ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

“NEW Z-BASIC”が同梱され多色モードに対応した「X1turboZII」

外見は、X1turboZとまったく同じです。違っているのは、正面にあるX1turboのロゴが白から金色になったことと、Zの文字がX1turboZの赤から金色に変わった点です。キーボードもX1turboZのものと同じで、ロゴの色だけ変化しています。今回は本体と同色のキーボードが見つからなかったので、X1turboの黒キーボードで雰囲気を再現しました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、シャープが1987年の終わりに発売したX1turboZシリーズの2代目「X1turboZII」となります。

 1986年はX1turboZがX68000と同時に発表された年でしたが、約1年後となる1987年11月にシャープがお披露目し、12月にリリースされたのが、X1turboZシリーズの2代目となるX1turboZIIです。ZZやZ2になるのかと思っていた人もいたそうですが、結果的にはZIIという名称が採用されました。

 外見はX1turboZとまったく同じで、異なる部分は正面に見えるロゴのカラーリングのみです。“Z”が赤ければX1turboZ、ロゴ全体が金色ならX1turboZIIと区別がつくので、見分けるのは簡単かと思います(?)。

 X1turboZは当初、ブラックとオフィスグレー2種類のモデルが用意されましたが(7月まで2種類で、8月以降はブラックのみ)、X1turboZIIのカラーバリエーションはブラックオンリーとなりました。もちろん、マウスもX1turboZと同じく標準装備ですが、そのカラーリングはオフィスグレーとなっています。

リリース直後の広告では、「あふれるクリエイティブマインド-NEW Z-BASIC搭載。ADVANCED TURBO ZII 新登場。」とのキャッチコピーで宣伝されていました。この「ADVANCED TURBO」というフレーズは、発売後暫くしてから掲載されるようになった別バージョンの広告や、後に発売されるX1turboZIIIの広告でも使用されます。

 スペックとしてはX1turboZと同じく5インチ2HDディスクドライブを2基搭載し、JIS第1/第2水準漢字ROMを標準装備、「システム・ユーザー辞書」を利用した高度な日本語処理機能を内蔵しています。また、4,096色アナログRGB対応、8重和音FM音源、ビデオデジタイズ機能なども盛り込んでいました。メインメモリはX1turboZの標準64KBにくわえて、拡張メモリ64KBが追加され128KBとなっています。

正面左下にはキーボード接続端子が位置していて、その上には黄金のX1turboZロゴがあります。蓋を開けると中には、取込み映像カラー調整つまみ、取込み映像コントラスト調整つまみ、音量調整つまみ、ミキシング調整つまみ、IPLリセットボタン、NMIリセットボタン、起動ディスクタイプ切り替えスイッチ、VTR録画モード切り替えスイッチ、200ライン自動切り替えストップスイッチ、標準/高解像度切り替えスイッチ、隣にマウスコネクタ、上部に電源スイッチが並んでいます。

 最大の特徴は、これらの豊富な機能をBASICから活用することができるNEW Z-BASIC(CZ-8FB03)が同梱されたことでした。多色モードに対応し、VSAVEやVLOADといったコマンドでグラフィック画像データをセーブ・ロードできるほか、PSAVE/PLOADを使えば1命令で4,096色分のパレット設定値がセーブ/ロードできます。ただし、デバイスはフロッピーディスクまたはハードディスク、EMMのみで、CASやCOMは許可されていません。

 このほかにも、MML関係の命令はX68000とコンパチになっていますが、NEW Z-BASICではM_CLRコマンドにより任意のトラックバッファをクリアして、メモリを有効に使えるようになっているのが特筆すべき点です。これらの追加された命令群を解説するために、マニュアル類も一新されました。

 NEW Z-BASICは、64KBの拡張RAMボードを装着したX1turboZでも使用できるので、それを購入しロゴを金色に塗れば、あなたのX1turboZも即座にX1turboZIIへとバージョンアップさせることが可能です。……ロゴのカラーリングはともかく、ですが(笑)。NEW Z-BASICは、グラフィック関連コマンドを除けばX1turboシリーズでも使うことが出来ます。

 X1turboZIIは、これらの機能を搭載して価格179,800円となっていました。同時に、ドットピッチ0.31mmの高精細カラーディスプレイテレビCZ-830Dも、98,000円で登場しています。

背面は左から、主電源、RGB出力端子、TVコントロール端子、CMT接続端子、アナログRGB出力端子、外部フロッピーディスク接続端子、ビデオカット用端子、RS-232C端子、プリンタポート、ジョイスティック接続端子、ビデオ入出力端子、ディップスイッチ、音声出力端子が並んでいます。プリンタポートやジョイスティック端子の上には、拡張I/Oスロットが2基用意されています。
X1turboZIIと同時に発売されたプリンタは、合計3機種。このスペックでこの値段でしたが、それでも安かったということを考えると、今のプリンタがもの凄い価格設定なのが良く分かります。

 この時期には、X68000のブラックモデルとX1twinもあわせて発表されていましたが、周辺機器として24ピンのドットインパクト漢字プリンタも新発売となっています。今のプリンタ本体の価格からすると驚きの10万円前後という値段設定となっていますが、それでも当時としてはかなり頑張った値付けでした。

 本機以外に1987年末に発売された機種としては、PC-8801FA/MA、FM77AV20EX/40EX、PC-9801UXなどがあり、このほかにMSX2パソコンもセパレート型などの高級機が、同じような価格帯でバトルを繰り広げていた時代でした。

 X1turboZシリーズはこの後、1988年に発売されるX1turboZIIIが最終機種となり、その後の展開はX68000シリーズに集約されていくこととなります。