パワレポ連動企画

ゲーム環境に妥協なし!ハイエンドGPU&水冷搭載ミニPC

【必ず満足!小型PC自作最前線(15)】

DOS/V POWER REPORT 2015年6月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、今回より「2015年6月号」の総力特集「必ず満足!小型PC自作最前線」を掲載する。

 今回は小型といえども妥協は許されないゲーム用の小型PCを紹介する。ハイエンドなCPUとビデオカードを使っているため、なかなかいいお値段となっているが、プレイするゲームに合わせてパーツをチョイスすることで費用を抑えることも可能だろう。膝に矢を受けたくらいではへこたれない、優秀なゲーマーの面々にはお勧めの構成だ。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年6月号は全国書店、ネット通販にて4月28日(火)に発売。60ページを超えるボリュームでお届けする総力特集「必ず満足!小型PC自作最前線」のほか、同じUSB3.0対応製品なのに性能が違う!「買って得するUSB 3.0メモリはコレだ!」、登場したのは数年前だけど、あっという間に一大勢力となったアイテムを紹介!「簡易水冷クーラーカタログ」、やっぱり体が資本!最新パーツだけでなく自分の健康にも投資するべき!!「つらい目・肩・腰に効く! PC向けデスクチェアを新調せよ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、「新しいPC作ったら、OSも新しいものを使いたい!」という新しいもの好きにお勧めする「今スグ使える!Windows 10 Technical Preview かんたん解読書」。Windows 10 Technical Previewインストール方法や、機能について大解説。「夏の正式リリースまで待てない!」というせっかちな読者の面々には見逃せない一冊だ。


- 必ず満足!小型PC自作最前線 -
ゲーム環境に妥協なし!ハイエンドGPU&水冷搭載ミニPC


ゲーム環境に妥協なし!
ハイエンドGPU水冷搭載ミニPC

目的とコアパーツが決まれば最終形はおのずと見えてくる

作者の視点
Mini-ITXで「バトルフィールド ハードライン」などの旬のゲームを快適に遊ぶための構成を考えてみた。ゲーム用なのでCPUやビデオカードはもちろん、ストレージまでバランスよく選ぶ必要がある。
大型の水冷クーラーやビデオカードに対応

 最新PCゲームの負荷に対抗するためには、何はなくともGTX 980クラスのビデオカードは必須。さらに最近のゲームはCPU負荷も無視できないほど高いため、LGA1150で最速のCore i7-4790Kも確保したい。

 この二つの要素をキューブタイプの「Obsidian 250D Mini ITX PC Case」(以下、Obsidian 250D)に収め、かつ性能に妥協せずにまとめるにはどうすればよいかというのがこのプランのメインテーマ。ワットパフォーマンスのよいCPUとGPUを使うため、電源ユニットは550Wで十分だが、準ファンレス仕様にして静音性を確保。一方、CPUクーラーは、ケースに高さ制限があるため、空冷よりも簡易水冷が向いている。OCも視野に入れるのであれば、マザーもやはりOC向け製品がベスト。また、最近のゲームは平気で50GB以上占有するため、ストレージは大容量のSSD 1基でカバーする。

 必要なCPUとGPUの割り出しを起点に、普段とは逆のアプローチでパーツを割り出した結果がこの構成、と言ってよいだろう。

ここがこのPCのお勧めポイント
使用パーツと予算
使用パーツ解説と第2候補製品の紹介

コストと静音性のバランスを重視

 合計25万円近くなったが、性能を考えれば妥当な価格。高負荷時の冷却もわりと思いどおりに仕上がった。ただ、CPUが高温になると水冷ユニットのファンがかなりノイズを出すため、静音性確保のためにファンを静音タイプに変えるなどの工夫もしたい。

【検証環境】OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:22.5℃、暗騒音:計測限界(30dB)以下、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.1 POWER SUPPLYを10分間動作させたときの最大値、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.27で、CPUはCPU TemperaturesのPackage、GPU はVideo Card のTemperaturesの値、動作音計測距離:ケース正面から20cm、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO、騒音計:カスタム SL-1370

小型ケースにハイパフォーマンスを詰め込め!

