パワレポ連動企画

【マザーボード100選 2016(4)】ウルトラハイエンド部門 その1

~この部門の注目点とレコメンド発表~

DOS/V POWER REPORT 2016年1月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年1月号」の総力特集「価格帯別・最強マザーをここに決定 マザーボード100選 2016」を掲載する。なお、2016年1月号は11月28日(土)発売だが、今回は一足早くお届けする。

 第4回目からは、部門毎にマザーボードランキングを発表していく。まずは各メーカーの粋をこらしたウルトラハイエンド部門から紹介する。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年1月号は全国書店、ネット通販にて11月28日(土)に発売。人気と実用性を兼ね備えたお薦めマザーボードを決定する総力特集をはじめ、ASUSのプロ向け資料を限定公開!読み方も解説したダウンロード特典「ASUSTeKレビュアーズガイド マザーボード&ビデオカード編 英語版」、ネット配信の嵐が日本上陸!サービス内容や使いやすさも比較した「ネット配信端末が地上波を駆逐する? Fire TV vs. 第4世代Apple TV」、いつの間にやら豊富なラインナップ「こんなにあるって知ってました!? Amazonベーシック特選品」、スマホ使いなら持っていると便利、マジお勧め「容量・サイズ・機能で選べる 最新モバイルバッテリ28選」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は「ドカンと大レビュー!マザーボード&ベアボーン超図鑑 2016」。……えっ、この厚みで付録なんですか!?


-マザーボード100選 2016-
価格帯別・最強マザーをここに決定


ウルトラハイエンド部門

 もっとも高価な価格帯であるウルトラハイエンドクラスには、メーカーの技術の粋を結集した製品が集まる。

 用途に特化したモデル、機能や付属品を満載するプレミアムモデルなど、性格付けが明確なのが特徴だ。

名実ともに最強の製品が集結 昨年よりも価格は上昇傾向

 今年のウルトラハイエンド部門は、4万円以上の製品の中から選んだ。ノミネートされたマザーは合計15枚で、X99マザーが7枚、Z170マザーは8枚という割合だ。X99マザーが多いことに驚く方もいるかもしれないが、そのうちの4枚は今年発売された新製品。根強いニーズがあるジャンルなのだ。ウルトラハイエンドクラスの製品は、ゲームやオーバークロックに特化したタイプが9製品と多く、ASUSTeKの高耐久マザーであるSABERTOOTHシリーズの2枚を加えると、11枚が専門性の高い特化型ということになる。その分、拡張性や付属品の豪華さが特徴の全方位型のプレミアムモデルは減少している。

 価格面では、昨年は実売価格6万円を超える製品は1枚だけだったが、今年は5枚もノミネートされている。円安によるマザーボード市場全体の価格上昇も一因だが、特化型のモデルを中心にゲームやオーバークロック向けの実装が豪華になったことや、USB 3.1やNVM Express規格のストレージに関連した実装や付属品が増えたことも大きいと思われる。

この部門はココに注目!

ポイント このクラスならではのスペシャルな仕様

トリプルLANによる高速ネットワーク機能
三つのLANコントローラを併用、それぞれに最適な通信を割り当てることによりゲーム中のラグを減らす機能を搭載するゲーミングマザーもある

 このクラスのマザーボードの最大の特徴は、OCモデルにおけるOC向け電源回路やコントローラ、ゲーミングモデルにおけるサウンド機能など、下のクラスにないスペシャルな機能が搭載されていることだ。

