パワレポ連動企画

PCをじっくり観察して電源の状態を把握しよう

【パワレポ連動:チョイ古 自作PC再生計画(22)】

DOS/V POWER REPORT 2016年5月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年7月号」の第1特集「あなたのPCが生まれ変わる!3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! チョイ古 自作PC再生計画」を掲載する。

 第22回目からは電源の買い換えについて解説する。ここしばらくシステムの要求電圧がそれほど変化していないため、出力不足を理由に買い換えるという場面は少なくなってきた。しかし、コンデンサを使うパーツであるため必ず劣化が生じ、どこかで更新する必要がある。電源の買い換え前に知っておきたい情報とともに解説しよう。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年7月号は全国書店、ネット通販にて5月28日(土)に発売。第2特集はコストパフォーマンスに優れる大容量ディスクを用途別に解説する「容量単価×用途別が正解です 最新HDD購入案内」を掲載。そのほか、あなたのPCのメインメモリ、有効活用しませんか?「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! Windows 10時代のRAMディスク活用術」、持ち運びに便利な大容量で高速なフラッシュメモリ「ベンチで性能が丸分かり! 一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ」、スペースが許せば考えたい「ウルトラワイドもオーバー30型も PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、自作PCの組み立てやメンテナンスに関わる「?」を解決!「39のギモンにベストアンサー! PC自作Q&A事典2016」だ。


-チョイ古 自作PC再生計画-
電源編 その1 PCをじっくり観察して電源の状態を把握しよう


PCをじっくり観察して電源の状態を把握しよう
電源編

 電源は使い回すことの多いパーツでありながら、カバーで覆われているため、故障のサインに気付きにくい。

 買い換えタイミングを見計らうのが難しい電源について、どのように判断すればよいのか注意点をまとめた。

消費電力は低下傾向。大出力製品に買い換える必要はなし!

 電源は、CPUやGPUのように性能の進化が急なわけではなく、変化は緩やかだ。一方で、CPUやGPUの消費電力はそこまで大きく変化しているわけではなく、むしろ減少傾向にある。ミドルレンジからハイエンドへ、シングルGPUからデュアルGPUへ移行するなどの大幅変更に伴うものでない限りは、電源を買い換える際も現在使っているのが500Wなら500W、700Wなら700Wといった具合でよく、出力を増やす必要性は薄い。

CPU、GPUの消費電力は近年減少傾向に

 問題なく動作していれば買い換えを意識することはあまりないかもしれない。しかし、コンデンサを使うパーツであるため、必ず劣化が生じる。そのコンデンサは表から見えず、買い換えのタイミングが分かりづらいが、どこかで更新する必要があるのだ。

 買い換えのタイミングとして一つ挙げられるのは、トレンドの変化だろう。電源の変化はほかのパーツと比べれば緩やかだが着実に進んでいる。80PLUS認証として明示される変換効率は高まっており、CPU・GPUの消費電力バランスに対応するためにマルチレールからシングルレールへと主流が移ってきている。また、静音化や準ファンレス機能、プラグイン方式、フラットケーブルの採用といったように、利便性も向上してきている。

 具体的に買い換えを検討すべきタイミングについては、国内で電源の開発に携わるメーカー2社からコメントをいただいたので、そちらも参考にしていただきたい。

準ファンレス機能に注目!
冷却が必要のない温度域、あるいは負荷域で、ファンの回転を停止する準ファンレス機能が登場。高級モデルを中心に広まってきている
不要なケーブルはつなげない!
電源ケーブルを着脱できるプラグイン方式が人気だ。不要なケーブルをつなげないことで、ケース内をスッキリとまとめることができる
80PLUS認証における負荷率と変換効率の基準

電源の買い換え前にこれだけは知っておこう

 PCの自作経験の少ない方には、電源の出力を算出することが難しいかもしれない。基本は実際の消費電力の倍、あるいはメーカーが公表している消費電力値やTDPを足し算し、その倍の出力を選べばよい。倍と言うと、余裕があり過ぎるようにも思えるが、PC起動時に瞬発的に大電力が流れることもあるし、電源自体が50%前後の負荷率でもっとも効率よく変換できるためでもある。

+12Vの系統数とアンペアに注目
写真は+12Vが1系統のシングルレール方式。古い製品には2、3系統に分かれたマルチレール方式のものもある。現在はシングルレールが主流だ

