ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

タカラのPCゲームブランド「フェニックス」と、広告で麻雀ソフトを前面に打ち出した「福山ソフテック」

~永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本~

永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、マイナーソフトハウス編から「フェニックス」と「福山ソフテック」となる。

 なお、書籍版では画像はモノクロだが、本記事では一部カラーの写真を掲載している。


- - マイナーソフトハウス編 ―フェニックス― -


テレビ番組や映画のゲームなどもリリースしていた

 フェニックスは、株式会社タカラのパソコンゲームソフトブランド名だ。84年を中心にソフトをリリースしていたが、当時広告を見て『ゲームパソコンM5』用のソフトと勘違いしていたほど、他機種用のソフトという宣伝印象の残らないページだった。

 玩具メーカーという強みを活かし、『ボトムズ』『ウルトラマン』などの版権タイトルのほか、映画『時をかける少女』を題材とした『原田知世の時をかける少女』『原田知世のシネマパズル』や、TBS系列で放映されていたテレビ番組をモチーフにしたソフトなどもリリースしていた。なかでも驚くのは、PC-8001mkII用に“あの”『ムーンパトロール』を発売していたことだろう。

フェニックスブランドの一部ゲームは、銀色のパッケージにカセットテープなどが収録されており、しかもテープラベルまで銀色という豪華仕様だった。当時のソフトを見回しても、そこまで気合いの入ったラベルを使っていたところは見つからないので、製作者の並々ならぬこだわりがあったのだろう。子供心に、金色や銀色から放たれる神々しさには、なぜか感動したものだ。
せっかくなので、『人生ゲーム ハイ&ロー』を紹介しよう。同作は、当時ゴールデンタイムに放映されていたテレビ番組を元にしたタイトル。52枚のトランプから1つを選び、その数字の数だけ先へと進んでいくのだが、止まったマス目がスペードだと降格させられたり財産を没収されてしまう。ダイヤやハートならば、所持金からいくらかを支払いゲームに挑戦でき、うまくいけば商品が手に入る。こうして7巡以内に社長になれば優勝だ。テレビ版のエッセンスもしっかり盛り込まれているが、ちょっと描画が遅いのが惜しい。ちなみに3人まで遊べるが、1人でプレイする場合は、回答者が1人しかいない寂しいクイズ番組に……。

版権ものタイトルが多いが気になるデキ映えは?

 『原田知世のシネマパズル』は、背景・顔・洋服を27色から選べるパズルゲーム。最初は16パズルだが、クリアすると2枚目は25パズル、最後の3枚目はフルスクリーン40パズルとなる。カラーをカスタマイズして、自分好みの原田知世CGにできるのが珍しい仕様だ。グラフィックも、本人にかなり似ているといえる。

『原田知世のシネマパズル』のゲーム画面

- - マイナーソフトハウス編 ―福山ソフテック― -


広告で麻雀ソフトを前面に打ち出していた広島のソフトハウス

 83年中頃から84年中頃までの約1年間ほど、広告を出している。

 最初の対応機種はX1で、『パーフェクトマージャン』『パーフェクトマージャンパート2』『ポーカーゲーム』など、5タイトルを発売していた。その後、4人で遊べる『パーフェクト四人麻雀』や『グラフィックエディター』を新たにリリース。なぜここまで麻雀にこだわったのかはわからないが、『パーフェクトマージャン2』の作品紹介文“あなたとの1対1の真剣勝負は、まさにコンピュータ対人間の頭脳の争い、あなたの全知全能を賭けて、挑んで下さい”を見ると、同社の気合いの入れようがわかる。のちに、固定画面アクションパズル『お花ばたけ』『ACTION HOUSE』と、既発売タイトルのMZ-2000/2200対応版をリリースし、そのままフェードアウトしていく。

 福山ソフテックの商品を販売していた総発売元は、広島県南区にあった株式会社フタバ図書。2018年現在も広島県を本拠地にして、複合書店やインターネットカフェを経営している。

福山ソフテックを代表する『パーフェクトマージャンパート2』のデキばえは?

 福山ソフテックの自信が現れている1本『パーフェクトマージャンパート2』は、中級者向けと書かれている麻雀ソフト。2人麻雀なので、ツモは20巡までとなっている。また、プレイヤー側がリーチをかけると、コンピュータはオープンで勝負してくるが、思考ルーチンはそれほど賢くない。

 『四柱推命「易」プログラム』は、易者の慣習を受けた本格的な営業用プログラムと謳い、1912年から2083年までの性格、運勢、社会活動力、相性、未来の予測など600種類が鑑定できるというソフトだ。驚くべきは、対応機種がMZ-3500で、値段が300,000円だったということ。ビジネスソフトだからだと思われるが、ゲームを発売していた福山ソフテックとしては畑違いの1本だったのは間違いない。

他作品を他機種に移植しても流用不可な外見
この時代では珍しくない、紙パッケージにテープが入っている。ユニークなのは、パッケージに対応機種であるX1の写真が配置されているところだ。箱の中にはカセットテープ1本しか収納されていないのだが、そのサイズよりも大きく作られているのは、やはり店頭で目立つための工夫なのだろうか。
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