パワレポ連動企画

スタンダードPC自作マニュアル

【保存版 PC自作マニュアル 2015(10)】

DOS/V POWER REPORT 2015年5月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、今回より「2015年5月号」の総力特集「保存版 PC自作マニュアル 2015」を掲載する。

 第十回目ではこれまで紹介してきた定番パーツを使用して、実際に自作PCを組み立てる工程を掲載する。また、今回の構成では使用していないビデオカードやHDDの取り付けについても解説しているので参考にしていただきたい。

 組み立て行程に難しい箇所は特にないと思われるが、注意するところはCPUの取り付け。LGA1150のCPUソケットはマザーボード側にピンが立っているので、それを絶対に曲げないこと。ソケットに付いている保護カバーはCPUを取り付けると勝手に外れるが、手順を外れこれを手で取ろうとすると結構な力がいる。この時勢い余ってピンを曲げてしまう事故が発生しやすい。ここは手順を守り、慎重に作業を進めよう。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年5月号は全国書店、ネット通販にて絶賛発売中。58ページの大ボリュームで送る総力特集「保存版 PC自作マニュアル 2015」のほか、キャリアメールが必要ないならこれでいいんじゃないか?「知らなきゃ損するMVNO! 六つの格安SIMを比較する」、802.11nが普及してきたと思ったら、時代はすでに11ac?最新の通信事情に対応したネットワークアイテムを紹介する「有線・無線LANをもっとスマートに ネットワークまわりの便利アイテム大集合!」、やっぱりソフトウェアキーボードより使いやすい!「PCでもスマホ&タブレットでも大活躍! Bluetoothキーボードオールスターズ」など、特別企画も盛り沢山。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、Windowsをもっと便利に、さらに快適にするテクニックが満載の「自作PC がよくなるWindows設定集」。Windows7とは勝手が違うWindows8で困ったときに役立つ本だ。


- 保存版 PC自作マニュアル 2015 -
スタンダードPC自作マニュアル


定番パーツで組み立てる
スタンダードPC自作マニュアル

 ここまでパーツの選び方を紹介してきたが、ここからは実際にパーツを組み込み、PCとして完成させるまでの手順を紹介していく。難しいと思う人もいるかもしれないが、いくつかのポイントさえ注意すれば、初めてでも動作させることは可能だ。ぜひとも楽しいPCの自作にチャレンジしてほしい。

今回使うパーツはこちら

Step I. CPUをマザーボードに装着

組み立てを始める前に
硬いテーブルの上などで作業すると、マザーボードの裏面が破損する可能性がある。マザーボードの箱の上やダンボール、雑誌の上などで作業を行なおう。なお、組み立てに必要なネジやケーブルは基本的にマザーボードとPCケースなど各パーツに付属している

 PCの組み立てはCPUをマザーボードに装着するところからスタートする。注意するポイントは、CPUソケットの接点ピン。折れ曲がりやすいので、うっかり触れないように気を付けよう。折れるとマザーボードが利用できなくなってしまうからだ。

 また、CPUの裏面にある接点も触れると指の脂などが付いて誤動作の原因となる。それさえ注意すれば、作業自体はそれほど難しくはない。

1.レバーを横にずらす
2.レバーを持ち上げる
CPUソケットの脇にある金属のレバーをつまみ、少し押し込んでから横にずらして固定を解除して持ち上げられる状態にする
レバーを持ち上げて逆側に倒れるまで回す。それに合わせてCPUソケットのフレームが開いてくる。フレームが完全に開くまでレバーを回そう
3.突起と切り欠きの位置を確認
LGA1150のCPUは、CPUソケット側にある突起とCPU側にある切り欠きを合わせて設置する。あらかじめ突起と切り欠きの位置を確認しておこう
4.CPUをCPUソケットに載せる
CPUの側面をつまむように持ち、CPUソケットの接点に触れないように注意しながら、CPUを載せる。突起と切り欠きがピッタリはまっているかチェックしよう
5.レバーを戻してフレームを閉じる
6.プラスチックの保護カバーが外れる
レバーを戻し、CPUソケットのフレームが閉じたら先にある金属のツメをマザーボード側の突起に引っかける
レバーをもとの位置まで戻して固定すると、フレームに装着されている保護カバーがCPUに押されて外れる

組み立て時も動かないときもチェック!

