ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
大ブレイクしたPC-8801mkIISRの流れを汲み登場した「PC-8801FH/MH」、CPU速度は倍の8MHzに
2018年11月20日 06:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、NECが1986年に発売したPC-8801mkIISRシリーズの流れを汲む「PC-8801FH/MH」を紹介します。
1985年にPC-8801mkIISRを市場へと送り込んだNECは、その年が押し迫った頃に廉価モデルとも言えるPC-8801mkIIFRと、上位機種のPC-8801mkIIMRを投入します。そして、次の一手として採ったのが、新たなCPUを採用した新モデルとなるPC-8801FHとPC-8801MHの発売でした。
デザインを従来機種から一新したFH/MHは、「CPUにμPD70008AC-8を新たに採用。8MHzのクロック動作で、処理スピードを飛躍的に向上させました(従来は4MHz)」と広告で謳っているように、スピードアップしたことが前面に押し出されました。本体だけでなくキーボードも、「使いやすさを追求し、生まれたのが新採用の日本語対応キーボードです。キートップの表記に日本語をふんだんに取り入れ、より見やすくし、またいちだんと操作性を向上させるために、変換キー、全角キーなどを追加。さらにカーソルキーの位置も配慮しました」としています。これまでのキーボードよりも面積は広くなりましたが、よりシャープさが増した感じになっています。
PC-8801FHは、今まで発売されてきた“F”シリーズ同様、model 10~30までが用意されました。model 10はFDDなしで標準価格99,800円、model 20が1ドライブ搭載で138,000円、model 30は2ドライブを内蔵し168,000円となっていました。また、PC-8801MHは1モデルのみで、1Mバイトタイプ5インチFDD2台を内蔵し208,000円でした。FHは、FRに比べるとmodel 10以外は1万円ずつ値下がりし、MHはMRの238,000円から3万円のダウンとなっています。価格的にもこなれてきており、ここで購入に踏み切った人もいたのではないでしょうか。
ただし、CMT端子が搭載されているFHでもPC-8801時代に発売されたカセットテープゲームの中にはロードに失敗するタイトルが複数あるので、完全な互換性が保たれているわけではないようです。PC-88シリーズは、どの機種を所持すれば良いのか? と悩んでいる人もいるかもしれませんが、FR/MR以前の機種とFH/MH以降の機種を、それぞれ1台ずつ手元に置いておくのがベストでしょう。PC-8801mkIISRとPC-8801FAまたはMA2などがあると、どんなソフトでも遊べると思います。
NECとしては珍しくカラーバリエーションモデルが用意され、PC-88FHにカラーリングがブラックのPC-8801FH model 30(B)が発売されています。本体だけでなくキーボードも黒で、別売りではありましたがブラックタイプのディスプレイPC-KD862(B)とセットで揃えれば、“漆黒の88”を所持することができました。