 USB 3.1やM.2などのインターフェースも充実しており、それらに対応した付属品の豪華さはこのクラスならではと言える。

OC向けに開発された電源回路
オーディオ機器グレードのサウンド
高度なオーバークロックを考慮して設計された多フェーズ構成の電源回路を搭載。コンデンサなどの部品にもハイグレードのものが採用されている
高性能なオーディオプロセッサやD/Aコンバータ、オーディオグレードのコンデンサなどを搭載し、音質の高さをウリにする製品もある
高速ストレージインターフェース
豪華な付属品
最大で32Gbpsもの転送速度を誇る、PCI Express 3.0 x4接続のM.2スロットを複数備える製品など、ストレージインターフェースも充実
無線LANアンテナや、インターフェース類の変換コネクタなど、付属品の豪華さはこのクラスの特権と言える
思い切り高価の製品もあるがそれに見合うだけの豪華機能を持つ
GIGA-BYTEのフラッグシップモデルGA-Z170X-Gaming G1の実売価格は8万円に迫り、最廉価クラスのZ170マザーの5倍を超える。その分仕様は豪華で、サウンド回路は単体のUSB DACや高級サウンドカード並みの懲りようだ

【オレはこんな基準で評価した!】

・Ta 152H-1
 基本的な拡張性において優位にあるX99マザーだが、世代的に古いこともあって魅力に欠ける製品が多い。一方でZ170マザーは拡張性に限度があるため、少し変わった機能実装で競うといった傾向が。今回はそうした部分での差別化がおもしろい製品を選んでみた。

・清水貴裕
 昨年と同じくOC耐性の高さを重視し、世界ランク上位の記録が狙えるポテンシャルを秘めた製品を選んだ。実際に筆者が使い込んでいる製品にしか投票していないので、OCマザーを検討している人やハイスコアを狙っている人は参考にしてみてほしい。

・鈴木雅暢
 高耐久設計や多機能など理屈の裏付けは当然必要だが、このクラスはそれだけでは不十分。テーマをしっかり演出し、使ってみたい、試してみたいと思わせるものになっているのか。欲しいと思うような色気を備えているのか、そういった部分を重視して選んだ。

ゲームとオーバークロックに特化した製品がレコメンドを獲得

 今年のゴールドレコメンドを受賞したマザーは、これまでにないシルバーを基調としたカラーリングが目を引くMSIのZ170A XPOWER GAMING TITANIUM EDITIONだ。ゲームとO Cに特化した対応力の高さと、このクラスの中では手に取りやすい4万円台前半という実売価格とのバランスが評価され、評価者全員と編集部からの票を集めての受賞となった。シルバーレコメンドは、合計4点を集めたASRockのZ170 OC Formulaと、合計3点を集めたASUSTeKのRAMPAGE V EXTREME/U3.1が受賞した。

 Webでの人気投票の1位は王道的プレミアムマザーであるASUSTeKのZ170-DELUXEが獲得。2位はASRockのZ170 OC Formula。3位はASUSTeKのRAMPAGE V EXTREME/U3.1。Web投票では、専門性の高い特化型のモデルと全部入りのプレミアムモデルがバランスよく評価されている印象だ。

 本誌執筆陣とWebでの評価がはっきり割れたのはASUSTeK Z170-DELUXE。執筆陣は、この部門では、ほかのクラスで得ることのできない特別な機能、演出を持つ製品を評価する声が多い。その傾向はハイエンド部門においても同じで、アッパーミドル部門になると特定の分野に特化しない王道タイプが票を集め始める。ここから玄人たちの現状のマザーボード選びにおける一つの指針が見えてくる。「やりたいことが分かっているならとことんコストを注ぎ込んでもよいモデルがある」、「コスト面も含めて無難にまとめたいなら3万円以下の価格帯に優秀な製品が多い」ということだ。

 もちろん、これがあなたのマザーボード選びの答えというわけではないが、迷っているならぜひ参考にしてほしい。

ウルトラハイエンド部門 レコメンド受賞製品

Micro-Star International
Z170A XPOWER GAMING TITANIUM EDITION

-ゲームとOCの二刀流、竜をまとった白銀のZ170マザー

LGA1151 / Intel Z170 / ATX
I/Oパネル
評価

 シルバーの基板が目を引く、Z170チップセットを搭載したMSIのゲーミングマザー。同社のOC向けモデルに与えられる“XPOWER”の名が示すとおり、ゲームだけでなくOC機能も強化した製品である。

