeo氏]GIGABYTEとしてはSandy Bridgeの性能を十二分に発揮できるP67がメインになると考えており、今回のラインナップもP67に特に力を入れています。

 具体的には、P67搭載モデルが「GA-P67A-UD7」「GA-P67A-UD5」「GA-P67A-UD4」「GA-P67A- UD3P」「GA-P67A-UD3R」「GA-P67A-UD3」の6製品(全てATX)。

 H67搭載モデルが「GA-H67A-UD3H」「GA-H67MA-UD2H」 「GA-H67MA-D2H」「GA-H67M-D2」の4製品(ATX1製品、microATX3製品)。

 弊社がメインと考えるP67の製品数をより充実させています。

 さらに、弊社のP67はより高いパフォーマンスを得るために様々な独自機能を盛り込んでいます。今回パッケージに掲載した「Unlocked Performance」のロゴはまさにその自信の表れであり、ユーザーの皆様にもご納得頂ける製品を準備できたと自負しております。

 一方のH67は、ビデオカードが無くても高い描画性能が実現でき、HDMIなどの出力ができるのも特徴ですが、弊社のH67はHTPCに最適なmicroATXのラインナップを特に充実させています。コンパクトなPCを自作するならH67がオススメです。

 また、H67では、拡張性に優れたATXモデル「GA-H67A-UD3H」も用意しました。今回のチップセットではサポート外となったPCIバスも3本搭載しておりますので、既存の資産を流用しつつ、最新のチップセットを使用できます。

 こうなってくると、H67も扱いやすいチップセットに思えてくるのですが、やはり自作の醍醐味としてパフォーマンスは重要ですので、自作市場での主力はP67になると考えています。



「GA-P67A-UD3」と「GA-H67A-UD3H」。

「GA-H67MA-D2H」と「GA-H67M-D2」。マイクロATXモデルはPCIスロットが搭載されない。

P67上位モデルはマットブラック、GA-P67A-UD3とH67モデルは伝統的なGIGABYTEカラー。
−カラーリングにも変更がありましたね。どのような背景からカラーを変更されたのでしょう?

[Joshua Yeo氏]P67チップセットのGA-P67A-UD3R以上の製品で、黒を基調としたパッケージと基板を採用しています。

 マザーボードのカラーは「マットブラック」です。このカラーは高級スポーツカーのポルシェ カレラGTと同じ色でして、自動車塗料の雨にも風にも負けない耐久性を連想させるカラーでもあります。

 今のハイエンドPCでは見た目も重要な要素ではないでしょうか。例えばPC内部をLEDで照らし出した際、そうした光が映える色としてもマットブラックはマッチしていると思います。

 一方、GA-P67A-UD3およびH67チップセットモデルは伝統的なGIGABYTEカラーを採用しています。


 
独自機能の目玉は電源効率の向上
Driver-MOSFETとVRD 12を新採用


Driver-MOSFETにより効率を向上、発熱を低減したという。

VRD 12を満たすIntersil製チップでCPU電源回路を制御。

新シリーズイチオシ機能というVRD 12。CPUソケットの右上にあるひとつの小さなチップがそれだ。

Dual Power Switchingによって24フェーズ回路を細かく制御。効率を高めるとともに低負荷から高負荷まで安定した電力を供給する。
−今回のマザーボードで搭載された独自機能はあるのでしょうか?

[Joshua Yeo氏]今回の製品の目玉となる機能はDriver-MOSFETとVRD12です。この2つは、今回のP67/H67マザーボードのハイエンド〜ミドルレンジモデルに搭載されています。

 Driver-MOSFETは、Intel Drive-MOSFET規格のMOSFETsとCIドライバを統合することで、効率性の高い駆動能力を発揮、高周波数のSandy Bridge CPUの電力要件を満たすものです。

 さらに、2オンス銅箔層PCB基盤、日本製個体コンデンサ、フェライトコアチョークなどを用いたGIGABYTE のUltra Durable 3とシンクロすることで、最新CPUの能力を最大限に活かしてくれるでしょう。

 VRD 12はインテルのVRD仕様の最新版です。そして弊社では、インテルが認める現在唯一のVRD 12対応品であるIntersil製チップを採用しました。このチップを採用しているのは今のところ我々だけと聞いております。

 VRD 12はIntel 5シリーズチップセット世代のVRD 11をバージョンアップしたもので、いちばんの違いは1チップで電源回路の全てを制御することです。CPU電源回路のフェライトチョーク横に小さなチップがひとつ見えると思いますが、これがそのチップです。

