パワレポ連動企画
Power Supply Unit 診断室「玄人志向 KRPW-GA750W/90+」編
DOS/V POWER REPORT 2021年秋号の記事を丸ごと掲載!
2023年1月6日 11:00
玄人志向のGold認証電源には、フルプラグイン方式で性能とコストのバランスがよい「GKシリーズ」(2017年発売)がある。定番モデルで「今まさに使っているよ!」という読者の方も多いだろう。そして2021年6月、同じGold認証電源の新モデルとして「GAシリーズ」が登場している。
GAシリーズは80PLUS Gold認証、フルプラグイン方式を継承。従来モデルより奥行きが1cm拡大して15cmとなった。少し大きくなった筐体には13.5cm角ファンを搭載。GKシリーズの12cm角ファンから大口径化するとともに、ブレードはGKシリーズで採用していた7枚羽根から11枚羽根に増やしている。これにより低回転時でも十分な風量を稼げるようになった。加えて準ファンレスモードも搭載。電源内部の温度が基準より低いときはファンの回転を停止する。
出力に目を移すと、GKシリーズは550Wと650Wモデルをラインナップしていたが、GAシリーズでは750Wと850Wモデルを展開している。小出力帯は今後もGKシリーズがカバーし、GAシリーズは消費電力が増大傾向にある最新CPU&GPUを搭載するPCをカバーするという方向だろう。GAシリーズこそがGold認証電源の「新定番」の大本命と言える製品だ。
製品名 | 出力 | 奥行き | 80PLUS認証 | 実売価格 |
---|---|---|---|---|
KRPW-GA850W/90+ | 850W | 15cm | Gold | 12,000円前後 |
KRPW-GA750W/90+ | 750W | 15cm | Gold | 10,000円前後 |
4年ぶり!玄人志向がGold認証の新モデルを投入
奥行きが1cm拡大しているが見た目ではそれほど大きくなった印象はない。フルプラグイン方式やフラットケーブルの採用と相まって、ケース内での収まりや各パーツとの干渉はほとんど生じないだろう(とはいえ、1cm長いので注意!)。ケーブル長は1割程度長くなり、ATX/EPS12Vは70cm、PCI Expressも1段目が70cmの位置にある。電源をケース内底面に置くレイアウトでもケーブル長が届かなくなることは少ないだろう。
一つうれしいところは、ケーブル側端子の刻印だ。電源本体側端子横に刻印があるのは一般的だが、GAシリーズではケーブル側端子にもそのケーブルが何であるかが刻印されている。慣れた方なら判別はできたとしても、初めての方が同じ8ピンのEPS12VとPCI Express補助電源を見分けるのは難しい。白い刻印は薄暗いケース内でも識別できるので、作業性も向上する。こうした細かい心遣いがうれしい。
冷却面では準ファンレスモードが搭載されている。電源投入時のファンは回転停止状態で、負荷をかけてファンが回転を始めても、11枚羽根の13.5cm角ファンの動作音はほとんど聞こえず事実上「無音」だ。
CPU | AMD Ryzen 9 3900XT(12コア24スレッド) |
マザーボード | ASUSTeK ROG STRIX X470-F GAMING(AMD X470) |
メモリ | Kingston HyperX Savage DDR4 HX430C15SBK2/16(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2) |
ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX2080(NVIDIA GeForce RTX 2080) |
SSD | Solid State Storage Technology Plextor M8Se(G)シリーズ PX-512M8SeG[M.2(PCI Express3.0 x4)、240GB] |
OS | Windows 10 Pro 64bit版 |
室温 | 29℃ |
暗騒音 | 32.2dB |
アイドル時 | ベンチマーク終了10分後の値 |
高負荷時 | 3DMarkを実行中の最大値 |
動作音測定距離 | ファンから約15cm |
電力計 | Electronic Educational Devices Watts Up? PRO |
高安定・低ノイズ ビジネスPC〜ゲーミングまで超オールラウンダー電源!
PSUの性能だけでなく寿命も左右するコンデンサには、「ドヤッ!」と言わんばかりに、すべて国内メーカーの耐熱105℃タイプを使っている。アルミ固体コンデンサも主要部分に多用し、これらも国内産または日本メーカーの海外生産品だ。
これまでに見たことのないレイアウト!
中を見てまず驚かされるのは、これまでに見たことのないレイアウト。Active PFC回路近くの端にレイアウトされるべき1次側の電解コンデンサが、本製品では基板中央に鎮座している。そして通常ならコンデンサがある場所には、5Vスタンバイ用の回路がある。本電源は5Vスタンバイが3Aと一般的な電源に比べ高くなっているが、一回り大きなトランスが使えるようになったためだろう。
またファン軸の直下となる1次側コンデンサの周囲には、パワートランジスタなどが配置されている。普通に考えればコンデンサを熱源でサンドイッチするのは禁忌。しかし本製品では大型ファンのブレード直下に熱源を配置し、冷却効果を高めているようだ。
2次側平滑回路には電解・固体コンデンサを配置。時折大きなノイズが出るものの、これらコンデンサが功を奏して全体的に見れば低ノイズだ。また安定性も特筆ものだ。EPS12VだけでなくPCI Expressも負荷を検知し昇圧する機能を設けているようで、振れ幅は+0.1 〜−0.2Vに抑えられている。ATX24ピンにいたっては0.1Vの降下と驚くべき安定性だ。GAシリーズがGold認証フルプラグイン電源の新定番となることは明白だ。
電圧計測方法 | 三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測 |
リプル計測方法 | Pico Technology PicoScope2204を使用しアイドル時に計測 |
診断票:価格、サイズ、安定性さまざまなPCにとってちょうどイイ電源
「さすが玄人志向!」と賛えたい電源だ。負荷検知型の昇圧機能をEPS12VだけではなくPCI Expressにも搭載して安定感は抜群。ATX24ピンもド安定だ。長周期ではちらほら出る大きなノイズがあるものの、全体的には低ノイズ。静音性や熱対策、コネクタの刻印までよく考えられており素晴らしい。本電源を一言で表わすなら「どんなマシンに使ってもちょうどイイ」だ。
[TEXT:藤山哲人、検証協力:長畑利博(アイティースリー)]
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