石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

XBOX Series Xが値上げで10万円超え。近い性能のゲーミングPCを自作するといくらになる?

 8月1日、XBOX Series X|Sが値上げされた。現在入手可能な3モデルはいずれも1TBのSSDを搭載したもので、一律3万円の値上げとなる。新たな価格は、XBOX Series Sが97,480円、XBOX Series Xのディスクドライブ搭載版が117,980円、同デジタル エディション(ディスクドライブ非搭載)が109,980円。

 米国での値上げは告知があったものの、日本での告知は未だに見当たらないまま値上げが行われたことで、ユーザーからの不信を招いている。また公式通販を含めて店頭在庫はほとんどなく、入手困難になっているようだ。

 値上げの原因は言うまでもなくメモリ価格の高騰だ。ゲーム機はもともと、本体ではなくソフトの稼ぎに頼りがちなビジネスモデルなので、部材が高騰すれば本体はすぐ赤字販売に陥ってしまう。

 ここまで値上げしたXBOXを買うくらいなら、同じくらいの性能のPCの方が安上がりなのではないか? と考える方も多いはず。何せXBOX Series X|Sの発売は2020年11月のこと。もう6年近くも経っている家庭用ゲーム機と同等のゲーミングPCなんて、激安で作れるに違いない……だろうか? それをシミュレートしてみたい。

XBOX Series X|Sは公式通販でも売り切れている。値上げ直後だからかもしれないが、先行きが心配だ

XBOX Series X相当のPCパーツを考える

 今回の比較対象は、XBOX Series Xのデジタル エディションとする。ゲーミングPCでもいまさらBDドライブを搭載する方はほとんどいないだろうし、搭載するとディスクドライブ搭載モデルとの差額8,000円では収まらない。

 XBOX Series Xのおおまかな仕様を確認しておこう。詳しくは公式サイトに掲載されている

  • CPU: Zen 2、8コア/16スレッド
  • GPU: RDNA 2、52CU、1.825GHz
  • メモリ: 16GB GDDR6(10GB:560GB/s、6GB:336GB/s)
  • SSD: 1TB NVMe

 一般的なPCとは設計が異なり、メモリはGDDR6メモリをシステム(メインメモリ)とグラフィックスでシェアする。ここは自作PCで同じ仕様にできないが、実用上これを上回るような組み合わせを考える。

 まずCPUはZen 2アーキテクチャなのだが、さすがに古すぎて入手しづらいので、購入可能で8コアのAMD製CPUを探す。現状最も安価なのは、Zen 3のRyzen 7 5700Xだ。するとプラットフォームはAM4、メモリはDDR4と決まる。

 XBOX Series XのメモリがGDDR6であることを考えると、メインメモリもなるべく高速なDDR5にしたいところだが、メモリだけでなくCPUとマザーボードの価格も上がってしまうので妥協しておく。メインメモリ搭載量は、VRAMは別途GPU側にあることを考慮して、16GBとした。チップセットはPCIe 4.0に対応するB550を選ぶ。

 GPUはRDNA 2だが、これも古いので、入手しやすいものだと2案ある。1つはRDNA 3で32CU、VRAMが8GBのRadeon RX 7600で妥協。もう1つはRDNA 4で32CU、VRAMが16GBのRadeon RX 9060 XTで十分な性能にする。

 SSDは1TBの製品を選ぶが、PCIe Gen5の高速な製品までは不要だろう。Gen4の手頃な製品で良いかと思う。

 以上のデータから導き出した、XBOX Series Xの代替となるゲーミングPCの仕様はこちら。

  • CPU: Ryzen 7 5700X
  • GPU: Radeon RX 7600 or Radeon RX 9060 XT
  • マザーボード: B550
  • メモリ: DDR4 16GB
  • SSD: M.2 NVMe 1TB

 まさに現代のエントリーゲーミングPCの様相である。6年前の家庭用ゲーム機と張り合うためのPCを作るつもりが、今も割と普通にありそうな構成になっている。XBOX Series Xはすごいゲーム機なのだなと改めて思わされた。あとはこれにCPUクーラーとケース、電源があれば動かせる状態になる。

実際に買ったらいくらになる?

 では肝心の価格を見ていこう。8月4日時点の価格.comで確認できる最安値の製品からピックアップした。

  • CPU: Ryzen 7 5700X(31,480円)
  • GPU: Radeon RX 7600(39,500円) or Radeon RX 9060 XT(53,980円)
  • マザーボード: microATX AMD B550(6,580円)
  • メモリ: DDR4-3200 8GB×2(15,980円)
  • SSD: M.2 NVMe PCIe Gen4 1TB(21,980円)
  • CPUクーラー: AM4、TDP65W対応(1,273円)
  • 電源: ATX 600W(3,660円)
  • ケース: ATX(2,980円)

 以上、価格は123,433円。Radeon RX 9060 XTを選ぶ場合は137,913円となった。XBOX Series Xのデジタル エディションが109,980円なので、1万円以上の差がついている。

 この価格は通販の最低価格の製品をかき集めたものなので、実際には送料がかかったり、別のより高価な製品を選ぶことも考えられる。逆にセールでもっと安く手に入ることもあるだろうが、ここから1万円以上も絞り出すのは、中古品を探さない限りは難しいと思われる。

 メモリ価格の値上がりがなければもう少し安くできたと言いたいところだが、CPUとGPU、マザーボードで約7万円になることを思うと、メモリ関連製品が安くてもXBOX Series Xに張り合える値段にはならない(メモリが安ければ、ビデオカードももっと安いはずだが)。

 またOSに関しては、Windows 11を購入すればさらに16,000円ほどかかる。今回はGPUも含めてAMDプラットフォームなので、SteamOSのベータ版のインストールにチャレンジするのも面白いと思うが、万人におすすめできる方法ではない。

 XBOX Series Xよりも世代が進んで高性能化した部分もあるので、全面敗北ではない。そもそも汎用的に使えるPCとゲーム専用機を同列に扱うなという声もあるだろう。今回は「自分ならどんなXBOX Series X対抗機を作るか」という話の種と思っていただきたい。

公式サイトに掲載されているXBOX Series Xの仕様。これをどう解釈してゲーミングPCにすべきか?

 PS5 Proが出た時に、同じ価格でゲーミングPCが組めるかという話が盛り上がり、結果的にPS5 Proのコストパフォーマンスの高さが際立った。発売から6年近く経ったXBOX Series Xもまた、値上げ後の価格でもコストパフォーマンスが悪いとは言えない、ということはわかっていただけただろう。

 ただ、日本限定の低価格版が展開されているPS5やSwitch 2と比べると、XBOX Series Xに割高感があるのは否めない。次世代XBOXと言われるProject Helixに期待しよう、と言ってしまうのはさすがに冷たいだろうか。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜で連載『石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』』(AKIBA PC Hotline!に移動)、『使ってわかるCopilot+ PC』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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 PCゲームに関する話題をコラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。