ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち

これぞハードボイルドゲームの傑作といえる1本「マンハッタン・レクイエム ~闇に翔ぶ天使たち~」

タバコをくゆらすJ.B.のイラストや実写の写真を使用し、パッケージも渋い雰囲気で統一されています。

 想い出のレトロパソコンやゲームを写真とともに振り返る本コーナー。今回はリバーヒルソフトより発売されたミステリアドベンチャーの傑作「マンハッタン・レクイエム ~闇に翔ぶ天使たち~」を取り上げます

 リバーヒルソフトと言えば、初期の頃は開発ツールのほかシューティング「ズーム イン スペース」や占星術アドベンチャー「アストロロジー・スクランブル」「巨大地震」といったタイトルを発売していましたが、1984年に入ると「Gメン 記憶を探せ!」「白バラ連続殺人事件」といった、ミステリアドベンチャーをリリースするようになります。

 そして1986年、刑事J.B.ハロルドを主人公としたハードボイルドアドベンチャー「J.Bハロルドの事件簿 #1 Final Mystery Murder Club(殺人倶楽部)」が発売されます。シリーズ1作目は、その渋い雰囲気とJ.B.ハロルドというキャラクター、“捜査は足で稼ぐ”を地で行くシステムが受け入れられ、一気にリバーヒルソフトの名前を有名にしました。そのシリーズ2作目にあたる「J.B.HAROLD SERIES #2 マンハッタン・レクイエム ~闇に飛ぶ天使たち~」が、今回取り上げたタイトルとなります。

広告も、暗めの色を基調に渋く作られています。これを見るだけで、ワクワクしたものでした。
ちなみに、こちらがリバーヒルソフトの古い広告です。83年のモノクロ版が一番古く、84年のカラー版ではミステリアドベンチャーが目立つようになっています。

 プレイヤーはJ.B.ハロルドとして、前作に登場し知り合いになった人物“サラ・シールズ”が謎の自殺を遂げたという事件に関し、謎を解明するためにマンハッタンに向かい捜査を進めることになります。システムは、前作から続くコマンド選択式アドベンチャーですが、その選択肢の組み合わせ数は膨大な量にのぼります。

 総当たりでクリアできるとはいえ、それではとんでもない時間がかかってしまうため、必然的にじっくりと考え行動する必要がでてきます。この選択肢を選んでいく様が、現実の捜査で良く言われる「捜査は足で稼げ」に例えられ、よりリアル感を醸し出していたと評されました。

タイトル画面からにじみ出る渋さも、本作の雰囲気を盛り上げるのに一役買っています。なお、こちらの画面写真はMSX2版です。
ゲームは、表示されたコマンドを選択していくだけとシンプル。ただし、人間関係やアリバイなどを考える必用があるため、一筋縄ではクリアできません。操作にはキーボードのほか、当時としては珍しいマウスでのオペレーションも可能でした。

 また、ゲーム全編を通じて流れるジャズ風のBGMや、リアルさにこだわって描かれた登場人物や背景グラフィック、捜査の進捗を確認するときの画面など、とにかくハードボイルドにこだわった作りになっているのも魅力でした。アドベンチャーゲームと言えば、アニメ絵風のグラフィックが多かった当時としては、珍しい方向性だったのは間違いありません。また、数々のアイテムが捜査資料として同梱されてきたのも、ファンには嬉しいサービスでした。

パッケージには、さまざまなアイテムが同梱されていて、これらを使用することで雰囲気が盛り上がりました。

 物語は、捜査を進めるとサラ・シールズにかけられた保険金の受取人が同姓同名の“サラ・シールズ”ということが判明し、さらに謎が深まっていきます。もし興味を持った人がいれば、スマートフォン向けアプリやニンテンドーDS用で遊ぶことができるほか、プロジェクトEGGでも配信されていますので、ぜひプレイしてみてください。なお、当時のパソコンではシリーズは第3作の「D.C. コネクション」までが発売されました。