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外装を外せばオープンフレームに!「Thermaltake Core P6 TG」【竹内亮介のオレにPCケースを使わせろ!】

DOS/V POWER REPORT 2022年夏号の記事を丸ごと掲載!

Thermaltake Technology Core P6 TG 実売価格:19,000円前後

 前面や天板、左側面に強化ガラスを採用し、組み込んだパーツを眺めて楽しめる大型のフルタワーケースである。しかしギミックはそれだけではない。前面や背面、天板などの外装やフレームの一部が着脱可能で、オープンフレームケースにトランスフォームできるというユニークな構造が最大の魅力だ。

外装を外せばオープンフレームにトランスフォーム!
カラー:ターコイズ、グリーン、ブラック、ホワイト●ベイ:3.5インチシャドー×4 / 2.5インチシャドー×6、2.5インチシャドー×2●標準搭載ファン:なし
搭載可能ビデオカードの長さ:458mm(前面ラジエータ非搭載時) ●搭載可能CPUクーラーの高さ:180mm●搭載可能ラジエータの長さ:36cmクラスまで(前面、天板、右側面)●本体サイズ(W×D×H):255×530×565mm●重量:17.84kg

 このようにスタイルを大きく変更できる構造はおもしろいが、強度が犠牲になっているのではと不安に思う人もいるかもしれない。しかしCore P6 TGでは、前面パネルや天板を正しい位置で固定できるようにガイドが設けられているほか、固定用の金具や部品の作りもしっかりしており、ムダな隙間や緩みもなくかっちりと固定されていた。そのためフルタワーケース状態で天板や前面パネルに歪みを感じることはなく、安定感がある。

前面パネルや天板は強化ガラス
左側板だけではなく、前面パネルや天板にも透明度の高い強化ガラスを装備している。内部に組み込んだLEDパーツやLEDファンのイルミネーションが、強化ガラスのパネル越しに漏れてくるさまは美しい

 前面や背面、天板や右側面、底面など各所に、多数のファンや大型の水冷用ラジエータを取り付けられる。標準ファンは搭載しないが、このPCケースを利用したいと思うユーザーなら、基本的には水冷を前提としたシステムを組み込むだろう。その意味では外すのがめんどうな分、標準ファンは搭載しないほうがむしろ親切とも言える。

 奥行きは53cm、高さは56.5cmと最近のPCケースの中ではかなり大きめで、内部は広い。ATX対応マザーボードを置いても、まるでmicroATX対応マザーボードのように感じる。各部ファンマウンタの周辺には構造物がないので、水冷用のラジエータやファンの取り付けも楽に行なえる。前面近くにある本格水冷用リザーブタンクやポンプ向けのスペースも広く、ゆったりと設置できる。

 オープンフレームケースに変形すると、前面や天板には何もない状態になる。左側板は、4本の太い金属支柱と大きめな手回しネジでしっかりと固定され、この状態でもフレームが歪むことはなかった。天板や前面にファンを付けられないため、冷却性能が低下するのではないかという不安もあったが、後述する検証結果を見る限り大きな影響はないと見てよさそうだ。

フロントポートは上からUSB 3.0ポート×2、U S B 2.0ポート×2、USB 3.1のType-Cが1基の構成
Core P6 TGにはケースファンは付属していない。組み込む構成に合わせて、好きなファンを追加しよう

 ユーザーを選ぶことは間違いない。しかし、ハイエンドCPUやビデオカードを組み込んで強力なPCを作ってさらに自己主張もしたい、というユーザーなら、ぴったりのPCケースと言ってよいだろう。

 今回は、36cmクラスのラジエータを備えるThermaltakeの「TOUGH LIQUID Ultra 360」を、前面に組み込んだ。大型ケースだけあって内部はかなり広く、構造物や各パーツに干渉することはなく、ゆったりと取り付けられる。右側面にも36cmクラスのラジエータを取り付けられるためこちらも試したところ、ラジエータのファンがビデオカードに干渉することもなく、普通に利用できた。

