アキバスポットガイド
煙の量と香りに改造バカ驚愕! 電子タバコの名物ショップは改造マニアが集う異次元空間だった!!
~ 秋葉原スポットガイド ~ text by 高橋 敏也
2018年6月12日 06:05
秋葉原と言えば言わずと知れた「オタクの街」だが、一口に「オタク」といっても千差万別、ジャンルが違えば目的地も異なる。何の変哲もない雑居ビルの一室が、あるジャンルのオタクにとっては聖地だったりする。そこで、秋葉原歴うん十年、改造バカこと高橋敏也氏が秋葉原内のさまざまなスポットを訪問し、そのディープで雑多な魅力をとことんレポートするのがこの企画。2次元&アイドルだけがアキバじゃないのだ!
電子タバコ専門店Flavor-Kitchen(フレーバーキッチン)
秋葉原の知る人ぞ知る人気スポットを紹介する本連載。今回ご紹介するのは、VAPE(ベイプ)とも呼ばれる電子タバコの専門店。電子タバコは、紙巻きタバコともIQOSのような加熱式タバコとも違うもの。扱うショップは秋葉原にも複数あるが、今回訪れたのは腕に覚えのある改造自慢の常連が集い、通販用の倉庫も兼ねた膨大な品揃えが魅力のお店。知られざるVAPEの世界へいざ旅立とう。
フレーバーキッチンはVAPEの専門店だ。VAPE本体、そしてVAPEのリキッドを販売しているのだが、まずユニークなのが秋葉原に店舗を構えているにもかかわらず、基本的にはネット通販がメインであるということ。だからこそ本記事末尾で紹介しているURLも楽天内のショップにジャンプする。このため階段を昇った先にあるフレーバーキッチンは、ショップと言うより倉庫であり通販の処理を行なう作業スペースのように見える(実際、在庫倉庫を兼ねているそうだ)。
だが、ここからがおもしろい。VAPEや周辺機器、そしてリキッドをその場で購入できるのはもちろんなのだが、何とその場で実に多くのリキッドを試すことができるのである! VAPEをやっている人なら分かると思うが、リキッド選びというのはなかなか難しい。リキッドのポイントは香りと味、そして煙の量なのだが、こればかりはサイトで説明を見てもよく分からない。実際に試してから購入できればいいのだが、ネット通販だとそれも難しい。しかし、フレーバーキッチンに行くことができるなら、その試用が可能なのである。
3分で分かる「VAPE」
さて、ここで本題。「VAPEとは何か?」を簡単に説明しておこう。VAPEというのはもともと「電子タバコ」と呼ばれていたもので、仕組を簡単に言ってしまうと、バッテリでワイヤなどを加熱してリキッドを蒸発させ、その蒸気を吸うものなのだ。加熱する部分をアトマイザー、リキッドのことをジュース(e-juiceなどとも呼ばれていた)と呼ぶこともある。電子タバコと呼ばれなくなったのは、加熱式タバコの普及で「本物のタバコ」と区別するためだと思われる。そう、日本国内で販売されているVAPEとVAPEのリキッドにはニコチンが入っていない(ニコチン入りのリキッドを海外から個人輸入で入手することは可能だが、量に制限がある。詳しくはネットで調べてほしい)。
なお、この記事では頻繁に「MOD」という言葉が登場するのだが、これはPC業界で言うところのMOD PCと同じである。Modificationを省略したのがMODであり、拡張・改造といったニュアンスの言葉である。VAPEが電子タバコと呼ばれていた頃はメーカーの既製品、それも限りなく実際のタバコに近い形状のものが主流だった。しかしそれではバッテリも小さいし、入るリキッドの量も少ない。そこでバッテリの拡張、リキッドがたくさん入る改造などが行なわれて現在のMOD、MOD VAPEとなったのである。
そんなVAPE、VAPE周辺のパーツ、そしてリキッドをネット通販と店頭で販売しているのが株式会社Kuberuの運営しているフレーバーキッチン、略してフレキチである。ネット通販がメインというだけあって、店内に入ってもお店という雰囲気はない。だが入り口近くにズラリと並んだお試しリキッドの列、そして店内に漂うリキッドの香りは一種独特だと思う。そんな店内で社長の山田昇平さんにお話をうかがった。
“あのショップ”を参考にするため秋葉原に事務所を移転
フレキチが現在の場所にオープンしたのは2017年の9月、VAPEのビジネスを始めたのは3年半ほど前だと言う。山田社長、大変ユニークな経歴の持ち主で、VAPEビジネス以前はゴルフバーというビジネスモデルを展開していたのだと言う。もともとは韓国ではやったビジネスなのだが、それを日本国内で広めたのは山田社長たちなのだと言う。そして独立後、おもしろいものを探しに中国へ渡り、ゲットした商材でいろいろやってみた中にVAPEがあったのだそうだ。
おもしろいのは現在の場所に移転してきた理由、何と「ECHIGOYAさんが好きだから」。VAPEのビジネスは歴史が浅く、参考にできるビジネスモデルも皆無に近い。そんな中で山田社長が目を付けたのがECHIGOYA、ポイントになるのはやはり「趣味性」だろうか。そんなECHIGOYAが大好きとのことだが……「それのためにここに来たわけじゃないですよね?」という質問に対して「でも、本当にそうです」とのこと。
展示ボックスの中身はお店はノータッチ!? 客が自由に過ごせるスペースを常設
ではネット通販の事務所件在庫倉庫として始まったフレキチが、どうしてリキッドの試用などを行なえるようにしたのか?
