パワレポ連動企画

ATXクラスの機能を凝縮、GTX 970でSLIもできるゲーミングPC

【必ず満足!小型PC自作最前線(16)】

DOS/V POWER REPORT 2015年6月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、今回より「2015年6月号」の総力特集「必ず満足!小型PC自作最前線」を掲載する。

 今回は使用するパーツは普通ながら、ATXの機能をmicroATXで再現するという構成だ。ケースの大きさからして小型PCというカテゴリーからはちょっと脱線してしまうが、microATXでもATXと同等の機能を持たせることができるということを知る意味では、興味深いPCではある。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年6月号は全国書店、ネット通販にて4月28日(火)に発売。60ページを超えるボリュームでお届けする総力特集「必ず満足!小型PC自作最前線」のほか、同じUSB3.0対応製品なのに性能が違う!「買って得するUSB 3.0メモリはコレだ!」、登場したのは数年前だけど、あっという間に一大勢力となったアイテムを紹介!「簡易水冷クーラーカタログ」、やっぱり体が資本!最新パーツだけでなく自分の健康にも投資するべき!!「つらい目・肩・腰に効く! PC向けデスクチェアを新調せよ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、「新しいPC作ったら、OSも新しいものを使いたい!」という新しいもの好きにお勧めする「今スグ使える!Windows 10 Technical Preview かんたん解読書」。Windows 10 Technical Previewインストール方法や、機能について大解説。「夏の正式リリースまで待てない!」というせっかちな読者の面々には見逃せない一冊だ。


- 必ず満足!小型PC自作最前線 -
ATXクラスの機能を凝縮 GTX 970でSLIもできるゲーミングPC


ATXクラスの機能を凝縮
GTX 970でSLIもできるゲーミングPC

小型PC向けパーツを使わず目的とコスパを優先して構成

作者の視点
テーマは「普通」。ATXの感覚で使えるのがmicroATXの魅力。その必要十分な拡張性やパーツを選ばない汎用性を示す例として、「普通」の中でも、少しハイエンド寄り、パーツ多めで考えた。
ATXのようなmicroATX

 microATXの準ATXという位置付けを意識し、最新トレンドを反映したさまざまな構成に対応できる作例として、PCケースにはPhanteksのEVOLVを選んだ。大型ラジエータ搭載も想定したレイアウトと徹底した裏面配線構造で、ビジュアル的にもすっきり収められるのが魅力だ。

 ASUSTeK MAXIMUS VII GENEは、高耐久設計の電源部を備えるためどんなCPUでも対応できるが、CPUはコストパフォーマンス重視でCore i5-4690Kを選んでいる。SSDやHDDも同様だ。左側面にアクリル窓を備えるため、CPUクーラーは冷却性能やコスパとともにビジュアルも意識した。

 ビデオカードは、GeForce GTX 970搭載カードの中からSTRIXシリーズを採用。2枚挿しのSLIという拡張の方向性も視野に入れ、電源の出力には余裕を持たせている。電源のみケースとの兼ね合いで奥行き(16cm)を少し意識する必要があったが、とくに小型PC向けのパーツを使うこともなく、「普通」度の高いPCに仕上がっている。

ここがこのPCのお勧めポイント
使用パーツと予算
使用パーツ解説と第2候補製品の紹介

コストと静音性のバランスを重視

 「ハイエンド寄りの普通」を想定したためパフォーマンスは抑え目だが、ポテンシャル的にはまだまだ上が目指せる。

 マザーボードや電源の品質にこだわりつつこの価格に抑えられたのは、特別な小型PC向けパーツを使っていないことも大きい。

【検証環境】OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:24℃、暗騒音:計測限界(30dB)以下、アイドル時:OS起動10分の値、高負荷時:OCCT 4.4.1 POWER SUPPLYを10分動作させたときの最大値、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.27で、CPU はCPU Temperatures のPackage、GPUはVideo Card のTemperaturesの値、動作音計測距離:ケース正面から20cm、電力計:Electronic Educational Devices WattsUp? PRO、騒音計:カスタム SL-1370

凝縮されたATXクラスの機能をチェック!

microATXマザーの機能はATXに見劣りしない!

マザーボードの機能をATXと比較
PCI Express 3.0 x16スロットは、二つのスロット間の距離が近いということ以外、スペック的には同等

 チップセットが1チップになり、機能統合も進んだ今では、microATXのスペースがあれば、ATXマザーボードが持つ一通りの機能を搭載することに支障はない。通常のハイエンドクラスまでならば、性能、機能ともにATXにまったく見劣りしない。

 右には、MAXIMUS Ⅶ GENEと、同クラスのATXモデルであるMAXIMUS Ⅶ HEROとの比較をまとめたが、見劣りしているのは、拡張スロットの数のほかは、ビデオカードを利用する場合には関係がないディスプレイ出力と、音声出力系の一部端子程度だ。このASUSTeKのROGシリーズは、OCやゲーマー向けに独自の機能を多く搭載しているが、その独自機能の部分、高耐久設計の電源部などスペックに現われない部分まで含めてもまったく同等であり、ATXモデルと変わらずOCやゲームが楽しめる。

