パワレポ連動企画
Power Supply Unit 診断室「ASUSTeK ROG-THOR-1000P2-GAMING」編
DOS/V POWER REPORT 2022年春号の記事を丸ごと掲載!
2022年9月20日 00:05
ASUSTeKはマザーボードやビデオカードのほかにも、最近では電源にも注力している。とくに「ROG」シリーズは、ゲーミングに特化した性能とゲーマー好みのデザインにこだわっている。
今回リリースされた1,000W電源「ROG-THOR-1000P2-GAMING」も、七色に光るイルミネーションを装備し、側面に搭載されたOLEDパネルでは、アニメーションやリアルタイムの消費電力を表示してくれる。ヒートシンクのような天板パネルも一般的な電源とは一線を画す見た目だ。
ならば中身はどうだろう?電源ジャンルはASUSTeKにとってもまだ参入して日が浅い。イルミネーションだけのなんちゃってゲーミングPSUなのか? それともガチでゲーミング仕様にチューンしてある本格派なのか?そうした気になるところはバラして実験で調べてみることにしよう。
PCIe 12ピンも先取り!ASUSTeK渾身のゲーミング電源
ROG-THOR-1000P2-GAMINGは型番にあるとおりゲーミングPC用電源。ゲーミングPCの要であるビデオカードでは、昨今消費電力の増大が加速しており、PCI Express 8ピン補助電源を二つ三つ接続するものもめずらしくない。これに対してNVIDIAが動いた。次世代ビデオカードのために1本で大電力を供給できる新コネクタを提案したのだ。
ROG-THOR-1000P2-GAMINGのサイズはイマドキの1,000W電源にしては長い奥行き19cm。長くなった原因は、ファンに頼らず排熱可能にするため、巨大ヒートシンクを搭載する設計のためだ。「静音性」にはそうとうこだわったのだろう。電源ユニットの静音性を証明するLambda A++認証まで取得している。
新コネクタは12ピン。これまではNVIDIA純正のFounders Editionカードに変換アダプタとしてバンドルされているだけだったが、ROG-THOR-1000P2-GAMINGはおそらく市販の電源としては初めて12ピン端子プラグインケーブルを1本装備した。これからはこれが標準になるとにらんだわけだ。もちろん、これまでどおりのPCI Express 6+2ピンケーブルも豊富に用意している。
ファンも同社ビデオカードでおなじみAxial-techファンの13.5cm角版だ。準ファンレス機能のON/OFF切り換えスイッチも搭載している。動作音については計測値も見ていただきたいが、最大350W程度の検証環境では回転を始めない。準ファンレス機能OFFでもきわめて静かだ。
CPU | AMD Ryzen 9 3900XT(12コア24スレッド) |
マザーボード | ASUSTeK ROG STRIX X470-F GAMING(AMD X470) |
メモリ | Kingston HyperX Savage DDR4 HX430C15SBK2/16(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2) |
ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX2080(NVIDIA GeForce RTX 2080) |
SSD | Solid State Storage Technology Plextor M8Se(G)シリーズ PX-512M8SeG[M.2(PCI Express3.0 x4)、240GB] |
OS | Windows 10 Pro 64bit版 |
室温 | 17℃ |
暗騒音 | 33.9dB |
アイドル時 | ベンチマーク終了10分後の値 |
高負荷時 | 3DMarkを実行中の最大値 |
動作音測定距離 | ファンから約15cm |
ASUSのゲーミングPSUはヤベェ!本気だっ!
奥行きが19cmと最近では長めの1,000Wクラスの電源だが、それでいて内部の集積度も高い。トランスは端に寄せた最近のレイアウトで、その横には1次側のノイズリダクションと整流回路が並ぶ。残りはActive PFC回路で一般的な電源とそれほど変わらない。しかし本機を特徴付けている密度の高さは巨大ヒートシンクによるものだろう。メインボードに乗っているのは必要最小限のアナログ回路で、コントローラなどはすべてドーターボード化されている。
「コイツはASUSTeKの本気」だ
大出力のPlatinum認証電源にありがちな、省エネ性は高いけどノイジーということは一切見られない。部品のグレードやノイズ対策、さらには高密度ヒートシンクなどの作り込みはほかの電源と一線を画しており、「コイツはASUSTeKの本気」だということが分かる。
電力の安定性は各系統とも降下が0.3V程度で安定。ノイズも非常に少ない。「イルミネーションとデザインでゲーミングの雰囲気を出してみた!」というモノではなく、「負荷変動の激しい環境下でもパフォーマンスを最大限発揮できる真のゲーミング電源」と言えるだろう。
またアドレサブルAura RGBコネクタを使うと、搭載するLEDをOS上から制御できるようになる(未接続時はデフォルトパターン)。CPU負荷に応じたカラー変化や演奏中の音楽に合わせて変化させるといったことも可能だ。さらにはサイドにOLEDパネルが搭載されており、現在の消費電力がリアルタイムで表示できるので、ぜひ透明サイドパネルのケースと組み合わせてほしい。
電力計 | Electronic Educational Devices Watts Up? PRO |
電圧計測方法 | 三和電気計器 PC-20を3台使用し各コネクタの電圧を計測 |
リプル計測方法 | Pico Technology PicoScope2204を使用しアイドル時に計測 |
診断票:性能はもちろんエンタメ性も◎なゲーミング電源の誕生!
1,000W、Platinum認証電源としても5万円の価格付けは高価な部類だが、内部部品や設計を見れば納得。実測での性能も、電圧、ノイズ、動作音どれを取っても優秀だ。そして、LEDやOLED、スリーブケーブルなど、すべてが「魅せる」ことを前提に作られた電源だ。
[TEXT:藤山哲人、検証協力:長畑利博(アイティースリー)]
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