 もう一つ出力で注意したいのが出力表で確認できる+12V出力だ。以前と比べ、+12Vを重視するのが現在の流行。+12Vが1系統で、CPUもビデオカードもここに接続できるシングルレール方式が主流となっている。古い電源の流用を検討する際は、+12V出力の値(何Aか)を確認しておくのがよい。

 一方、電源の変換効率の指標として80PLUS認証が挙げられる。こちらは長期間で考えなければ、電気代の違いは小さい。ただし、内部の発熱を抑制する観点では有効で、よりグレードの高い製品のほうが一般的に高級モデルであるため使用する部品も耐久性があり、長く安心して利用できるといった違いはある。実際には予算とこだわりとで天秤にかけるところだが、より高いグレードの製品を狙うことが長期使用の点からは安心だ。

ベストの出力仕様はシステム消費電力の2倍
システム全体の消費電力

【コネクタ不足には変換で対応】

時代に合わせて変化してきたコネクタ
ATXは20ピンから24ピンへとピン数が増加。ストレージでは主流がペリフェラルからSerial ATAへと移った。規格の変化には変換で対応しよう

 古い電源を使い回す際、問題となるのがとくにストレージ用コネクタの種類だろう。ペリフェラルからSerial ATAの移行期の製品ではSerial ATAコネクタの数が少ないものもある。そうした場合は変換アダプタでペリフェラル→Serial ATAへと変換するのがよい。

 ただし、大電力を要求するPCI Express補助電源コネクタの不足に対して、変換ケーブルを用いるというやり方は、コネクタの数が足りるようになっても電源自体の出力が不足するリスクもある。

【検証環境】

<2006年前後のハイエンド・ミドルレンジ構成>
マザーボード:ASUSTeK P5Q-E(Intel P45+ ICH10R)、メモリ:ノーブランド PC2-8500 DDR2 SDRAM(CL=5) 1GB×2、ビデオカード:ASUSTeK EN8600GT SILENT/HTDP/256M/A(NVIDIA GeForce 8600 GT)、HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD7500AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、750GB)
<2011年のハイエンド構成>
マザーボード:MSI Z68A-GD55(Intel Z68)、メモリ:GeIL GP38GB1600C9DC(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、SSD:Intel SSD 510 SSDSC2MH120A2K5(Serial ATA 3.0、MLC、120GB)
<2011年のミドルレンジ構成>
マザーボード:ASUSTeK P8Z68 Deluxe(Intel Z68)、メモリCorsair Memory VENGEANCE CMZ32GX3M4X1866C10(PC3-14900 DDR3 SDRAM 8GB×2)、ビデオカード:玄人志向 GF-GTX560TI-E1GHW(NVIDIA GeForce GTX 560 Ti)、SSD:PLDS PLEXTOR M2S PX-128M2S(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)
<2016年のハイエンド構成>
マザーボード:ASUSTeK Z97-A(Intel Z97)、メモリ:サンマックス・テクノロジーズ SMD-16G28CVLP-16K-Q(PC3-12800 DIMM 4GB×4 ※2枚のみ使用)、ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)、SSD:Samsung 840 PRO MZ-7PD256B/IT(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
<2016年のミドルレンジ構成>
マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)、メモリ:CFD 販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、SSD:Samsung 840 PRO MZ-7PD256B/IT(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
<システム全体の消費電力>
CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)、メモリ:Team TED316G1600C11DC-AS(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB ×2)、ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)、SSD:Intel Solid-State Drive 330 SSDSC2CT240A3K5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)
OS:Windows 8.1 Pro 64bit版
アイドル時:ベンチマーク終了10分後の値
高負荷時:3DMark 実行中の最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO


[Text by 石川ひさよし]


DOS/V POWER REPORT 2016年7月号は5月28日(土)発売】

★第1特集「あなたのPCが生まれ変わる! 3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! 『チョイ古自作PC再生計画』」
★第2特集「容量単価×用途別が正解です 『最新HDD購入案内』」
★特別企画「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! 『Windows 10時代のRAMディスク活用術』」「ベンチで性能が丸分かり! 『一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ』」「ウルトラワイドもオーバー30型も 『PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ』」
★連載「最新自作計画 ~最新ケースで作るパワフル小型マシン~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「39のギモンにベストアンサー! 『PC自作Q&A辞典2016』」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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