CPUソケットの先にあるツメを引っかける作業は慣れた人でも忘れがち。引っかけないとしっかりと閉じないので気付くことも多いが、忘れるとソケットのカバーが浮いた状態になってしまう。必ず確認しておこう


Step II. CPUクーラーの装着

 今回の組み立てでは、CPUに付属するリテールクーラーではなく、サイズの「虎徹」を使用している。静音性と冷却力を兼ね備える人気のCPUクーラーだが、固定にはバックプレートの装着が必要など少々手間がかかる。ネジやプレートなど使用する部品点数も多く、CPUのソケットごとに取り付ける部品も異なる。マニュアルで必要な部品を確認し、あらかじめ出してから作業を進めよう。

1.固定金具の確認
2.底面のビニールをはがす
CPUクーラーの固定に必要な金具をチェックする。CPUソケットの種類によって使用する金具やネジが異なるので、マニュアルで確認しておきたい。今回使用するL G A1150対応の構成では、写真の金具を利用する
ヒートシンクの底面には保護用のシールが貼り付けられている。そのまま固定すると正しく冷却できないので、忘れずにはがしておこう
3.バックプレートを裏面に合わせる
4.ネジを仮止めする
金属のバックプレートをマザーボードの裏面に合わせる。CPUソケットの裏面にある突起とバックプレートの穴を合わせるとピッタリとはまる
バックプレート固定用のスペーサにプラスチックのワッシャーを入れ、マザーボードの表側から手回しで四つのスペーサを仮止めしていく
5.プラスドライバーで固定
6.土台の向きを確認する
仮止めしたら、スペーサの頭にプラスドライバーを当てて回していき、完全に固定する。ムリに回すとマザーボードが破損する可能性があるので、回し過ぎに注意しよう
ヒートシンクをCPUソケットの上に置き、土台を付ける場所を確認する。今回の場合は、ケース後方に排気するようにするため、ヒートシンクの広いほうをバックプレート側に向ける。なお、土台はヒートシンクの広い側に取り付ける
7.土台部分を固定する
土台は、中央が膨らんでいるほうが上向き。土台には三つのネジ穴があるが、LGA1150対応マザーボードに取り付ける場合は中央のネジ穴を使う
8.グリスをCPUに塗る
シリコングリスはCPUクーラーに付属している。ビニールに入っているので、先をハサミなどで切り、CPUの中央にシリコングリスを押し出す。量は小豆大を目安に。あとは、ヘラや厚紙を使って均等な薄さに延ばす
9.ヒートシンクを固定する
ヒートシンクを土台に固定するには、黒い金具の突起とヒートシンクのミゾを合わせる。そして土台と黒い金具のネジ穴が合っているのを確認し、長さのある専用のネジをプラスドライバーで固定する
10.ファンを取り付ける
付属の12cm角ファンをヒートシンクに固定する。このとき、ファンの側面にある矢印で風向きを確認しておこう。矢印がヒートシンクを指す向きが正解だ。そして、側面にあるミゾへ細い固定用金具を入れる。最後にファンの穴へ金具を入れ込んで固定を完了させる
11.CPUファンの電源を接続
マザーボード上の「CPU_FAN」と印字されたコネクタにCPUファンの電源ケーブルを接続する。コネクタとケーブルの凹凸を合わせて挿し込もう

CPU付属のクーラーを取り付ける場合は?

 今回の組み立てでは、別途CPUクーラーを用意しているが、CPU付属のリテールクーラーを使用する場合もあるだろう。リテールクーラーの場合は、四つの固定ピンをマザーボードの穴に合わせて挿し込むだけと簡単だ。ただ、固定ピンには向きがあるので注意しておきたい。

リテールクーラーの取り付け方法
四つの固定ピンの向きをミゾが内側、矢印が外側になるように回す
マザーボードのCPUソケット周囲にある四つの穴に固定ピンを入れ、垂直に押し込む
マザーボードの裏面を見て固定ピンが固定されているのか確認し、最後に電源ケーブルを接続する