 Driver-MOSFETを含めCPU電源回路の全てを制御していますが、従来はソフトウェア処理していたところを、このチップではハードウェア処理することで、高速かつ遅延を抑えることが可能になります。現在最も効率の良い製品と言えるでしょう。

 今回のキーコンポーネントのなかではVRD 12がGIGABYTEとして最も重要な機能と言えます。また、従来製品同様、2オンス銅箔層も搭載しています。

 こうした新機能に加え、フラッグシップのGA-P67A-UD7は24フェーズ電源回路を搭載し、それを12フェーズ×2セットに分けて制御する「Dual Power Switching」にも対応します。

 Dual Power Switchingは、低負荷時には片方の12フェーズ回路をオフとすることで消費電力を抑え、さらにアクティブな12フェーズに関しても2フェーズずつ6段階で制御することで2フェーズ、4フェーズ、6フェーズ……というように使用するフェーズ数を可変できます。そしてもちろん、オーバークロックのような高負荷時には24フェーズをフルオンとし、安定した電力を供給できます。


 
ヒートシンクの効率も向上
高負荷時の安定性を考慮して大型品を搭載


新設計のヒートシンク。表面積の最大化にフォーカスしたという。
−ヒートシンクのデザインも変更されましたね。

[Joshua Yeo氏]新しいヒートシンクは表面積の最大化にフォーカスしました。また、ヒートシンクの効率も向上しています。高さも抑えていますので、CPUクーラーとの干渉も抑えられていると思います。

−さきほど言われたようなCPU電源回路の効率化でヒートシンクの小型化も可能だと思いますが、新シリーズでも大きなヒートシンクが搭載されています。これはなぜでしょう?

[Joshua Yeo氏] マザーボード側の発熱は大幅に抑えていますので、普通に動かすだけであれば、こうした大型ヒートシンクは不要です。

 ただ、長時間駆動やオーバークロックをする場合は、その限りではありません。定格で確実に動くとともに、極限のオーバークロックでも確実に動かなければいけません。そこでやや過剰な装備とも言えますが今回のヒートシンクを採用しています。


 
EFIはあえて見送り、安定性や使い勝手を考慮
将来は搭載の可能性も


GIGABYTEはあえてBIOSを採用。使い勝手はこれまでと同じ。
−Sandy Bridgeのマザーでは各社、BIOSに代わってEFIを導入してきました。しかしGIGABYTEは従来からのBIOSを選択しています。それは何故でしょうか?

[Joshua Yeo氏]確かにSandy Bridge世代からEFIが推奨されています。ただし、EFIは新しい技術のため、予期せぬ問題が出る可能性があり、そうしたトラブルを回避する意味で、今回はBIOSを用いています。

 弊社は自社でBIOSメニューを開発していますので、ハードウェアの性能を引き出すという面でもノウハウのあるBIOSの方がベストです。また、P67を選ぶお客様はオーバークロックなど自作PCの経験豊かな方が多いと思われます。そうした方には慣れ親しんだBIOS画面の方が使い勝手がいいのではないか、と考えたのも理由です。

 ただ、現時点ではこうした方針ですが、将来的にはEFI対応とする可能性はあります。

−つまり今回のBIOSという選択は恒久的なものではない?

[Joshua Yeo氏]状況を見計らって、EFIを搭載するということもあり得ることです。

 先ほども申し上げましたが、GIGABYTEはBIOSの開発を社内で行っておりますので、EFI時代になっても素早い対応が可能です。もっとも、現在のGIGABYTEのBIOSでも3TB HDDに対応していますので、「BIOSだから」という制約は無いと考えます。

 むしろ、グラフィカルなEFIのメニューと違い、「従来あった機能がどこにいったのか分からない」といったことがない分、扱いやすいのではないでしょうか。


なお、今回はオーバークロッカーとして有名なDuck氏にGIGABYTEのマザーボードを用いてオーバークロックを試してもらった。その様子は別レポートで改めて紹介する予定だ。
−ここまで全般的な新機能についてお聞きしました。最後にGIGABYTEとして注目しているCPUとそれにベストなマザーボードを選んでいただけますか。

[Joshua Yeo氏]弊社としては、パフォーマンスユーザー向けで倍率ロックフリーなCore i7-2600Kをオススメしたいですね。組み合わせるならばNF200を搭載し3-way SLIに対応するGA-P67A-UD7。もしくはGA-P67A-UD5が良いのではないでしょうか。是非GIGABYTEのマザーボードでオーバークロックパフォーマンスを狙って欲しいですね。

−ありがとうございました


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