ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

スクウェアの『アルファ』、ほぼ全シーンでアニメーション処理が導入されたADV

パッケージには、パッケージデザインをいのまたむつみさんが、イラストレーションは影山楙倫(かげやましげのり)さんが行ったことが記されています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、1986年にスクウェアから発売されたアドベンチャーゲーム『アルファ(ALPHA)』を取り上げました。

 1980年代前半に流行したアドベンチャーゲームは、当初は文字だけだったものにグラフィックが加わり、視覚的にも楽しめるものへと進化していきました。その次に登場したのが、描画速度の高速化を謳ったタイトルです。画面瞬間表示や、0.5秒でグラフィックが描かれるといったそのスピード争いが一段落した頃、さらなるステップとして出てきたのが、アニメーション処理の導入でした。特に有名だったのが、エニックスから発売されていた『セイバー』ですが、その少し後にスクウェアからリリースされたアニメーションアドベンチャーゲームが『アルファ』です。ストーリーは、以下のようになっていました。

アニメーションすることをアピールするために、広告もさまざまなバリエーションが用意されました。

 21世紀中に太陽系の惑星を探索し尽くした人類は、開発の目的地をエリダヌス座イプシロン星系の惑星αに定めた。地球から10.7光年先に到着するには数百年を要するため、巨大な宇宙船で自給自足の生活を送りながら、何世代にも渡って命を紡ぎながらの旅となったのである。西暦2101年、人類初の恒星間航行用宇宙船ダイダロスは、何万人もの人々を乗せ地球を旅立った。そして長い月日が経ち、船には船内の都市と宇宙しか知らない人々だけが、怠惰な日々を送っていた。そんなダイダロスの船内を見渡す小高い丘に、一人の少女がたたずんでいた。名前はクリス。それが彼女の記憶のすべて……。

こちらが、当時の同梱物です。『ブラスティー』でもお馴染みの、ピクチャーレコードが付属していました。

 1986年に発売された作品ですが、システムはコマンド選択式ではなくコマンド入力式を採用していました。カタカナで入力していくのですが、ローマ字カナ変換も可能なので、今でもサクサクとプレイ出来るでしょう。入力は動詞+名詞または名詞+動詞のどちらでもOKで、移動はテンキーの2468で行えるという、親切な設計になっていました。

 本作最大の特徴は、なんといっても随所で見る事が出来るアニメーションでしょう。ほぼ全編で何らかのアニメーション処理が入っているため、従来のアドベンチャーゲームと比べると臨場感が格段にアップしていました。特に、タイトル画面が表示される直前のクリスが銃を撃つアニメーションは、『セイバー』のオフェーリア姫が涙を流すシーンと並ぶくらい有名で、どちらも広告で大々的に使われています。

ほぼ一本道のアドベンチャーゲームですが、入力するコマンドを考えるのはなかなか難しいです。最初のうちは、あちこち移動しながらマッピングを行うのが良いでしょう。

 他にも、道中で捕まり文字通り身ぐるみ全部剥がされ、牢屋に繋がれてしまう場面なども話題となりました。とはいえ、このシーンに出くわしてしまうと持ち物をすべて回収されてしまうため、重要なアイテムを持っている時にCG見たさに捕まると結果的に“ハマり”になってしまうことに(笑)。この当時は、ほんの少しのミスで即ゲームオーバーになってしまうことがまだまだ多かったので、こまめなセーブとマッピングは欠かせませんでした。

捕まった場面と釈放されるシーンもさまざまな意味で有名ですが、こうなると持ち物を全部奪われてしまうため、クリア出来なくなることも……。

 また、特定のコマンドを入力することで、いわゆる“隠れキャラ”が登場する仕掛けも話題を呼んでいます。ゲームの進行にはまったく関係の無いお遊び要素ですが、本編をクリアしても隠れキャラを見つけるという楽しみが残されていたため、一度クリアすれば終わりというアドベンチャーゲームではあったものの何度かは堪能できました。

アニメーションシーンを、連続写真で並べてみました。このような感じで動いているのを初めて見た時は、思わず「おおっ!」と感嘆の声が出たものです。

 今はプロジェクトEGGにて配信も行われているので、興味を持った人は遊んでみてください。余談ですが、FM-7版はプレイ中にPF8キーを押すことで、表示をカタカナ・ひらがなに切り替えることができます。カタカナでは読みづらいですが、ひらがなにすると読みやすいため、謎解きもスムースに進むかもしれません?

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