個人のための!Windows 10 Proのツボ
安全チューニングならグループポリシーエディター ~Windows UpdateにPC同期に……~
text by 阿久津 良和
2016年12月27日 07:21
Windows 10はコンシューマー向けに「Home」「Pro」と2つのエディションがある。
この2つは対応ハードウェア(*1)や様々な機能が異なるが、「家で使うならHomeで十分」と言われることも多い。それは間違いではないし、Homeの方が若干安価なため「家で使う=Home」と考えてHomeを導入する人もいるだろう。しかし、個人利用でも「かゆいところに手が届く」便利さがあるのがProエディション。
そこで、Homeで十分か、またはProにするべきかを検討できるよう、「Proを個人で使う」ことにフォーカスした集中連載を掲載したい。年末年始、PCを新調する人も多いと思うが、Windows 10のエディションを選ぶ際、参考にして貰えれば幸いだ。
*1 利用できる物理メモリ容量の違い(64bit版Homeは128GBで同Proは2TB、32bit版はどちらも4GB)や、最大CPUソケット数(Homeは1、Proは2)など。
【個人のためのWindows 10 Proのツボ】 |
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(1)安定最優先、新機能の追加を後回しにする方法 |
(2)データの入ったHDD、処分に困っていませんか? |
(3)自分だけの「秘密USBメモリ」作れます |
(4)安全チューニングならグループポリシーエディタ |
(5)家に忘れた「あれ」を使いたい! |
その4グループポリシーエディターで安全にチューニング
Windows 10 Proの利点の中で、地味だが興味深いのが「グループポリシーエディター」の存在だ。
グループポリシーエディターを使うことで、細かな設定をテンプレートと解説に従って設定できる。Homeエディションでは、グループポリシーエディターが利用できず、同じことをやるにもレジストリ編集が必要になる。ちょっとした違い、といえばその通りだが、「そもそもどこをどう書き換えればよいか」を詳細に調べる必要があるし、書き換え作業も一文字一句違わないよう、気を付けて行わなくてはならない。また、誤ってエントリーを削除した場合、OSが誤動作する可能性も考えられる。
グループポリシーエディターは、一定のテンプレートに従って項目を選び、その内容をレジストリに書き込んでいる。そしてユーザーがWindows 10へサインインする際にエントリーを読み込んで動作を設定するため、より安全にチューニングするのであれば、グループポリシーエディターが利用できるProエディションを選択すべきといえる。
利用例1:Windows Updateをさらに細かく設定してみる
ここでは一例として、Windows Updateの制御方法を紹介しよう。
「ファイル名を指定して実行」などから「gpedit.msc」を実行してグループポリシーエディターを起動し、左のツリーペインで<ローカルコンピューターポリシー/コンピューターの構成/管理用テンプレート/Windowsコンポーネント/Windows Update>を展開する。ここから「自動更新を構成する」を開き、「自動更新の構成」から<ダウンロードとインストールを通知>か<自動ダウンロードしインストールを通知>、もしくは<ローカルの管理者の設定選択を許可>を選択すればよい。
項目 | 自動ダウンロード | 自動インストール |
---|---|---|
ダウンロードとインストールを通知 | × | × |
自動ダウンロードしインストールを通知する | ○ | × |
自動ダウンロードしインストール日時を指定 | ○ | △ |
ローカルの管理者の設定選択を許可 | △ | △ |
これらの設定は、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate\AUキーに書き込まれる。DWORD値「NoAutoUpdate」で制御し、データが「0」の場合は自動更新が有効、「1」の場合は無効。DWORD値「AUOptions」は「自動更新の構成」で選択した項目の値がデータに書き込まれる。自動インストールの日時はDWORD値「ScheduledInstallDay」およびDWORD値「ScheduledInstallTime」が対象だ。
ちなみに本チューニングは、DWORD値「NoAutoUpdate」などを利用してPC再起動のタイミングを制御しているが、Proエディション専用となる。Windows 7などでは動作したものの、筆者がWindows 10 Homeエディションで検証を行ったところ、設定が反映された様子は確認できなかった。あくまでも推測だが、更新プログラムを適用しないPCはマルウェアの温床になりかねないため、仕事向けエディションは利便性を鑑みつつも家庭向けエディションは強制的にPCを再起動させる方法をMicrosoftは選択したのだろう。
利用例2:CB/CBBの制御をグループポリシーエディタでやってみる
もう1つの設定項目を紹介しよう。
<ローカルコンピューターポリシー/コンピューターの構成/管理用テンプレート/Windowsコンポーネント/Windows Update/Windows Updateの延期>にある「機能更新プログラムをいつ受信するかを選択してください」は、CB/CBBを明示的に選択するポリシー設定だ。
機能的には第1回と被るが、こちらの方がOSの内情をそのまま表している箇所であり、細かい設定もできるようになっている。
これらの設定は、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdateキーに保存され、ブランチ情報はDWORD値「BranchReadinessLevel」へCBの場合は「16」、CBBの場合は「32」がデータに書き込まれる。受信延期日数はDWORD値「DeferFeatureUpdatesPeriodInDays」のデータにそのまま書き込まれ、「機能更新プログラムの一時停止」はDWORD値「DeferFeatureUpdates」のデータが「1」の場合は有効。「0」の場合は無効となる。
なお、Windows 10 Insider Previewではさらに、文字列値「PauseFeatureUpdatesStartTime」を用意しているため、Windows 10 Creators Updateでは、具体的な延期日時を明記できるようになりそうだ。
[制作協力:菱洋エレクトロ]