取り付けに必要なスペースの事前確認は慎重に!

ケーブルはマメにまとめよう
フロントUSBケーブルや電源ケーブルの余りは結束バンドを利用してていねいにまとめる。今回使った電源ユニット「RM550」は、モジュラー式かつフラットケーブルなのでたたんでまとめるのが非常に楽だった

 小型PC自作で一番ダメージが大きいのはサイズの見積もりミスだ。Obsidian 250Dは比較的大型のMini-ITXケースだが、ケース下部は電源とシャドーベイ用のスペースなので、パーツの配置に使える実質的な空間はさほど広くない。とくにパーツの高さや厚みに関してはかなりシビアだ。よぶんなケーブルはキッチリとまとめ、内部空間を最大限に確保しつつ作業していこう。

大型ビデオカードは長さだけでなく高さにも注意

カード長が28cmでも余裕で入るが、高さはギリギリ

 ATXマシンではパーツの高さについてあまり気にする必要はないが、Obsidian 250Dのような背の低いMini-ITXケースではパーツの高さにも注意。今回選択したビデオカードの上端とケース上側フレームの上端はほぼ同じ高さ。空冷クーラーも13cmまでに制限されるなど、高さのあるパーツは使用不可という制限を背負っていることを意識しよう。

補助電源も油断禁物
高さを変更可能なメモリ
ビデオカード上部に差し込む補助電源ケーブル。今回の組み合わせでは、ケーブルの余りをしっかり寝かせないと天板が閉まらなかった
CPUを水冷化したので背の高いメモリでも問題がなかったが、今回使ったG.Skill製メモリはヒートシンクを外すことで背を低くすることも可能

 ここまで何のトラブルもなく進んでいるように見えるかもしれないが、実は今回簡易水冷キットの選択を誤るという痛恨のミスをしてしまった。水冷キットのラジエータとファンはケースの右側面に固定するが、ラジエータが厚いとファンがマザーの上部スペースを占有してしまい、VRMやヒートシンク、あるいははEPS12Vコネクタなどと干渉する。水冷キットのラジエータの厚さは主に27/30/32mmの3種類があるが、今回一番薄い27mmに付属の25mm厚ファンを組み合わせてなんとか2mm程度のスペースを稼ぐことができた。小型ケースにハイパフォーマンスをキッチリと詰め込むには、事前の寸法確認をしつこいくらい行なうべきだろう。

24cmクラスのラジエータも入るが……

ケース内の空気は右側面全体から吸い出されるため熱がこもる心配はない

 右側面には最大24cmクラスのラジエータ取り付け用のスペースが用意されているため、簡易水冷キットの組み込みは比較的簡単。だが、ラジエータの厚みを27mmまでにしないとマザーボードと干渉してしまう。当初は32mm厚のラジエータの水冷キットを使おうと準備していたが、マザーを組み込んだ後で干渉が発覚。急遽「Water 3.0 Extreme」に変更した。

スペースはわずか2mm
断念した水冷キット
今回使ったマザーボードは端ギリギリにVRM基板が立っている。そのため、標準的な27mm厚のラジエータを使うと余裕はわずかに2mmだった
当初は見た目がハデで32mm厚ラジエータのRAIJINTEK「TRITON」の採用を考えていたが、VRM基板に干渉することが分かり、使用を断念

GTX 980と水冷の実力をチェック

フルHDでゲームを遊ぶには期待どおりのパフォーマンスを発揮

大型ビデオカードの高いパフォーマンスを見よ!!
検証環境】バトルフィールド ハードライン:画質を「最高」に設定し、シングル用キャンペーンエピソード1のカーチェイスシーンでfpsを「Fraps」で計測、アサシン クリード ユニティ:画質を「最高」に設定し、シングル用シナリオ序盤、市街地の一定のコースを移動したときのfpsを「Fraps」で計測、GPU温度とGPUクロック:アサシン クリード ユニティを定格設定のCPUで30分間プレイし「HWiNFO 64 v4.49」で計測、ほかは前述と同じ

