ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
信長の野望や三国志シリーズだけじゃない「光栄マイコンシステム」と、1980年代に“人工知能ジル”をリリースした「アンプルソフトウェア」
~永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本~
2020年6月30日 07:05
連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。
今回取り上げるページは、メジャーソフトハウス編から「光栄マイコンシステム」と、マイナーソフトハウス編から「アンプルソフトウェア」となる。
なお、書籍版では画像はモノクロだが、本記事では一部カラーの写真を掲載している。
- メジャーソフトハウス編 ―光栄マイコンシステム― -
シリーズ作品を大事に育て上げることに長けた面を持つ
『信長の野望』や『三国志』などのシリーズを大事に育て上げ、大ヒットを飛ばしてきたメーカーだが、ひっそりと発売されたソフトも数多い。
初期の頃は『投資ゲーム』や『ノルマンディー上陸作戦』などのシミュレーションゲームを中心にしたラインアップを80年代前半に投入しており、その中心にいたのはシブサワ・コウ氏だ。RPGへもいち早く着目し、『クフ王の秘密』『剣と魔法』などを世に送り出している。
光栄本社ビル完成を記念した“COMIX”というブランドも立ち上げ、『JAILUS』『クリス愛の旅立ち』といったゲームなどをリリースした。
最初期のパッケージはカセットテープのケースそのままだが、化粧箱に入れられるようになった初期パッケージは商品がカセットテープだったこともあり、それよりひと回り大きな紙のパッケージに収録されて発売されている。ちなみにこれは、男女の夜の営みをナビゲートしてくれる『ナイトライフ』のパッケージ。
ちょっとレアなゲームとして、2本取り上げてみた。『CONSTRUCTION』は、アクションゲームを作れるという珍しい作品。主人公のキャラデザに始まり、アクションの設定、迷路構成、BGM作曲、編曲などなど……。本ソフトで作ったゲームを募集するコンテストも行われた。
また、「アドベンチャーパック」は2つのソフトが1本のテープに入った作品で、『山手線アドベンチャー』『コンピュータジャック』が収録されている。『山手線アドベンチャー』は、山手線の駅を1カ月以内に1周しつつ、電気商社としてセールスを行うゲーム。駅の数が実際の半分以下だが、各駅ごとにマップがあるため一筋縄ではいかない。どちらかというとシミュレーションゲームといえる。
一方の『コンピュータジャック』は、敵のアジト内にあるメインコンピュータを破壊し脱出を目指すアドベンチャー。コマンド入力式で、味のあるCGで魅せてくれた。
- マイナーソフトハウス編 ―アンプルソフトウェア― -
資本金1億円超えの巨大企業が発売していたソフトとは?
アンプルソフトウェアは1978年11月に創業された会社で、当時としてはかなり規模の大きいソフトハウス。ただし、制御や解析など工業用のソフトがメインで、ゲームは全体のわずか6%だった。
83年当時、社長の高取直氏が「今はRPGが来ているが、今後は擬似人工知能型応答ゲームが主流になるだろう」との考えのもと、『人工知能ジル』をリリース。同じ頃、MIA出版から発売されていた「パソコンゲーム傑作選集2 アンプル編」には、既発売ゲームの全リストが掲載されていた。ほかにも80年代前半に数多くのタイトルをリリースしていたが、その後はマイコン雑誌で広告やゲームなどを見かけることはなかった。
PC-8001向けには、セミグラフィックを駆使した『ポッピングパニック』『ランダムウォーカー』などのゲームをリリースしていた。どちらも可愛らしいキャラを操作してゲームを進めていくアクションで、『ポッピングパニック』は飛び跳ねているボールをキャッチして、上空を飛んでいるUFOに当てるのが目的。『ランダムウォーカー』は、迷路にあるチェリーを面ごとに決まった数だけ回収していく。同じ作者ということもあり、可愛らしいキャラクターも似ている。