ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
名作一網打尽:「ドラゴンスレイヤー」シリーズ(2)~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~
2022年10月4日 07:05
連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。
今回取り上げるページは、前回に引き続き“名作一網打尽:「ドラゴンスレイヤー」シリーズ(2)”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。
名作一網打尽:「ドラゴンスレイヤー」シリーズ(2)
御三家ハードでは遊べなかった唯一のシリーズ『ドラスレファミリー』
1987年には、80年代に発売された「ドラゴンスレイヤー」シリーズでは唯一の、コンシューマゲーム機で先に登場した『ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー』がリリースされている。
パソコンでの対応機種は、珍しいことにMSXまたはMSX2のみであり、NECや富士通、シャープの御三家パソコンハードに移植されることはなかった。
本作での主人公は、きこりのウォーゼン一家。父・母・兄・妹・ペットの5キャラクターで、それぞれの特徴を活かしながらダンジョンを探索、4つのクラウンを集めてドラゴンスレイヤーを入手し、ディルギオスと呼ばれるドラゴンを倒すのが目的だ。
自宅からダンジョンへと出撃できるのは家族の中から1キャラクターのみで、交代したい場合は一度、自宅まで戻る必要があった。アクション要素だけでなくパズル要素も兼ね備えており、かなり歯ごたえのある難易度だったと記憶している。
後から追加シナリオが登場する拡張性も含めて、様々な面で話題になった『ソーサリアン』
1987年末から88年にかけては、さまざまな機種で「ドラゴンスレイヤーV」となる『ソーサリアン』がリリースされる。その最大の特徴は、拡張性。ソフト自体が本体プログラムと外部シナリオというかたちで構成され、シナリオを差し替えることで数多くの物語がプレイできた。
ゲーム自体にも工夫が凝らされ、ロールプレイングゲームだが、冒険中はキャラクターが成長しなかったり、キャラに年齢や寿命が設定されているなど、それまでにないシステムも話題になった。
シナリオは当初15本が用意され、それぞれで奏でられる美しいBGMを今だ覚えているという人も多いだろう。ほかにも、7要素を掛け合わせて合計120種類にも及ぶ魔法を生み出せたり、とある方法でキャラクターを不老不死にできるなど、さまざまな楽しみ方がある。
ユーティリティディスクと追加シナリオ3本がファルコムから発売されたほか、『宇宙からの来訪者』『ギルガメッシュソーサリアン』『セレクテッドソーサリアンシリーズ1-5』を、ソフトベンダータケルで購入することができた。
スライムいじめを趣味にしていたセリオス王子の物語『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』
1980年代最後に登場したのが、「ドラゴンスレイヤー」シリーズ6作目となる『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』だ。当初は、ゲームを起動すると画面に大きく“Dragon Slayer”と表示されたため、「6作目じゃないのか!?」と驚いた人も多かったとか。あとに続く「英雄伝説」シリーズの第1期「イセルハーサ編」と呼ばれるようになるのは、3作目「英雄伝説III 白き魔女」が発売されてから。現在では、「英雄伝説」シリーズはファルコムを代表する作品になるほどの成長を遂げているが、このときは1作目が発売されたばかりで、そんな未来は誰も予見できなかっただろう。
ゲーム自体は、オーソドックスな「ドラクエ」スタイルのロールプレイングゲームとして仕上がっており、取り立てて珍しいものではなかった。しかし、従来のファルコム作品では前面に出てくることが少なかったキャラクターの個性が押し出され、シナリオも小説のように練り込まれたものとなっている。
逆にいえば謎らしい謎はほとんどなく、以降のファルコム作品は本作のようにキャラクター性とストーリーを重視したロールプレイングゲームへとシフトしていく。なお、92年には続編となる『ドラゴンスレイヤー英雄伝説II』が発売され、この作品がファルコムのPC-88シリーズ最後のタイトルとなった。
91年には「ドラゴンスレイヤー」シリーズ第7作にして、ファルコム10周年記念作品となる『ロードモナーク』が登場する。
しかし、パソコンで発売されたシリーズ作品はここまでとなるので、パソコンユーザーにとっての「ドラゴンスレイヤー」シリーズは全7作ということになるだろう。