 本機の性能や安定性をチェックしていこう。基本性能を見るPCMark 8と3DMarkに加え、ゲームタイトルの代表として「バトルフィールド ハードライン」と「アサシン クリード ユニティ」をフルHD&最高画質設定で動かしフレームレートを計測した。GPU温度とクロックの推移以外の各テストはCPU定格動作のほか、4コア時4.6GHz(倍率46倍、コア電圧1.3V設定)にOCして検証した。

 GTX 980は期待どおりの働きをしてくれた。描画の軽めなバトルフィールドでは常時90fps以上をキープ。超重量タイトルであるアサシン クリードでも最低37fpsとハイパワーゲーミングPCと呼ぶにふさわしい性能だ。プレイ中、CPUは60℃前後で変動するが、GPUコア温度は66℃、GPUコアクロックは1,316MHzをキープしていた。

 その一方でOCの効果は少々微妙だ。PCMark 8や3DMarkではスコアアップが確認できたものの、実際のゲームでは効果なし。Core i7-4790KをOCしただけにCPU温度はかなり高くなるが、GPU温度には大きな影響はなく、水冷ユニットがしっかり熱をラジエータへ移動させていることが分かった。

さらに高みを目指す余地もある!?

 OC時のCPU温度やOCCT実行時の静音性が今一つだが、ハイパワー小型ゲーミングPCとしては一応の完成を見ることができた。

 ただこのプランにもまだ改善の余地がある。性能面ではラジエータ冷却ファン交換による静音性向上や簡易水冷キットを利用したGPUの超冷却化といった改善が可能だ。

 さらにGTX 980単独では4Kには少々つらいため、ゲーマーに話題の「TITAN X」を載せるという手も残されている。ただそのためには電源強化やカード裏面の熱対策など、今回のプランから改善すべきポイントも多い。かつ値段も別次元になることも覚えておきたい。

デュアル水冷への挑戦
超高負荷ゲームはどうする?
ケース前方にはスペース的な余地が残されている。フロントファンを小型水冷キットに変更し、NZXT「Kraken G10」を介してビデオカードのGPUを水冷化する、という手もある。今回はGTX 980が空冷で十分冷えていたため見送ったが、発熱量の多いRadeon系や、ビデオカードのOCに挑戦するなら検討したい
超重量級のアサシン クリード ユニティのように、GTX 980のパワーをもってしてもフルHD&最高画質では30fps台キープがやっと、という超高負荷のゲームも存在する。TITAN Xの導入も検討したいが、熱対策と価格が高いハードルだ
アサシン クリード ユニティ(C)2014 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved.

【問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/ http://www.intel.co.jp/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/ http://www.asus.com/jp/
G.Skill International:03-3768-1321(マスタードシード)/ http://www.gskill.com/
Micro-Star International:web-jp@msi.com(エムエスアイコンピュータージャパン)/ http://jp.msi.com/
Micron Technology:-/ http://jp.crucialproducts.com/
Corsair Components:03-5812-5820(リンクスインターナショナル)/ http://www.corsair.com/
Thermaltake Technology:03-5215-5650(アスク)/ http://jp.thermaltake.com/

[Text by 加藤勝明]


DOS/V POWER REPORT 2015年6月号は2015年4月28日(火)発売】

★総力特集「必ず満足!小型PC自作最前線」
★特別企画「買って得するUSB 3.0メモリはコレだ!」「簡易水冷クーラーカタログ」「PC向けデスクチェアを新調せよ」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 特別付録小冊子「今スグ使える!Windows 10 Technical Previewかんたん解読書」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2015-04-22-1155.php

【電子販売ショップ】

(AKIBA PC Hotline!編集部)