Step III. メモリの装着

 ここからはマザーボードのメモリスロットにメモリを装着していく。メモリでポイントになるのは、装着するメモリスロットの位置だ。2枚1組で動作させることでデータ転送速度をアップさせるデュアルチャンネル駆動を行なうためには、決められたスロットに装着する必要がある。マニュアルとマザーボード上の印字で正しい装着位置をあらかじめ確認しておくとスムーズに作業が行なえる。

1.メモリスロットのツメを開く
2.メモリと切り欠きを確認
メモリスロットの両サイドにあるツメを開きメモリを挿せる状態にする。デュアルチャンネル駆動させるためのメモリ装着位置についてはマザーボードによって異なる。このマザーボードに関しては「DIMM_A2」と「DIMM_B2」と印字されたメモリスロットを使用する
メモリを装着するには、メモリとメモリスロットの切り欠き位置を合わせる。挿し込む前にそれぞれの位置が合っているのか確認しておこう
3.メモリを挿し込む
4.ツメが閉まっているのを確認
メモリをメモリスロットへ垂直に挿し、両端を指で同じく垂直に力を入れて挿し込んでいく。カチッと音がするまで押そう
メモリスロットの左右にあるツメがメモリの切り欠きにしっかりとかかっているのを確認する。これでメモリの取り付けは完了だ

組み立て時も動かないときもチェック!

メモリスロットのツメがしっかりと閉じておらず、システムが起動しない、メモリを認識しないというのはよくある失敗の一つ。押し込んだつもりでも、ツメがかかっていないこともあるのでよく確認しよう


Step IV. PCケースに電源ユニットを取り付ける

 次はPCケースの内部に各パーツを組み込む作業だ。まずは、PCケースのサイドパネルを外し、電源ユニットを固定する。サイドパネルは最初から左右とも外しておいたほうが作業しやすい。今回の電源ユニットは一部ケーブルが着脱可能なので、必要なもののみをあらかじめ接続した上でPCケースに組み込もう。ケース内ではケーブルの着脱がしにくい。

1.サイドパネルを外す
2.電源ユニットにケーブルを接続
PCケースから両サイドパネルを外す。右のサイドパネルは手回しネジを外し、左のサイドパネルは背面にあるストッパーを下に下げると固定が解除される。後ろに少し引けば、サイドパネルは簡単に外れる
電源ユニットに必要なケーブルを接続する。ここではSerial ATA電源ケーブルを2本「PERIPHERAL&SATA」と印字されたコネクタに取り付ける
3.電源ユニットを入れる
4.電源ユニットを固定する
PCケースの左側面から電源ユニットを入れ、もっとも背面寄りの底面部に設置。「Define R5」では電源ユニットのファンが下を向くように配置する
電源ユニットに付属している「インチネジ」と呼ばれるタイプのネジを使って、PCケースの背面からプラスドライバーで固定。ネジ穴は4カ所だ

Step V. PCケースにマザーボードを固定

 PCケースにマザーボードを入れて、固定していく。マザーボードにはすでに大型のCPUクーラーやメモリが装着されており、重量が増している。持つときにバランスを崩さないように注意したい。また、ヒートシンクやコネクタ類で手をケガしやすいので、慎重に作業するようにしよう。作業のポイントは、スペーサの位置を確認すること。誤るとネジ穴が合わなくなるからだ。

1.バックパネルシールドを付ける
2.スペーサの位置を確認
マザーボードに付属しているバックパネルシールドをPCケースの内側から、バックパネル部分に押し出すようにして固定する。フチが外側からしっかり見えていれば固定された証拠だ
マザーボードを固定するには、土台となるスペーサの装着が必要。スペーサの位置は、マザーボードを一度PCケースに入れると確認しやすい
3.スペーサを固定する
4.マザーボードを入れる
Define R5に付属するアタッチメントをスペーサにかぶせれば、プラスドライバーで固定できる。5カ所すべて固定しよう
マザーボードとバックパネルの位置を合わせ、PCケースに入れる。スペーサとマザーボードのネジ穴が合っているのか念のため確認していこう
5.バックパネルシールドを確認
6.マザーボードをインチネジで固定
PCケースの背面を見て、マザーボードのバックパネルのポート類がシールドにあけられた穴からしっかりと出ているか確認する
マザーボードをPCケース付属のインチネジで固定する。スペーサに使用するネジは、PCケースによって、より刻みが短い「ミリネジ」の場合もある

組み立て時も動かないときもチェック!