右側面にもラジエータ用のスペースがある
今回はPCケースの色に合わせ、Thermaltakeの12cm角ファン「TOUGHFAN 12 Turquoise」を組み合わせた。実売価格は3,000円前後
右側面に取り付けたところ。右側板のメッシュ構造になっている部分を通して吸気、あるいは排気を行なう
36cmクラスのラジエータだと窮屈になるP Cケースは多いが、Core P6 TGではまったくそんなことはない。ラジエータの上下にも十分なスペースがある

 前面や背面、天板のスチールパネルはプラスチックの固定用部品やネジで固定されており、それらを順番に外していけばオープンフレームケースになる。前面や天板の強化ガラスパネルは、プラスチックのストッパーで固定されている。ストッパーを外して引っ張って抜くときに、落として割らないように注意しよう。正直マニュアルの作業手順はちょっと分かりにくいが、実際のCore P6 TGを見れば、どのネジがどの部品を固定しているのかはすぐに分かるので、迷うことはないだろう。

フレームの一部を外すとオープンフレームケースに変身
固定用の部品を外し、前面と背面、天板と強化ガラスのパネルを外すことでオープンフレームケースに。4隅の金属製の支柱で左側板を支える

 拡張カード固定部も着脱でき、取り付け方向を90゚切り換えられる(カードの接続には別売りのライザーケーブルが必要)。ハデなイルミネーションや凝ったデザインのビデオカードを、左側面の強化ガラス越しに楽しみたいならカードを垂直方向に設置するとよいだろう。

拡張カード固定部の向きを切り換えることで、ビデオカードを垂直方向で設置することも可能
右側面は金属製。VESAマウンタがあり、これを利用すれば壁掛けスタイルでも利用できる

ファンやラジエータを各所に組み込み可能
オープンフレームモードでも安心

 標準ではファン非搭載だが、TOUGHFAN 12 Turquoiseを天板と背面、そしてTOUGH LIQUID Ultra 360のケースファンを換装して合計7基組み込み、各部の温度を計測した。この状態のC P U温度は64℃と、かなり低い。簡易水冷型CPUクーラーなので当然と思うユーザーも多いかもしれないが、それでもエアフローなどをきちんと考えないとこうした結果は出ない。Core P6 TGの優れた設計がうかがえる結果となった。

 オープンフレームケースに変更し、ラジエータも右側面に移動して同じテストを行なったところ、CPUやビデオカードの温度はほぼ同じだった。オープンフレームケースにするとケースファンはなくなってしまうが、空気の流れを遮る各部のフレームや強化ガラスのパネルもないため、空気を直接十分に取り込んで冷却できたのだろう。

こんなPCを作りたい!

 内部は広く組みやすい上、自分の好みに合わせてスタイルを変更できるという機能は、本格水冷やMOD PCを作りたいユーザーにぴったりだ。

【検証環境】
CPUAMD Ryzen 9 5900X(3.7GHz)
マザーボードASUSTeK ROG STRIX B550-F GAMING(AMD B550)
メモリCFD 販売 W4U3200CM-8G(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB × 2)
ビデオカードGIGA-BYTE GeForce RTX 3070 EAGLE OC 8G(NVIDIA GeForce RTX 3070)
SSDWestern Digital WD Black SN750 NVMe WDS500G3X0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、500GB]
電源ユニットCorsair RM750x(750W、80PLUS Gold)
CPU クーラーThermaltake TOUGHLIQUID Ultra 360(簡易水冷型、36cm クラス)
ケースファンThermaltake TOUGHFAN 12 Turquoise(ラジエータのファンも交換)
室温23.5℃
アイドル時OS 起動10分後の値
動画再生時解像度1,920 × 1,080 ドットの動画ファイルを1 時間再生したときの最大値
3DMark時3DMarkのStressTest(Time Spy)を実行したときの最大値
高負荷時OCCT 10.1.7のPOWER SUPPLYテストを10分間実行したときの最大値
Fan Xpert 4 の設定Auto
温度使用したソフトはHWMonitor 1.46で、CPUはTemperaturesのPackage、GPUはTemperatures のGPU の値

※撮影の都合により掲載している作例写真と検証環境の機材は一部異なります

[TEXT:竹内亮介]

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 今回は、DOS/V POWER REPORT「2022年夏号」の記事をまるごと掲載しています。

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