ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

名作一網打尽:「タイムシークレット」&「タイムトンネル」 ~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会、出版社:総合科学出版)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“名作一網打尽:「タイムシークレット」&「タイムトンネル」”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


名作一網打尽:「タイムシークレット」&「タイムトンネル」


時間移動の要素を演出に取り入れた『タイムシークレット』&『タイムトンネル』

 80年代初頭、数々のソフトハウスが生まれて、さまざまなゲームを世に送り出したが、そのなかの一社にボンドソフトがあった。とがったメーカーではなかったが、アドベンチャーゲームが大流行していたタイミングで名作といわれる『タイムシークレット』『タイムトンネル』の2作品を発売し、ユーザーの心をがっちりと掴んだ。

 手がけたのは、ネコジャラ氏。グラフィック画面を持っていても同時発色数の少ないPC-8001mkII版では、グラフィックの描き直しが行われたほか、グラフィック画面を持たないMZ-700シリーズ対応版ではすべてキャラクタで描かれていた。

タイムマシンを使いさまざまな時代を巡りながら、ダナーク星人の弱点を見つけ倒せる武器を入手するのが目的。アドベンチャーではあるが戦闘シーンが用意されており、下準備をしておかないと負けることがほとんど。しかし、乱数要素があるので勝つことも。

 『タイムシークレット』は、その名前の通り時間移動の要素を含んだアドベンチャーゲーム。当時、Apple II用に発売されていたアドベンチャーゲーム『タイムゾーン』になぞらえ、雑誌などでは“和製タイムゾーン”などと称されていた。規模が非常に大きく、さらには登場する敵との戦闘シーンもあるなど、アドベンチャーゲームらしくない一面も持っていた。雑誌のモノクロページに広告を出していたが、発売当初はそれほど盛り上がっていたわけではない。大ブレイクしたのは、『マイコンベーシックMagazine』の『山下章のチャレンジ!アドベンチャーゲーム』のコーナーに取り上げられてからだろうか。

 西暦2552年の世界にて、タイムマシンの試作1号機を作り上げた主人公のもとに入る連絡。それは、ダナーク星人襲来だった。その時点では刃が立たない相手だったため、タイムマシンを利用して地球の過去の歴史からダナーク星人の弱点を探すことに……というシナリオ。各時代ごとにやるべきことがあり、うまくクリアしていかないと先へ進めないのだが、戦闘シーンは乱数に左右される部分もあり、運がいいと特定アイテムを持っていなくても先へと進めてしまうのもユニークな部分だ。

 続編となる『タイムトンネル』は、サブタイトルに「タイムシークレット2」と銘打たれており、実際に『タイムシークレット』から大幅に内容がパワーアップしていた。

 総画面数は4割増しの140画面、登場人物も総勢21人となっており、何よりワープする際のグラフィックが非常に近未来的だった。単なるパレット変更による演出ではあったものの当時としては画期的だったほか、マルチエンディングが採用されていたことで4種類のエンディングをすべて見られたかどうかでも話題になった。

 こちらもMZ-700シリーズ対応版がリリースされており、もちろんすべてがキャラクターで描かれていた。違う意味でも力作なので、興味のある人は是非入手してプレイしてほしい。

 なお、雑誌などではシリーズ3作目を85年中に発売する旨の記事が載っていたものの、残念ながら日の目を見ずにフェードアウトしてしまったようだ。ほかにも、シリーズ通してキャラクターデザインを手がけていたLEMI氏が制作しているというゲームのリリースも、一部雑誌ではアナウンスされていた。だが、こちらも発売はされなかったようで至極無念。

地球をダナーク星人の魔の手から守るため、今作ではタイムトンネルを使い時代を行き来する。マルチエンディングを採用していたが、4つすべてを見られた人は、どのぐらいいるのだろうか?
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