シールドとポート類がズレるのは、よくある失敗の一つ。今回のシールドでは、HDMI端子を押さえるための金具が端子の内側に入りやすかった


ビデオカードを搭載するときは?

 今回はCPU内蔵のグラフィックス機能を利用してディスプレイに出力するため、ビデオカードは搭載していない。しかし、重量級の3Dゲームを楽しむには性能不足なのは確か。ゲーム好きならビデオカードの搭載は当然と言える。基本的には、PCI Express x16スロットに挿して固定するだけ。補助電源が必要な場合は、ケーブルの接続を忘れやすいので注意したい。

1.拡張カード用のブラケットを外す
2.ビデオカードを挿し込む
3.ビデオカードを固定する
拡張カード固定部をふさいでいるブラケットを外す。使用するビデオカードは2スロット分の厚みがあるので上から2番目と3番目のブラケットを外す
マザーボードのPCI Express x16スロットにビデオカードを垂直に挿し込む。スロットのフックがビデオカードにかかっているか確認する
ブラケットを固定していたネジを使い、今度はビデオカードを固定する。手回しで軽く取り付け、プラスドライバーでしっかりと固定しよう
4.電源ユニットに補助電源ケーブルを接続
5.ビデオカードに電源を接続
今回の電源ユニットはケーブルが着脱式なので、ビデオカードを使うときは、電源ユニットに6+2ピンのPCI Express補助電源ケーブルを接続する
電源ユニットに接続したPCI Express補助電源ケーブルをビデオカードに接続する。ケーブル側のフックがかかるまでしっかりと挿し込もう

Step VI. マザーボードに各種ケーブルを接続

 ここではマザーボードの各コネクタに電源やスイッチなど各種ケーブルを接続していく。基本的にコネクタは凹凸があるなど、挿し込みの間違いは起きないようになっている。マザーボード上のコネクタ位置さえ把握すれば、作業はスムーズに進むはずだ。ただ、HDD LEDなどランプ類は極性の接続を誤ると正しく動作しないので注意が必要だ。マニュアルなどで確認しておこう。

ケーブル、ファンの取り付け位置はマニュアルなどで確認
1.ケーブルを裏面に出す
2.ATX24ピンの接続
ATX24ピン用の電源ケーブルをマザーボードベースの下にある穴から裏面に出し、今度は裏面側から見て左上にある穴に入れて表面に出す。これでケーブルが裏面を通ることになる
ATX24ピンコネクタに、裏面を通して表面に出した電源ケーブルを接続する。ケーブル側のツメがコネクタの突起にしっかりと引っかかるまで挿し込む
3.EPS12Vピンの接続
4.USB 3.0の接続
マザーボードベースの下から電源ケーブルを裏面に出し、今度は裏面側から見て右上の穴に通して表面に出す。そしてEPS12Vピンに電源ケーブルを接続。こちらもツメがかかるまで挿し込む
PCケース前面のUSB 3.0ポートと接続されているケーブルを裏面から見て左上の穴に通し、表面に出してUSB 3.0コネクタに接続。USB 3.0コネクタのピンは曲がりやすいので注意しよう
※初出時、掲載画像に誤りがございました。お詫びして訂正致します。
5.USB 2.0の接続
6.HDオーディオの接続
前面のUSB 2.0ポートとつながるケーブルを、裏面から見て左下の穴を通し、表面に出してUSB2.0コネクタに接続。USB 2.0コネクタは三つ用意されているが、どこに接続しても動作する
前面のヘッドホン出力、マイク入力につながるケーブルは、電源ユニットとマザーボードの間にある小さな隙間から表面に出すとスッキリと接続できる
7.Q-Connectorに接続
今回のマザーボードには、PCケースのアクセスランプやスイッチ類をまとめて接続できる「Q-Connector」が付属する。ケーブル側の印字とQ-Connectorの印字を合わせてそれぞれ挿し込む
8.フロントパネル用コネクタに接続
9.ケースファンの電源を接続
Q-Connectorへのケーブルの接続が終わったら、それをマザーボードのフロントパネル用コネクタに接続する。ケーブルは裏面から下の穴を通して表面に出すと接続しやすい
マザーボードには3基のケースファン用電源コネクタが用意されているが、Define R5のケースファンは前後に1基ずつ。配線のしやすさを考え、前面のファンは「CHA_FAN3」に、背面のファンは「CHA_FAN1」コネクタに接続した

組み立て時も動かないときもチェック!

