ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

大ブレイクしたPC-8801mkIISRの流れを汲み登場した「PC-8801FH/MH」、CPU速度は倍の8MHzに

正面からの見た感じは、ロゴとFDDアクセスランプの色が違う以外は、ほとんど差異はありません(写真左がMH、右がFH)。PC-8801mkII、PC-8801mkIISR、PC-8801mkIIFR/MRまでのカラーリングから一転し、ホワイト色が強くなっています。また、本体の厚みも薄くなりました

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、NECが1986年に発売したPC-8801mkIISRシリーズの流れを汲む「PC-8801FH/MH」を紹介します。

 1985年にPC-8801mkIISRを市場へと送り込んだNECは、その年が押し迫った頃に廉価モデルとも言えるPC-8801mkIIFRと、上位機種のPC-8801mkIIMRを投入します。そして、次の一手として採ったのが、新たなCPUを採用した新モデルとなるPC-8801FHとPC-8801MHの発売でした。

真正面から撮影した写真ですが、それまでの機種にはなかったヘッドフォン端子がボリュームの隣に設置されているのがわかります。CPUスピードの切り替えスイッチがピンク色のリセットボタンの隣に配置され、その右側にある蓋を開けるとモード切替などのスイッチがあります。緑色のボタンが電源スイッチになります

 デザインを従来機種から一新したFH/MHは、「CPUにμPD70008AC-8を新たに採用。8MHzのクロック動作で、処理スピードを飛躍的に向上させました(従来は4MHz)」と広告で謳っているように、スピードアップしたことが前面に押し出されました。本体だけでなくキーボードも、「使いやすさを追求し、生まれたのが新採用の日本語対応キーボードです。キートップの表記に日本語をふんだんに取り入れ、より見やすくし、またいちだんと操作性を向上させるために、変換キー、全角キーなどを追加。さらにカーソルキーの位置も配慮しました」としています。これまでのキーボードよりも面積は広くなりましたが、よりシャープさが増した感じになっています。

PC-8801FH/MHより、イメージキャラクターが武田鉄矢氏から斉藤由貴さんへと変わりました。FHとMHはセットで掲載されていましたが、FHブラックモデルは別広告となっていました。

 PC-8801FHは、今まで発売されてきた“F”シリーズ同様、model 10~30までが用意されました。model 10はFDDなしで標準価格99,800円、model 20が1ドライブ搭載で138,000円、model 30は2ドライブを内蔵し168,000円となっていました。また、PC-8801MHは1モデルのみで、1Mバイトタイプ5インチFDD2台を内蔵し208,000円でした。FHは、FRに比べるとmodel 10以外は1万円ずつ値下がりし、MHはMRの238,000円から3万円のダウンとなっています。価格的にもこなれてきており、ここで購入に踏み切った人もいたのではないでしょうか。

キーボードは従来のモデルから大型化し、キートップなどに日本語表記が目立つモノとなりました。キータッチ感も良く、カチャカチャと小気味よい音がします

 ただし、CMT端子が搭載されているFHでもPC-8801時代に発売されたカセットテープゲームの中にはロードに失敗するタイトルが複数あるので、完全な互換性が保たれているわけではないようです。PC-88シリーズは、どの機種を所持すれば良いのか? と悩んでいる人もいるかもしれませんが、FR/MR以前の機種とFH/MH以降の機種を、それぞれ1台ずつ手元に置いておくのがベストでしょう。PC-8801mkIISRとPC-8801FAまたはMA2などがあると、どんなソフトでも遊べると思います。

背面はFHで見ていきます。左からサービスコンセント、電源コンセント、マウスコネクタ、アナログRGB端子、デジタルRGB端子、RS-232C端子、プリンタポート、CMT端子となっています。MHとの違いは、拡張スロットが1つなことと、CMT端子の有無になります。

 NECとしては珍しくカラーバリエーションモデルが用意され、PC-88FHにカラーリングがブラックのPC-8801FH model 30(B)が発売されています。本体だけでなくキーボードも黒で、別売りではありましたがブラックタイプのディスプレイPC-KD862(B)とセットで揃えれば、“漆黒の88”を所持することができました。