ボクたちが愛した、想い出のパソコン・マイコンたち

電卓に続き、MSXでも価格破壊を行ったカシオの機種「PV-7」

右側にある大きなジョイパッドが特徴ですが、これはジョイスティックの代わりとして機能するため、BASIC画面でカーソルを動かすことはできません

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げるのはカシオが1984年に発売した、当時のMSXとして最安値だった「PV-7」です

真上から見ても、ジョイパッドの印象が強く残るのがわかります。全体的な大きさはコンパクトで軽く、持ち運びもまったく苦になりません。

 1984年、数多くのMSX機種が市場へと登場しましたが、そこに電卓戦争で培ったノウハウを活かし、革命的な価格で現れたのがカシオのPV-7です。この当時、MSXは一般的なパソコンよりは低価格でしたが、それでも以前に紹介したCF-2000やHB-55などは5万円台という価格帯でした。そんな中へ投入されたPV-7は、それらよりも安い29,800円という衝撃的なプライスで、ユーザーに大きなインパクトを与えます。

 その代わりに、メインRAMはMSX規格最低の8KB、カートリッジスロットも1つというギリギリの仕様となっていました。メインRAMが8KBでは容量の都合で動かない市販ソフトもあったために、値段だけを見て買った人の中には後悔した人もいるかもしれません。

本体右側には、CMT/IF端子と映像・音声出力端子、RF出力端子があります。CMT/IF端子にデータレコーダへの接続ケーブルを直接接続することはできず、お値段3,000円のFA-32というCMTインタフェースを間に挟む必要がありました
背面はACアダプタの接続口と電源スイッチのみと、非常にシンプルです
左側面にはジョイスティックポートが2つ用意されています
本体底面の蓋を外すと、KB-7との接続コネクタがあるのがわかります。KB-7へは、PV-7を重ねるような形で接続することになります

 それらの不満点を補うべく発売されていたのが、KB-7と呼ばれる別売りの拡張ボックスです。PV-7をKB-7にドッキングさせることでメインRAMは倍の16KBへと増加するだけでなく、本体カートリッジスロットに挿すと鳴らないSCC音源も、KB-7側に挿入することで機能させることができました。しかも、カートリッジスロットが合計で3つになるため、同じ時期に出回っていた他の一般的なMSXよりもスロット数で上回ることに! また、KB-7からは電源コードが出ているため、PV-7単体での使用時には必要なACアダプタがいらなくなる、というのも地味なメリットです。なお、PV-7もKB-7も赤黒2色が発売されていましたので、組み合わせによってはツートンカラーでの運用も出来ました。

 カシオは翌年、外観はほぼ同じでもメインRAMの容量を倍の16KBにし、CMTインタフェースも内蔵した機種・PV-16を発売し、その勢いを維持していきます。

これが、拡張ボックスのKB-7です。非常にシンプルな作りになっていて、背面から電源コードが、正面左にはプリンタポートを、正面右には電源スイッチを備えています。
これが、実際に合体させた状態となります。やや奥行きが長くなるもののメインRAMが倍増するなどのメリットがあるので、実機で遊ぶなら手に入れておきたい周辺機器です。当時の価格は14,800円でしたが、本体と合わせると約45,000円とイイお値段になりました。