フロントパネルのスイッチ類に極性はないがアクセスランプにはプラスとマイナスがあり、誤ると点灯しない。極性は印字されていることもあるが、ない場合はマニュアルなどで確認して作業しよう


Step VII. 光学ドライブの接続

 最近ではソフトのダウンロード販売が増えたことで、光学ドライブの出番は減っているが、OSのインストールやBD/DVD-Videoなどの再生などまだまだ必要なシーンもある。5インチベイに入れてミリネジで固定するだけと作業も簡単だ。今回のDefine R5のように扉のあるPCケースは遮音性が高いのに加えて、光学ドライブのベゼルの色がミスマッチでも困らないのがメリットだ。

1.前面扉を開ける
2.「5インチベイ」のカバーを外す
3.光学ドライブを挿し込む
PCケースから両サイドパネルを外す。右のサイドパネルは手回しネジを外し、左のサイドパネルは背面にあるストッパーを下に下げると固定が解除される。後ろに少し引けば、サイドパネルは簡単に外れる
電源ユニットに必要なケーブルを接続する。ここではSerial ATA電源ケーブルを2本「PERIPHERAL&SATA」と印字されたコネクタに取り付ける
PCケースの左側面から電源ユニットを入れ、もっとも背面寄りの底面部に設置。「Define R5」では電源ユニットのファンが下を向くように配置する
4.前面と位置を合わせる
5.両側面からミリネジで固定
電源ユニットに付属している「インチネジ」と呼ばれるタイプのネジを使って、PCケースの背面からプラスドライバーで固定。ネジ穴は4カ所だ
光学ドライブが前面と合っていれば、側面のネジ穴もPCケース側のネジ穴とピッタリ合っているはずなので、ミリネジを使って両側面を固定する

Step VIII. SSDの取り付け

 Define R5の場合、マザーボードベースの裏面に2.5インチシャドーベイを2基備えているが、そこに2.5インチのSSDを搭載すると、将来的に3.5インチのHDDを増設する場合、Serial ATAの電源ケーブルの取り回しがめんどうになる。そのため、メンテナンス性や拡張性を考慮して、3.5/2.5インチシャドーベイにSSDを接続する。専用のアダプタに固定するだけと難易度は低い。

1.シャドーベイからアダプタを引き抜く
2.SSDとネジ穴を合わせて固定する
3.アダプタを戻す
SSDやHDDを3.5/2.5インチシャドーベイに固定するには、専用のアダプタを利用する。まずはシャドーベイからアダプタを引き抜く。両端にあるフックを内側につまみ、手前に引き出すと抜ける仕組だ
SSDはフックと逆側にコネクタ類が来るように設置する。あとはSSDとアダプタのネジ穴を合わせ、ミリネジで4カ所を固定する
SSDを取り付けたあとは、シャドーベイにアダプタを戻す。同じように両脇のフックを内側につまみ、押し込んでいき「カチッ」と音が鳴れば固定は完了だ

HDDを取り付ける場合は?

 SSDではなくHDDをストレージに使う場合やSSDをOSインストール用、HDDをデータ保存用とし、2台で運用する人もいるだろう。そのため、ここではHDDを使った場合の組み込み手順を紹介する。基本的にはSSDと大きく異なることはないが、アダプタへの固定に専用のゴムとネジを使用する。SSDとHDDを併用する場合は、それぞれを近いベイに設置したほうが電源ケーブルを接続しやすい。

HDDの取り付け方法
アダプタにケース付属のゴムを付ける。ゴムの側面にはミゾがあるので、それをアダプタの穴4カ所に入れて固定する。
ゴムの穴とHDDの底面にあるネジ穴を合わせ、専用のインチネジで固定する。
SSDと同様にシャドーベイに戻し、ケーブル類を接続する

