ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
“NEW Z-BASIC”が同梱され多色モードに対応した「X1turboZII」
2021年9月15日 00:00
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、シャープが1987年の終わりに発売したX1turboZシリーズの2代目「X1turboZII」となります。
1986年はX1turboZがX68000と同時に発表された年でしたが、約1年後となる1987年11月にシャープがお披露目し、12月にリリースされたのが、X1turboZシリーズの2代目となるX1turboZIIです。ZZやZ2になるのかと思っていた人もいたそうですが、結果的にはZIIという名称が採用されました。
外見はX1turboZとまったく同じで、異なる部分は正面に見えるロゴのカラーリングのみです。“Z”が赤ければX1turboZ、ロゴ全体が金色ならX1turboZIIと区別がつくので、見分けるのは簡単かと思います(?)。
X1turboZは当初、ブラックとオフィスグレー2種類のモデルが用意されましたが(7月まで2種類で、8月以降はブラックのみ)、X1turboZIIのカラーバリエーションはブラックオンリーとなりました。もちろん、マウスもX1turboZと同じく標準装備ですが、そのカラーリングはオフィスグレーとなっています。
スペックとしてはX1turboZと同じく5インチ2HDディスクドライブを2基搭載し、JIS第1/第2水準漢字ROMを標準装備、「システム・ユーザー辞書」を利用した高度な日本語処理機能を内蔵しています。また、4,096色アナログRGB対応、8重和音FM音源、ビデオデジタイズ機能なども盛り込んでいました。メインメモリはX1turboZの標準64KBにくわえて、拡張メモリ64KBが追加され128KBとなっています。
最大の特徴は、これらの豊富な機能をBASICから活用することができるNEW Z-BASIC(CZ-8FB03)が同梱されたことでした。多色モードに対応し、VSAVEやVLOADといったコマンドでグラフィック画像データをセーブ・ロードできるほか、PSAVE/PLOADを使えば1命令で4,096色分のパレット設定値がセーブ/ロードできます。ただし、デバイスはフロッピーディスクまたはハードディスク、EMMのみで、CASやCOMは許可されていません。
このほかにも、MML関係の命令はX68000とコンパチになっていますが、NEW Z-BASICではM_CLRコマンドにより任意のトラックバッファをクリアして、メモリを有効に使えるようになっているのが特筆すべき点です。これらの追加された命令群を解説するために、マニュアル類も一新されました。
NEW Z-BASICは、64KBの拡張RAMボードを装着したX1turboZでも使用できるので、それを購入しロゴを金色に塗れば、あなたのX1turboZも即座にX1turboZIIへとバージョンアップさせることが可能です。……ロゴのカラーリングはともかく、ですが(笑)。NEW Z-BASICは、グラフィック関連コマンドを除けばX1turboシリーズでも使うことが出来ます。
X1turboZIIは、これらの機能を搭載して価格179,800円となっていました。同時に、ドットピッチ0.31mmの高精細カラーディスプレイテレビCZ-830Dも、98,000円で登場しています。
この時期には、X68000のブラックモデルとX1twinもあわせて発表されていましたが、周辺機器として24ピンのドットインパクト漢字プリンタも新発売となっています。今のプリンタ本体の価格からすると驚きの10万円前後という値段設定となっていますが、それでも当時としてはかなり頑張った値付けでした。
本機以外に1987年末に発売された機種としては、PC-8801FA/MA、FM77AV20EX/40EX、PC-9801UXなどがあり、このほかにMSX2パソコンもセパレート型などの高級機が、同じような価格帯でバトルを繰り広げていた時代でした。
X1turboZシリーズはこの後、1988年に発売されるX1turboZIIIが最終機種となり、その後の展開はX68000シリーズに集約されていくこととなります。