大型の水冷ラジエータも付けられる充実の冷却機能

 PCケースに選んだPhanteksのEVOLVは、最新の冷却拡張性を高いレベルで備えている。標準で前面に20cm径の大口径ファン、背面に14cm角ファンを搭載しており、天板にも14cm角ファンを2基や、簡易水冷クーラーのラジエータを搭載することができる。

水冷クーラーの搭載を想定
天板に大きなスペースが用意されており、5インチベイデバイスの利用とは排他だが、28cmクラスまでの大型ラジエータを搭載できる。前面にも20cm径ファンと排他で24cmまでのラジエータを装着可能だ

冷却効果を妨げないストレージ配置

 ケース前面の底部には、3.5/2.5インチ共用のシャドーベイが二つあり、ドライブレールを使って簡単に着脱できる。2.5インチドライブはマザーボードベース裏にも1基搭載できるので、今回はシステムSSDはそちらに取り付け、ここは将来的な増設用として1基分を空けている。いつでも増設可能だ。

光学ドライブも一応搭載可能
アクセスはしにくいものの、背面に5インチドライブを搭載可能だ。
サイドブラケットには3.5インチなら1基、2.5インチなら2基まで搭載できる

GeForce GTX 970搭載ビデオカードでSLIが可能!

ゲーミングマシンに必須のビデオカードの自由度も高い

 ビデオカードのスペースは、ATXケースでもドライブベイの仕様などによって差のあるところで、準ATX的な性格のmicroATXケースでも、やはり干渉が問題になりやすい部分だ。ケースのスペースとビデオカードの長さは必ず確認しておく必要がある。

全長の長いビデオカードもOK
写真のとおり、全長の長いビデオカードを間隔を空けずに並べるとかなり窮屈な見た目になる。しかし、前面の20cm径ファンがビデオカードのすぐ直前に来ることもあって、ファンの回転数を調整すれば、冷却面もなんとか対応できる構成だ

 とはいえ、今回PCケースとして採用したEVOLVは、公称値で31.8cmまでのビデオカードを搭載でき、最近のハイエンドビデオカード(27~30cm程度)ならば問題ない。ASUSTeKのSTRIX-GTX970-DC20C-4GD5の長さは27.9cmなので、余裕で収まる。GeForce GTX 980やGeForce TITAN X搭載カードも含めて自由度の高い選択が可能だ。

 今回はGeForce GTX 970搭載カードを2枚挿ししてのSLI構成も試してみた。Mini-ITXではできない構成だけに、この辺りはmicroATXの優位を示せる場面ではあるのだが、拡張スロット部分一杯に間隔なしに並べるためかなり窮屈。見た目、騒音、温度ともギリギリ感は否めない。対応できないことはないが、SLIに限っては、やはりATXのほうがスマートではあるだろう。

シングルGPUとSLI時の比較
【検証環境】前述の検証環境に加えてASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)をもう1枚追加

小技で仕上げる

Fan Xpert 3でファンを個別に制御

ファンコントロールの基準とする温度を、マザーの複数の部位から選択できるため、細かな冷却が可能だ

 EVOLVのケースファンはマザーボードベースの裏にあるハブを介して裏面配線されている。見た目にもスマートだが、ファンの制御はすべてCPUファンと同一基準だ。ファンをそれぞれ別々の箇所の温度を基準に制御できるファンコントロールユーティリティ「Fan Xpert 3」を使うため、マザーボード側に接続し直した。

 右のような設定をすることで、高負荷時はしっかりと冷却しつつアイドル時はほぼ無音という状態にした。

LEDも交換可能

 EVOLVには、パワーランプとして赤、緑、白の交換用LEDが付属している。標準では白が装着されているが、今回は赤系のパーツを多く選んでいることから、統一感の出せる赤色に交換してみた


【問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/ http://www.intel.co.jp/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/ http://www.asus.com/jp/
Novax Technologies:03-3768-1321(マスタードシード)/ http://www.umax.net/
SanDisk:0120-89-3009(サンディスク)/ http://www.sandisk.co.jp/
Western Digital:0120-994-120 / http://www.wdc.com/jp/
Phanteks:info@itcweb.jp(アイティーシー)/ http://www.phanteks.com/
Sea Sonic Electronics:046-236-3522(オウルテック)/ http://www.seasonic.com/
RAIJINTEK:info@itc-web.jp(アイティーシー)/ http://www.raijintek.com/jp/
Fractal Design:03-5215-5650(アスク)/ http://www.fractal-design.jp/
Micro-Star International:web-jp@msi.com(エムエスアイコンピュータージャパン)/ http://jp.msi.com/

[Text by 鈴木雅暢]


DOS/V POWER REPORT 2015年6月号は2015年4月28日(火)発売】

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(AKIBA PC Hotline!編集部)