Step IX. ケーブル類を接続する

 ここからはSSDと光学ドライブに電源ケーブルとSerial ATAケーブルを接続していく。ポイントは、配線がキレイになるように裏面をうまく利用すること、ケーブル類は思ったよりも抜けやすいので注意することだ。ケーブルをまとめる作業中、知らないうちに抜けていたということもある。また、コネクタにしっかりと挿さっているか、チェックすることを忘れずに。

1.SSDに電源ケーブルを接続
2.光学ドライブに電源ケーブルを接続
3.Serial ATAケーブルを接続
電源ユニットに接続した2本のSerial ATA電源ケーブルをほかの電源ケーブルと同じく裏面の下にある穴から出す。そして1本をSSDの電源コネクタに向きを合わせて接続する
もう1本のSerial ATA電源ケーブルは、裏面側から見て左上の穴から表側に出して、光学ドライブの電源コネクタに接続する
マザーボードにはSerial ATAが6ポートあるが、今回は分かりやすくポート1にSSDを、ポート2に光学ドライブを接続する
4.Serial ATAケーブルを裏面に
5.一本は光学ドライブに接続する
6.SSDにSerial ATAケーブルを接続
Serial ATAケーブルを中央付近にある穴から裏面に出す。どちらがSSD用で、どちらが光学ドライブ用なのか間違わないように注意しよう
裏面に出したSerial ATAケーブルのうち1本は裏面から見て左上の穴から表面に出し、光学ドライブに接続。コネクタの向きを確認して挿し込もう
もう1本のSerial ATAケーブルはそのまま裏面からSSDのSerial ATAコネクタに接続する。これでパーツの組み込みはすべて終了だ

組み立て時も動かないときもチェック!

Serial ATAのケーブルや電源ケーブルが抜けかかっていて認識しない、というのもありがちな失敗。きちんと奥まで挿さっているのか確認しよう

Serial ATAケーブルはどのポートにつなぐ?

ポート5とポート6はSATAExpressと共用となっている。それに加えて、M.2スロットとPCI Expressのレーンを共用しているので、いずれかを利用すると、それ以外が使えなくなる

 今回のマザーボードにはSerial ATAポートが6基あるが、注意しなければいけないのが、ポート5とポート6は、SATA ExpressおよびM.2と排他利用である点だ。将来的に、SATA ExpressまたはM.2のデバイスの利用を考えている場合は、空けておくようにしよう。


Step X. 裏面配線でケーブルをまとめる

1.ケーブルをまとめる前の状態
これはパーツの組み込みが終わった直後の状態。ケーブルを裏面に回しただけという感じで、多くがだらしなくぶら下がっている

 Define R5は、裏面配線のスペースが広く、最初からケーブルタイや結束バンドが付属しているなど、内部のケーブルをまとめやすいPCケースとなっている。ここではケーブルをまとめて美しく仕上げ、ケース内部の風の流れも最大限活かせる状態に仕上げていきたい。

 ただし、ケーブルをあまりムリに曲げたりすると断線などの恐れもあるので、こだわり過ぎないように注意しておきたい。

2.付属の面ファスナーを利用
3.太いケーブルには面ファスナー
4.結束バンドで固定する
Define R5には裏面に最初から面ファスナーが付いており、ATX24ピンの電源ケーブルやSerialATAケーブルなどは、これで簡単にまとめられる
ATX24ピンの電源ケーブルは太いため根本の部分が浮きやすく、ジャマになりやすい。その場合は面ファスナーを利用して固定すると浮きにくい
マザーボードベース裏面に結束バンドなどでケーブルを固定するための機構が用意されている。EPS12VやSerial ATAの電源ケーブルをまとめよう
5.ケーブルをまとめた後
面ファスナーや結束バンドがあると便利
ちょっとケーブルをまとめる作業をするだけで、これだけ裏面がスッキリする。見た目に美しいだけではなく、サイドパネルが閉じやすくなるメリットも大きい
面ファスナーや結束バンドは100円ショップでも購入でき、種類も豊富だ。ケーブルをまとめるために用意しておくと便利だ

