ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
名作一網打尽:「ドラゴンスレイヤー」シリーズ(1)~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~
2022年9月27日 00:00
連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。
今回取り上げるページは、“名作一網打尽:「ドラゴンスレイヤー」シリーズ(1)”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。
名作一網打尽:「ドラゴンスレイヤー」シリーズ(1)
84年から始まった「ドラゴンスレイヤー」シリーズ、天才プログラマ・木屋氏が手掛けた新感覚RPG!
日本ファルコムのプログラマーとして有名な人物といわれ、誰もが思い描くうちの1人に木屋善夫氏がいるのは間違いないだろう。
その氏が1984年に手掛け発売した『ドラゴンスレイヤー』から、最後に関わった『風の伝説ザナドゥII』までの作品の副題として付けられていたのが「ドラゴンスレイヤー」だ。
『ドラゴンスレイヤー』1作目以降、木屋氏が指揮を執ったファルコム作品にはジャンルや内容を問わず冠名として付けられ、それは氏が日本ファルコムを退社するまで続いた。
作品の特徴としては、基本的には最後にドラゴンを倒すのが目的となっており、一部タイトルではそのために王冠を集めたりもする。とはいえ、なかにはまったくドラゴンを倒さない『ロードモナーク』のようなシリーズものもあるが……。それら「ドラゴンスレイヤー」シリーズ作品の歴史を見ていこう。
前代未聞麻薬的爽快遊戯のキャッチコピーをひっさげて登場した、シリーズの原点『ドラゴンスレイヤー』
1984年に登場した「ドラゴンスレイヤー」シリーズ最初の作品『ドラゴンスレイヤー』は、ドラゴンを倒して王冠を4つ持ち帰ることが目的。当時の雑誌広告では、タモリに似ているモンスターが登場し、読者の話題をさらっていた。
敵を倒して経験値を稼ぎ、徐々に使えるようになっていく魔法などを駆使してドラゴンを倒す。ただし、攻撃力をアップするには別のアイテムが欲しかったり、魔法を使うにしても魔力を拾い集めなければならないなど、アクションRPGに見えるが厳密にはターン制のRPGで、パズル要素も非常に強い。墓からモンスターが湧いてくるのを見越して壁でふさいでおいたり、凍らせたモンスターでフタをするなど、かなり頭を使わないとダメで苦労したものだ。青地の背景に緑のアイテムや壁、そしてカラーの主人公とモンスターという画面が印象に残っている。
余談だが、当時の『ログイン』誌で開催されていたプログラムオリンピックには、「井上忠信のドラゴンスレイヤー」という、もう1人のプログラマ・井上氏の『ドラゴンスレイヤー』作品がプログラムリスト付きで掲載されている。そんな井上氏は、のちに株式会社ガストの常務取締役となり「アトリエ」シリーズのプロデュースなどを行っているのだ。
売り上げ40万本を記録した、パソコンゲームの金字塔『ザナドゥ』
次に発売されたのは、1985年に登場した「ドラゴンスレイヤー」シリーズ2作品目のアクションRPG『ザナドゥ』だ。当時リリースされていたパソコン各機種に移植され、最終的には約40万本の売り上げを記録したといわれている、誰もが知るオバケソフト。
主人公キャラクターを操作して、レベル別にわかれたダンジョン内を攻略していき4つの王冠を回収、どこかに潜んでいるキングドラゴンを倒すのが目的だ。王冠を集めてドラゴンを倒すという順番が、シリーズ1作目の『ドラゴンスレイヤー』と反対になっているのが面白い。
最大の特徴は、ゲーム全体で出現する敵の数が決まっていること。主人公は、敵を武器で倒すと戦士経験値が入り、魔法で倒すと魔法使い経験値が上がる。しかし、敵の数が決まっているので、どちらで倒すかをきちんと考えないと、あとで苦労する可能性があった。
また、成長してHPが増えていくと、それにともない消費する食料も増えていくため、ただ育成させればいいわけではない。さらに、各種装備品には熟練度が設定されており、使い込むほどに武器や魔法は強力になっていくのだが、モンスターの総数は決まっているため、その配分にも悩むことになる。これらをどのようにバランスを取るかが、プレイヤーごとの楽しみ方だった。
“デカキャラ”と呼ばれる巨大なボスキャラクターが登場するのも『ザナドゥ』の特徴といえる。その巨大さに、初めて見たときは圧倒されたものだ。
翌1986年には、基本的な部分は同じでマップやモンスターなどがすべて変更された『ザナドゥ シナリオII』が登場している。こちらでは重さの概念が取り入れられ、逆さになっているツララの上に移動すると、アイテムを持っているほどダメージを受けてしまうようになっていた。また、本編ではレベル10までのダンジョンだったが、こちらでは1レベル増えてレベル11となっている。
ゲーム中に流れる楽曲を担当したのは、阿部隆人氏と古代祐三氏。なおこの作品は、古代祐三氏にとっての商業デビュー作でもあった。
信じられないほどの高難易度に、挫折者続出!雑誌のヒントが大いに助けになった『ロマンシア』
同じ1986年には、当初は『ドラゴンスレイヤーJr.』とのサブタイトルが付いていたものの、のちに『ドラゴンスレイヤーIII』と正式に変更された『ロマンシア』が登場している。
こちらは不条理とも思える難易度に、当時としては珍しいセーブできない仕様(裏技を使うことでコンティニューはできたが、ハマり状態に陥ってしまうと先へ進めなくなることも)が話題を呼んだ。雑誌などに掲載されたヒントを見ながらのプレイでなければ、まずクリアは不可能といわれたものだ。もちろん、ノーヒントでクリアしたプレイヤーもいたようなのだが……
ゲームは左右にスクロールするサイドビューの画面で進行し、ドラゴンスレイヤーを見つけ地下に封印された邪竜ヴァイデスを倒すのが最終的な目的だ。鬼のような難易度とは裏腹に、軽妙なBGMが好評を得たタイトルだった。
『ザナドゥ』の頃からゲームの難易度は上昇していたが、そこをカバーすべく雑誌にヒントを交えた記事が掲載されることも増えていったこの時期。特に、『ザナドゥ』や『ロマンシア』は難しかったことからヒントを求めるユーザーの声も多く、様々な雑誌社が攻略情報を載せていたのを覚えている人もいるだろう。また、同時期には雑誌『コンプティーク』で、マンガも連載されていた。今で言う所のメディアミックスの先駆けだったのも、『ロマンシア』の特徴といえるかもしれない。