ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

名作一網打尽:「スターアーサー伝説」シリーズ3部作

~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会、出版社:総合科学出版)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“名作一網打尽:「スターアーサー伝説」シリーズ3部作”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


名作一網打尽:「スターアーサー伝説」シリーズ3部作


壮大でドラマチックなストーリーが話題になった「スターアーサー」シリーズ3部作!

 1980年代の前半といえば、まだまだアドベンチャーゲームが流行していた頃。市場にはRPGはあまり出回っておらず、ユーザはアドベンチャーゲームをこぞって遊んでいた。当初は文字だけだったアドベンチャーゲームも、時代を経るごとにグラフィックが表示されるようになり、ストーリーもより凝ったものへと進化していく。その過程では、実に多種多様なタイトルが生まれてきた。

『惑星メフィウス』では、その色鮮やかなグラフィックにも注目が集まった。ゲーム中に制作者が登場するといったお茶目がある一方で、後半にはしんどい場面もあった。

 そんな時代に登場したのが、1983年にT&E SOFTから発売された『惑星メフィウス』だ。同社としては初となるコマンド入力式を採用し、フルカラーで描かれるグラフィックや従来のアドベンチャーゲームにはなかった壮大なストーリーが話題を呼んだ名作だ。当時としては珍しい凝ったパッケージイラストで、手に取ったときはワクワクしたものだ。

 コマンド入力方法が独特で、ほかのタイトルと同じく動詞→名詞と入力していくのだが、動詞は登録されているものしか受け付けないようになっている。この時代のアドベンチャーゲームといえば、状況に合わせて自分で単語を調べ「TAKE MEMO」のように動詞と名詞を続けて入力するパターンが一般的だった。この入力単語を探すのに苦労するゲームが多いなか、本作はそれを回避したという点でも画期的だったといえるだろう。その代わりというわけではないのだろうが、後半に出現する砂漠地帯で泣かされた人は多いはず。今思うと、理不尽以外の何ものでもない(笑)。

 1984年に、シリーズ2作目として登場したのは『暗黒星雲』。ストーリーは続いているものの、前作のセーブデータは必要ないので、単体でもプレイ可能だ。ただし『惑星メフィウス』に登場したキャラクターが出演するので、1作目を遊んでおくにこしたことはない。

 物語はこのようにして始まる。前作で伝説の剣レイソードの入手に成功した主人公のスターアーサー王子は、レイソードのパワーを引き出すためにオリオン座へ向かえとの謎の老人の言葉を受けて、宇宙船クラプトンIIでオリオン座を目指す……。途中にランダムで戦闘が発生したり、アイテムの取得順序を間違えるとハマるなどの仕掛けはあるが、失敗すると簡易なヒントが表示されるので比較的親切な部類といえた。

 ディスク版・テープ版の2媒体で発売されていたが、ランダムアクセスができないテープ版では戦闘はランダムではなかったなど、多少の差違があったのも当時ならでは。

持てる持ちものの数が決まっているので、ダミーを掴まされて苦い思いをしたという人もいたのでは?また、アドベンチャーゲームなのにアクションゲームをプレイさせられるシーンもあるため、アクションが苦手な人は苦労した。

 1985年に同社は「T&E SOFTが放つ大作二題」という広告を掲載したが、そのうちの1本が『テラ4001』だった。「スターアーサー伝説」シリーズの完結編であるものの、人気機種のPC-8801シリーズやX1シリーズでは発売されず、PC-6001mkIIシリーズとFM-7シリーズのみでの登場となっている。プロローグは、ついに敵であるジャミルの本拠地がある惑星テラへとやってきたスターアーサーたちが、大気圏突入前に攻撃を受けて不時着を余儀なくされるというもの。仲間ともバラバラになってしまったスターアーサーだが、前作ラストに登場したカセリアの野望を打ち砕くべく、惑星テラを冒険していくのだ。

 今作一番の特徴は、何といってもRPGライクに体力・集中力・シチュエーションというパラメータを導入したこと。これらが一定以上の数値に達していないと、コマンドが合っていても先へと進めないのだ。また、ダミーアイテムや用済みのアイテムを所持していると肝心なときに体力を消耗してしまうため、やはり行き詰まってしまう。ほかにもフライトシミュレータのようなシーンが盛り込まれているなど、さまざまな工夫が成されている。とはいえ、ほぼノーヒントでコマンドを入力しなければならない場面があるなど、前作と比べると親切度合は少々落ちた気がする。それでも苦労してクリアすれば思い出補正がかかり、素敵な思い出話に昇華するというものだ。

 こうして「スターアーサー伝説」シリーズは3作品で完結となり、T&E SOFTの軸足は「ハイドライド」シリーズへと移っていく。アドベンチャーゲームは作りやすさから数多くのタイトルがリリースされたものの、シリーズという形式を採用したソフトで無事に大団円を迎えたものは多くない。そんななか、アドベンチャーゲームの隆盛とともに生まれ、駆け抜け、そして見事に完結できたという点でも、素晴らしき作品だったといえるだろう。

アドベンチャーではあるが、体力や集中力といったパラメータを設けているのが特徴。2機種のみでの発売となったが、時間の経過や敵の出現数、マップやCGなどが異なっている。
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