【 1999年11月27日号 】

DIMMのみサポートしたIntel純正i820搭載マザー発売
サウンド機能の有無で2バージョンあり

CC820パッケージCC820
【CC820パッケージ】【CC820】
アース対応のGRMAGP用RM
【アース対応のGRM】【AGP用RM】
GRMの説明RMの説明
【GRMの説明】【RMの説明】
Diagnostic LEDバルク入荷!
【Diagnostic LED】【バルク入荷!】

 RIOWORKS PU82AとAOpen AX6Cに続く3製品目のi820チップセット搭載Slot 1対応マザーボードとして、Intelから純正の「CC820」が登場した。この製品はi820を搭載しながらRIMMをサポートせず、メモリスロットがPC100 SDRAM用のDIMMスロット2本のみとなっているのが特徴。PCIスロットは5本あり、ISAスロットはない。出回っているのはサウンド機能付き(Creative ES1373チップ)のリテールパッケージが中心で、ほかにもサウンド機能ありとなし2バージョンのバルク品が出回っている。価格は2万円前後で、これは先行している他社製品よりも安い(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

 おお、Intel純正のi820搭載マザーボードにはほかにRIMMスロット2本の「VC820」もあるが、こちらはまだ姿を見せていない。DIMMのみをサポートした「CC820」がIntel純正i820搭載マザーボードの初陣であるというところが、一連のRIMM絡みの大混乱ぶりを象徴している。

MTHを搭載してDIMMのみサポート

 CC820は、MTH(Memory Translator Hub)と呼ばれるRIMMとDIMMのインターフェイス変換チップをオンボード搭載した初めてのマザーボード。MTHはRIOWORKSのRIMM-DIMM変換ライザーカード「R2D」でも使われており、つまりこのCC820はi820搭載マザーボードとRIMM-DIMM変換ライザーカードを一体化した製品と考えることができる。この構成は、何もせずに既存の資産がそのまま流用できるというメリットがある反面、後からRIMMへアップグレードすることができないというデメリットもある。

 DIMMスロットは2本のみで、さらにマニュアルにはいくつかの制限事項が記載されている。それによると、DIMMは1本のみ装着する場合はBank0側に挿すこと、容量の異なるDIMMを2枚挿す場合はBank0に大容量のDIMMを挿すこと、片面実装と両面実装のDIMMを同時に挿す場合は片面実装のDIMMをBank0に挿すこと、などの条件がある。また、FSBを133MHzにした場合でも、メモリのクロックは100MHzでしか動作しない。

初物ぞろいの付属品に注目

 CC820のもう一つの注目すべき点は付属品にある。まず、Slot 1用のリテンションキットは「Grounded Processor Retention Mechanism(GRM)」という新しいタイプが同梱されている。これは、Pentium IIIなどのSECC2基板からマザーボード側にアースを落とすための金属板が埋め込まれた新タイプで、マザーボード側もこれに合わせて所定の位置にアース用の接触パターンが用意されている。この接触パターンとGRM側の金属位置を必ず合わせなくてはならないため、マザーボード側とGRM側にはノッチが用意され、必ず決まった場所にしか設置できないようになっている。また、GRMは一方が白、もう一方が黒と色分けされている。

 さらに、「AGP Retention Mechanism(RM)」というまったく新しいAGP対応ビデオカード用のリテンションキットもついている。これは、最近のビデオカードによく見られるAGPコネクタ付近の逆L字型のノッチを利用し、ビデオカードをマザーボードに固定する部品。細長い板状の部品がついたRMをAGPコネクタにはめ込み、その板の上にある小さな突起をビデオカード側のノッチに合わせて固定する仕組みになっている。

 このほか、マザーボード側のI/Oコネクタ部分に埋め込まれているDiagnostic LEDに対応したI/Oパネルも付属している。なお、パッケージの裏面には一部日本語の記述も見られるが、同梱のマニュアルは日本語対応にはなっていない。

CC820は人気上々

 今のところCC820は市場での反応は上々のようで、待ってましたとばかりに買っていく人が多く、早いうちに売り切れてしまったというショップもあるほど。純正であること、比較的安価であることのほかに、RIOWORKSのRIMM-DIMM変換ライザーカード「R2D」がすでに品切れで現在入手できないといった状況も、CC820にとっては追い風になっているようだ。

 ただし、これはこれで波乱を呼びそう。なにしろ、これではIntelが他社マザーボードメーカーのお株を奪う格好になってしまい、Intelの当初の指導どおりRIMMサポートで製品を投入してきたほかのメーカーにとっては頭の痛い話。i820を巡っては、RIMMだけでなくマザーボードの分野でもしばらく混乱が続きそうだ。

 とにかくCC820が出たことで、買う側としてはi820が身近になったことは確か。Intel純正ということで「遊び」はなさそうだが、ひとまず既存のメモリ資産を流用してUltra ATA/66やAGP 4x、FSB 133MHzなどの新フィーチャーを試すにはちょうどいい製品と言えそうだ。

□CC820(Intel)
http://support.intel.com/support/motherboards/desktop/cc820/index.htm

[撮影協力:ぷらっとホームWAVE EYE秋葉原店]


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