パワレポ連動企画
小型PCならではのパーツ選び
【必ず満足!小型PC自作最前線(11)】
(2015/5/12 12:07)
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、今回より「2015年6月号」の総力特集「必ず満足!小型PC自作最前線」を掲載する。
前回まで小型PCの基礎となるPCケースケースとマザーボードを紹介してきた。今回からは小型PCを作成する際のパーツ選びの解説だ。
microATXはともかく、Mini-ITXではPCケースやマザーボードのサイズから、搭載することが難しいパーツがいくつもある。PCケースについては大きなものを用意すれば大体解消するが、それでは折角のMini-ITXがもったいない。なるべく性能を犠牲にすることなく小型PCを完成させるために、サイズメリットを消さずに好みのパーツを選択していくポイントを紹介しよう。
この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年6月号は全国書店、ネット通販にて4月28日(火)に発売。60ページを超えるボリュームでお届けする総力特集「必ず満足!小型PC自作最前線」のほか、同じUSB3.0対応製品なのに性能が違う!「買って得するUSB 3.0メモリはコレだ!」、登場したのは数年前だけど、あっという間に一大勢力となったアイテムを紹介!「簡易水冷クーラーカタログ」、やっぱり体が資本!最新パーツだけでなく自分の健康にも投資するべき!!「つらい目・肩・腰に効く! PC向けデスクチェアを新調せよ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は、「新しいPC作ったら、OSも新しいものを使いたい!」という新しいもの好きにお勧めする「今スグ使える!Windows 10 Technical Preview かんたん解読書」。Windows 10 Technical Previewインストール方法や、機能について大解説。「夏の正式リリースまで待てない!」というせっかちな読者の面々には見逃せない一冊だ。
- 必ず満足!小型PC自作最前線 -
小型PCならではのパーツ選び
奥行きの意識がポイント
小型PCならではのパーツ選び
最近の小型ケースは、以前のものに比べてCPUにしてもビデオカードにしてもより多くの製品に対応できる。しかし、基本的に内部が狭いことには変わりがない。組み込みやすさなどを考慮したパーツ選びが大切だ。
CPUは好みでOKだがCPUクーラーには注意が必要
小型PCでは、発熱の大きいハイエンドクラスのCPUが使えるか心配になるが、最近の小型ケースは設計の進化で冷却力が高まっていることに加え、CPUのTDPが一時期よりも下がっており、現行世代のCPUであれば、多くの場合問題なく使用できる。
例外はDevil's Canyonの最上位「Core i7-4790K」の存在だ。TDPが88Wと高く(Core i7-4770Kは84W)、CPU付属のクーラーでMini-ITXケースに組み込むのは少々不安がある。もし、Core i7-4790Kを使用したい場合は、冷却力に優れる市販のCPUクーラーと組み合わせたい。今回行なったテストでも、かなり小型のMini-ITXケースでも大型のCPUクーラーと組み合わせれば、Core i7-4790Kを十分冷やすことを実証できた。
また、ケース内の温度を下げたい、静音化したいなどの理由で、発熱を抑えたいならば、Core iシリーズで末尾に「S」や「T」の型番が付くモデルを選ぼう。S型番はTDPが65W、T型番ならば35~45WまでTDPが下がる。
ビデオカードは短いのが基本
最近のMini-ITXケースは、小型のタイプであっても大型ビデオカードへの対応が進み、スペック上では、ビデオカード選びに悩まなくてすむように思える。しかし、実際に組み込むとケーブルの取り回しや電源コネクタの接続に苦労することが多く、同じGPUを搭載するなら、短いビデオカードのほうが使いやすい。
NVIDIAの最新GPUである、GeForce GTX 970/960を搭載するビデオカードでは、奥行きがMini-ITXマザーボードとほぼ同寸のショートタイプが数多く登場。ゲーミングPCとしても使える小型PCを組みやすくなっている。さらに、GeForce GTX 970/960は低発熱なので、冷却力をそれほど気にする必要がないのも強みだ。
その一方で注意が必要なのが電源ユニットの出力だ。たとえばGeForce GTX 970のスペック上の最小必要電力は500W。これは余裕を持った数値とはいえ、ビデオカードの搭載を考えているなら大きめの出力を備えた電源ユニットを選んでおきたい。
このほか、使いやすさを重視するなら、補助電源が不要なビデオカードを選ぶという方法もある。補助電源がいらないビデオカードで性能が高めのものとなるとGeForce GTX750 Tiなので世代的には古くなってしまうが、それでもCPU内蔵のグラフィックス機能よりも断然高性能だ。手軽なアップグレード方法としては最適な選択肢と言える。
電源は奥行きを考えて選ぶ
電源ユニットは奥行き16cmの製品が主流。このサイズならば、負荷の低いときはファンの回転が止まる準ファンレス仕様、必要なケーブルだけを装着できるフルプラグイン方式、ハイエンド環境向けの高出力など選択肢の数は非常に多くなる。そのため、奥行き16cmまでの電源ユニットに対応することをうたうMini-ITXケースが増えている。しかし、組み込むとケースとの隙間が数ミリしかないこともあり、ケーブルの引き回しが困難になる。組み込みのしやすさ、その後のケーブル接続を考えた場合、奥行きには余裕を持たせておいたほうがよい。
それを考慮すると奥行きは14cm以下の電源ユニットを選択したい。14cmの奥行きでも800Wの出力、さらに電力効率の高い80PLUS Platinum認証モデルも存在している。ハイエンドクラスのビデオカードとの組み合わせでも安心できる環境構築も十分に可能だ。数は多くないが、奥行きが12cm台の電源もある。
使用するケーブルを必要最低限にできるプラグイン方式の電源は便利な半面、プラグインコネクタの部分が出っ張るため、Mini-ITXケースによっては、使い勝手が悪くなることも。ケースの奥行きやプラグインコネクタの形状は、あらかじめ確認しておいたほうが無難だ。
ストレージと光学ドライブは小型を狙え
拡張性が限られている小型PCでは、ストレージの選択も重要だ。内部をスッキリさせたいのであれば、M.2対応のSSDが一番だろう。ただし、Mini-ITXマザーボードでは、M.2スロットが搭載されていない場合もある。M.2のSSDを使うなら、マザーボードの仕様を確認しておきたい。
また、Mini-ITXケースではストレージ用のベイが2.5インチのみの対応という製品もあるが、マザーボードにM.2スロットがあれば、OS起動用にM.2のSSDを、2.5インチベイには大容量のHDDといった組み合わせができるのも強みだ。
M.2のSSDには、内部PCI Express接続と内部Serial ATA接続の2種類がある。前者は、最大32Gbpsの速度をサポートしており、対応するマザーボードとM.2 SSDを組み合わせればSerial ATAよりも高速な環境を作れるのもポイントだ。2.5インチのSSDを使用する場合は、製品の数が多いため、予算や目的に合わせて選べばよいだろう。
光学ドライブについては、搭載できないMini-ITXケースも多いが、搭載できるケースを使用する場合は、電源ユニットと同様に奥行きが短いものを選びたい。長いものでは奥行きが18cmを超えるが、短いタイプなら16.5cm程度だ。スリムドライブを搭載できるケースもあるが、気を付けるのは厚み。スリムドライブの厚みは12.7mmが主流だが、9.5mmや7mmの製品もあるの注意しよう。
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[Text by 芹澤正芳]
【DOS/V POWER REPORT 2015年6月号は2015年4月28日(火)発売】
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