Step XI. 起動の確認をする

 パーツの組み込みは完了しているが、サイドパネルを閉じる前にパーツやケーブル類が正しく接続されているかチェックしておこう。そして、問題がなければ、そのままキーボードやマウス、ディスプレイを接続して動作するか確認する作業を行なう。サイドパネルを閉じてしまうとトラブルが見付かった場合、手間がかかるためだ。UEFIのセットアップまでは、このままの状態で行なおう。

起動の前に再チェック
1.パーツやケーブルを確認する
2.マウスやキーボードを接続
パーツの組み込みやケーブルの配線が終わり、いざ電源を入れたいところだが、その前にケーブルに抜けがないかなど、めんどうでも再チェックしておこう
いよいよ電源の投入だが、その前に電源ユニットに主電源ケーブル、マザーボードのバックパネルのポートにキーボード、マウス、ディスプレイ接続用ケーブルをそれぞれ接続する
3.電源をONにする
電源ユニットの背面にある主電源スイッチをONにする。指で「?」側にスイッチを倒すと電源がONになる。そして次はPCケースの天板手前にある丸い電源スイッチを押す。これで電源が入り、CPUファンなどが動き出す
4.ディスプレイの表示を確認

 電源をONにしてディスプレイにマザーボードメーカーのロゴなどが表示されたらとりあえず起動には成功。

 起動しない場合はケーブルやコネクタ類が抜けていないか再度チェックしよう


Step XII. UEFIセットアップ

 ハードウェアとOSの橋渡し的な役割を持つUEFI。ハードウェアの制御ソフトとも言え、CPUやメモリが正しく認識されているか、各パーツの省電力機能の有効化、SerialATAの動作モードなど、さまざまな設定を行なえる。最近では、ほとんどが自動的に最適な設定で動くようになっているので、ここでは念のため確認しておくという意味合いが強い。

1.UEFIのセットアップ画面
2.CPUやメモリの情報を確認
UEFIセットアップはPCの電源をONにした直後、メーカーのロゴなどが表示されているとき、[Delete]または[F2]キーを押すことで起動する。なお、初回起動時は[F1]キーで呼び出せる。正しく起動できれば、EZ Modeの画面が表示されるはずだ
EZ Modeの画面では、CPUやメモリ、ストレージの状況が確認できる。すべてが正しく認識されているのかチェックしておこう
3.システム時計を合わせる
4.Serial ATAのモードを確認する
EZ Modeでは時計の設定も行なえる。日付が大幅にズレていると、Windowsの時計もズレ、Windows Updateに失敗することがあるので注意しよう
Advanced Modeに切り換え、Advancedメニューにある「SATA Mode Selection」が「AHCI」になっているか確認しておこう

Step XIII. ケースを閉じてOSのインストール

 動作に問題がなく、UEFIセットアップでのチェックも完了すれば、いよいよOSのインストールとを始める。サイドパネルを閉じて組み立て作業を終わらせ、Windows 8.1のインストール用DVDから起動し、インストールを行なっていく。基本的には画面の指示に従っていけば問題ない。Windows 8.1のインストールは高速なので、それほど待たされることもない。

1.サイドパネルを戻す
2.PCの組み立てが終了
PCケースの両サイドパネルを戻す。スライドさせるのではなく、前面部分に引っかけるようにして閉じる。右はネジで、左はストッパーで固定する
これでハードウェア的な作業はすべて完了だ。あとはOSをインストールして、実際に使える状態に仕上げるだけだ
3.OSインストールディスクをセット
4.UEFIモードでインストールする
5.Windowsのセットアップ画面を表示
PCの電源をONにして、光学ドライブのトライを開き、OSのインストールディスクを入れてトレイを閉じる。ディスクを認識したら再起動する
再起動後は、[Delete]キーを押してUIEFセットアップを起動。起動ドライブの選択画面で「UEFI:~」と表示された光学ドライブを選択する
インストールディスクから無事に起動するとWindows 8.1のセットアップ画面が表示される。そのままの設定で「次へ」をクリックする
6.プロダクトキーを入力する
7.ライセンス条項に同意する
8.カスタムを選択する
画面の指示に従い進めていくとプロダクトキーの入力画面となる。ディスクが入っていたケースなどに記載されているプロダクトキーを入力する
次はライセンス条項が表示される。念のため内容を確認し、「同意します」にチェックを入れ、「次へ」をクリックする
インストールの種類を選択する。新規インストールでは「カスタム:Windowsのみをインストールする」をクリックしよう
9.インストール場所の選択
10.インストールがスタート
11.設定画面
Windows 8.1をインストールするドライブの選択画面となる。今回はSSDが1基だけなので、「ドライブ0~」を選択して「次へ」をクリックする
これで実際にインストールがスタートする。途中で再起動も行なわれるが、画面の指示に従えばとくに難しい作業はない
ファイルコピーの終了後は、ユーザー名やパスワードといったWindowsの基本設定となる。「簡単設定を使う」を選べば、素早く進行できる

