ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
“アイコンで行動を選ぶ”斬新なシステムに感心した「太陽の神殿 ~ASTEKA II~」
2019年1月24日 08:05
当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は日本ファルコムから1986年に発売された「太陽の神殿 ~ASTEKA II~」を取り上げました。
1985年に発売された「ASTEKA」は、瞬間画面表示やリアルなグラフィック、壮大な物語などで話題になりました。その続編の名前を冠して1986年に登場したのが、この「太陽の神殿 ~ASTEKA II~」です。
舞台となるのはかつてマヤ文明が栄えていた地域で、主人公はそこにある遺跡を巡りながら太陽の神殿と太陽の鍵についての謎を追い、見つけることが目的となります。
当時のアドベンチャーゲームと言えばコマンド選択式が主流でしたが、本作はそれまでに無かった“アイコンで行動を選ぶ”という斬新なシステムを採用しました。画面に表示されている行動アイコンを選び、リターンキーで決定。代わりにスペースキーを押せば対象物選択となり、ターゲットをカーソルで決めてからリターンキーを押すとアクションを起こすなど、従来にはない目新しさが魅力の一つでした。
アイコンから行動を選んで進めていくだけなので簡単に思えるのですが、そうは問屋が卸してくれません。アイテムを使ってはいけない場面で使用し、後に違うシーンで必要になることが発覚したり、移動してはいけないところへ行ってから気づくなど、俗に言うハマリ箇所がいくつも用意されていました。そのため、何でもアクションを起こせば良いわけではなく、きちんと思考を巡らせて行動する必要があります。
また、とりたてて意味は無いものの、広大な密林地帯の規模の大きさにも驚いたものでした。ここを移動中に迷子になり、諦めてロードしたり最初からやり直した人も多いのではないでしょうか。
本作は、ある意味最初から全マップが見えているため、移動先に関して迷うことはほとんど無いものの、各場面ごとに設置された仕掛けが複雑なので難易度としてはかなり高い方ではないかと思われます。そのシナリオを手がけたのは、当時のパソコン雑誌などに“黒魔術師”の冠を付けて紹介されていた、宮本恒之氏でした。雑誌「LOGiN」などでは、黒いマントを羽織って映っていたこともあり、記事を見て「一体何者なんだ……」と思ったことが多々ありました。写真の背景に雑誌「ムー」が映っていたのも、黒魔術師の冠に箔を付けたような気がします(笑)。
実際、本作は各シーンに歯ごたえある仕掛けがいくつも用意されていたため、途中で投げ出したくなったことが何度もありました。しかし、そう思わせなかったのが、もう一つの魅力である阿部隆人氏が手がけたプレイ中に流れる美しいBGMです。特に、無事に太陽の鍵を見つけて迎えたエンディングで演奏される楽曲を聴いたときは、非常に感動したものでした。
プレイ環境としては、今でもProject EGGにて手軽に遊ぶことができるほか、中古市場でもそれなりに見かけることがありますので、興味を持った人はぜひ体験してほしいものです。ちなみに、MSX2版には他機種にはないオープニングが収められているという特徴があるので、気になる人はこちらも遊んでみてください。
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