「ここに昨年9月に入って事務所としてやっていたんですが、ありがたいことにネットとかでお客様がついてくださって、たとえばTwitterだと5,000人くらいフォロワーさんがいます。そういった人たちから、これの使い方で相談に乗ってほしいといったような話もいただくんですね。そこでお客さんに“もし近くだったら来ます?”、改造のやり方が分からないなら“ちょっとやりましょうか”みたいなノリで事務所にお呼びしたんですよ。そうしたらいろいろ話が広まって、お客さんが来られるようになったので、じゃあそういったことのできる区画だけでも作っておくかっていう流れですね」。
土日はお休みのフレキチだが、1日あたり20人以上のお客さんが来店すると言う。常に2、3人ぐらいのお客さんがいるという状態だそうだ。そしてここからがフレキチのスゴいところ。そういったお客さん、常連さんによって自然発生的にコミュニティが作り上げられ、金曜日の夜ともなるとフレキチに集ってVAPE大会で盛り上がるのだと言う。フレキチとしてはスペースを提供しているような感覚で、集まった人には自由にやってもらっているとのこと。その象徴が入り口近くに置いてある非売品が並んだ展示ボックス。何と常連さんが自由に自分の造ったMOD VAPEを展示していて、鍵も常連さんが開け閉めしているのだと言う。要するにその展示ボックスに関してもフレキチは「われ関せず」なのだ。
どこまでフリーダムなんだ、フレキチ。とか思いつつ、山田社長から最新のVAPE事情をうかがう。VAPE愛好家の間では自分でコイル(電熱線を巻いたもの)を巻くのがはやっていて、より味のよくなるコイルの巻き方を追求したり、実用性ではなくより美しく巻くアートコイルなども登場しているのだと言う。
実際に山田社長がコイル巻きの実演を見せてくれようとしたそのとき、タイミングよく、そうとうにディープなVAPE愛好家の常連さんがフレキチに到着、社長に代わって実演してくれた。
タバコとはまるで別物、MOD VAPEの深い沼にハマる
なお、繰り返しになるがフレキチをはじめとする日本国内のVAPEショップで扱われているリキッドはニコチンを含んでいない。そしてたとえばフレキチで扱っているリキッドは主にアメリカ・マレーシア・日本の三カ国製。またVAPE本体、ハードウェアに関しては中国製がメインで、山田社長としては「目に付いたものは大抵やる(扱う)」のだそうだ。さらにTwitterでお客さんが「これやって」と言ったものは、基本的にほぼ全部やるスタンスなのだそうだ。
最後の最後に、やっちゃいましたよ。ガマンし切れなくて買っちゃいました、最新MOD VAPEとパーツ、ツールなどなど。しかもVAPE本体は最近話題のBF(Bottom Feeder)タイプ、そしてメカニカル式(この辺りの用語を調べていくのも楽しい)。帰ってから早速コイルを巻いてみたが、もちろん最初からうまくいくはずもない。これがうまく巻けるようになれば、もっと楽しいと思う。ああ、ECHIGOYAとフレキチ、通いたい店が末広町駅のそばに増えてきたなあ。
[制作協力:Flavor-Kitchen]
【Shop Information】
店名:電子タバコ専門店Flavor-Kitchen
住所:東京都千代田区外神田6-14-12 神田中沢ビル2F
営業時間:平日12時~19時
定休日:土・日・祝日
TEL:03-6806-0389
Webサイト:https://www.rakuten.co.jp/flavor-kitchen/