Step XIV. ドライバのインストール

1.マザーボード付属のドライバディスクをセット
光学ドライブのトレイを開き、マザーボードに付属するドライバディスクをセットする

 OSのインストール後は、チップセットやオーディオ、LANなどマザーボード上の各種オンボード機能を認識させるためのドライバ導入となる。ASUSTeKのマザーボードは一括でドライバを導入できるディスクが付属しているので簡単だ。

 ちなみに、ディスクに収録されているドライバは古い可能性がある。最新版にこだわるならメーカーのWebサイトを確認して一つ一つインストールすることもできる。

2.InstAllを実行する
3.自動で作業が進行
起動後は「ASUS InstAll」をクリックする。推奨ツールとドライバを一括でインストールのほか、ドライバのみのインストールも行なえる
ドライバの導入には数回の再起動が必要となるが、それも含めてすべて自動で行なってくれる。完了するのを待つだけでよい
4.デバイスマネージャーで確認
5.Windows Updateを実行
Windowsキーと[X]キーでメニューを開き、「デバイスマネージャー」を起動。[!]マークや[不明なデバイス]の表示がなければ問題がない証拠
最後にWindows Updateを実行しよう。脆弱性の修正だけではなく、最新のドライバがWindows Updateのオプションとして提供されることがある

Step XV. すべてのパーツが正常に動作しているかチェック

 OSのインストールもドライバの導入も問題なく完了すれば、多くの場合、正常に動作していると言ってよい。しかし、CPUファンが正しく取り付けられておらずCPUの冷却が十分ではない、ケースファンの電源ケーブルの接続し忘れ、ケース内部の温度が上昇し過ぎる、など負荷がかかったときにだけ問題が発生する組み立てミスも存在している。そのような場合に便利なのが、強制的にPCへ負荷をかけられるフリーソフト「OCCT」だ。温度が上がり過ぎると自動的に停止する機能もあり、冷却力が十分なのかテストするのに有効だ。

 このほか、3DMarkなど高負荷なベンチマークを実行して、問題なく最後まで到達できるか試すのも正常に動作しているかのチェックには利用できる。

フリーソフト
CPU-Z
フリーソフト
OCCT
CPUだけではなく、メモリの動作クロック、デュアルチャンネル動作の有効/無効、マザーボードの種類やUEFIのバージョンまでパーツの状況を細かく把握できる。パーツの動作や認識に問題ないのか確認するのに役立つソフトだ
URL:http://www.cpuid.com/
PCのストレステストを実行できるソフト。とくに「POWERSUPPLY」では、PC全体に負荷をかけられる。動作は10分程度行えば十分だ。冷却力が不足していないか確かめるのに最適だ
URL:http://www.ocbase.com/

[Text by 芹澤正芳]


【使用パーツ問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/ http://www.intel.co.jp/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/ http://www.asus.com/jp/
CFD販売:―/ http://www.cfd.co.jp/
Micron Technology:―/ http://jp.crucialproducts.com/
パイオニア:03-3206-0806(エスティトレード)/ http://pioneer.jp/
Corsair Components:03-5812-5820(リンクスインターナショナル)/http://www.corsair.com/
Fractal Design:03-5215-5650(アスク)/ http://www.fractal-design.jp/
サイズ:support@scythe.co.jp /http://www.scythe.co.jp/


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(AKIBA PC Hotline!編集部)