ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

あのPC-9801が1年でここまで安くなった「PC-9801E」

PC-9801ではかなり横に長い筐体でしたが、左右の幅が少々縮まりました。キーボードも新しいモデルになり、以降は互換性のあるコネクタを採用しています

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、NECがPC-9801発売の翌年に市場へ投入した「PC-9801E」となります。

 1982年、ビジネスで使用されることを前提に世に送り出された16ビットパソコンのPC-9801には、標準価格298,000円という値段がつけられていました。その約1年後、さらなるコストダウンが計られて登場したのがPC-9801Eです。後から発売されるモデルはスペックアップし、よりお買い得になるというのはよくある話ですが、PC-9801Eは8万円以上ものプライスダウンを実現し、標準価格215,000円まで一気に安くしてきました。広告のキャッチに「その経済感覚がE」とあるように、非常にエコノミーなモデルだったと言えるでしょう。

「その経済感覚がE」というキャッチコピーと共に掲載されていた広告です。右下には、似たような時期に登場した5インチ2DDのフロッピーディスクドライブを内蔵したモデル、PC-9801Fの広告も掲載されています。8インチFDDの標準価格が320,000円というのも、今から考えればなかなかのお値段です

 仕様はPC-9801からパワーアップし、16ビットCPUの8086-2(8MHz)を搭載。クロックを正面の切り替えスイッチにより、PC-9801と同じ5MHzか、または8MHzのどちらかに設定することができました。グラフィック用VRAMはPC-9801の96Kバイトから倍増し、192Kバイトを実装しています。これにより、640×400ドットで8色を2画面持つことができるようになりました。

 背面には6基の拡張スロットを備え、拡張性も十分に確保しています。ただし、漢字ROMはPC-9801同様搭載しておらず、実装メモリも同じ128Kバイトでした。また、PC-9801では搭載されていた8インチFDDインタフェースはPC-9801Eでは省かれ、8インチFDDを使用したいときは別売りのインタフェースボードを拡張スロットに挿す必要がありました。相変わらず本体より高い8インチFDDは、必要だった人にとってはなかなか懐に痛い出費だったと思われます。キーボードは、より洗練されたスカルプチャタイプのモデルが用意されましたが、キータッチはPC-9801のものと比べると、やや軽い感じがしました。

正面から見ると、本体幅がPC-9801と比べて少々短くなっています。そのためか、若干ずんぐりむっくりした印象を受けます
背面には左から電源コネクタ、サービスコンセント、キーボードコネクタ、デジタルRGB端子、モノクロ端子、5インチ2Dフロッピーディスク接続コネクタ、ディップスイッチ、RS-232Cコネクタ、プリンタコネクタとなっています。その上には、6つの拡張スロットが用意されています。うち1つには、8インチFDDを接続する為のインタフェースボードが挿さっています

 もちろん、初代PC-9801とソフトウェア&周辺機器は互換性があるので、デビュー時点でソフトやハードが豊富だったというのも特徴と言えるでしょう。

 この時期は、5インチ2DDのFDDを内蔵したPC-9801Fと未来を垣間見せてくれたPC-100がデビューしており、各種雑誌ではそれら2機種がメインで取り上げられていました。その中で発売されたPC-9801Eは地味でしたが、確実に市場のニーズをつかんだハードだったと思われます。ちなみに、PC-9801シリーズとしては初めて、広告にマウスが登場した機種でもありました。

ガワを取り外してみました。PC-9801とはまた違い、排熱効率を考えてかファンの位置が左から右端へと移動しています
PC-9801Eに付属していたキーボードは、右上に“PC-9801”の表記のみでした。後に、本体の型番に合わせて“PC-9801V”や“PC-9801U”と記されたモデルも登場しています