 OC耐性を大きく左右するコンポーネント群は最新のミリタリークラス5に準拠。VRMは16フェーズ構成で、MOSFETにはOCモデルで定評のあるIR製のIR3555M、チョークコイルには220℃という高温環境でも動作するとされる、新開発のチタニウムチョークが採用されている。メモリOCのしやすさも本製品の特徴の一つで、メモリ回路を独立させた「DDR4 Boostテクノロジ」の恩恵で、DDR4メモリの性能を余すことなく発揮できる。

 サウンド部には、シールドを搭載したオーディオプロセッサ、日本ケミコン製のオーディオ向けコンデンサ、デュアルヘッドホンアンプなどからなる「Audio Boost3」を搭載。LANコントローラには同社のゲーミングマザーで広く採用されるKillerシリーズではなく、Intel I219-Vが採用されているので、Intel製のLANコントローラを好むゲーマーにとってはうれしいところだ。

 ゲーマー向けの実装もOC向けの実装も充実している本製品は、ゲームとOC、二つのニーズを同時に満たしてくれる逸品に仕上がっている。

Specification
●対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium●メモリスロット:PC4-32000 DDR4 SDRAM×4(最大64GB)●ディスプレイ:DisplayPort×1、HDMI ×2●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×3(x16/- / -、x8/- /x8、x8/x4/x4で動作)、PCI-E 3.0 x4(x16形状)×1、PCI-E 3.0 x1×3●主なインターフェース:M.2(PCI-E 3.0 x4接続またはSATA 3.0接続)×2、SATA Express×2、SATA 3.0×4、USB 3.1(Type-A)×2、USB 3.0×7、USB 2.0×7● LAN:1000BASE-T×1●実売価格:44,000円前後
PCI-E= PCI Express、SATA= Serial ATA、USBのポート数はピンヘッダ含む、USBポートのコネクタ形状を明記していないものはType-A、SATA Express 1ポートはSATA 3.0 2ポートとしても使用可能

OC設定用のコントローラが付属
「OCダッシュボード」上にはクロック変更用のボタンなどが並ぶ。付属の延長ケーブルを装着すれば、極冷時に凍って操作不能になることもない
こだわりの回路設計とコンポーネント
チタンシールドのチョークが輝く16フェーズ構成のVRM部分。メモリの回路は、信号をノイズから守るためほかの回路から独立した設計を採用

【投票者コメント】

・Ta 152H-1
【高機能だけでなく見た目もユニークな製品】
 ゲーミングマザーボードとして求められる機能実装は当然ながら、オーバークロック専用マザーボードに遜色のないOC機能を実装している。さらに見た目の楽しさといった遊びの要素も欠かさない。ほかのマザーボードにない楽しさといったプラスアルファを持つ独特の雰囲気のある1枚だ。

・鈴木雅暢
【白銀に輝く基板にヤラレた】
 とにかく見た目の美しさに魅了される。白銀に輝くシルバーのレジストを採用した基板、ヒートシンクの質感が秀逸で、表面のMSIドラゴンも一段と高級感を増して見える。DrMOS、チタン製チョークコイル、Hi-c CAPといったMSIが誇る最高グレードの部品を贅沢に実装した高耐久設計も説得力十分。


ASUSTeK Computer
RAMPAGE V EXTREME/U3.1

-最強のOC耐性を誇るX99マザー

LGA2011-v3 / Intel X99 / ExtendedATX
I/Oパネル

 ASUSTeKが独自にピンを追加した「OC Socket」を搭載した、R.O.G.シリーズのフラグシップモデル。追加されたピンによりCPUの隠し接点から給電することで、CPUコアだけでなくリングバスとメモリのOC耐性も大幅に向上。

 OC向けの専用ハードウェア「OC Panel」が付属するほか、競技用の再起動ボタンも搭載されている。

Specification
●対応CPU:Core i7●メモリスロット:PC4-26400 DDR4 SDRAM×8(最大64GB)●ディスプレイ:-●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×4(x16/x16/x8/-、x16/x8/x8/x8で動作)※40レーン対応CPU使用時、PCI-E 2.0 x4(x16形状)×1、PCI-E 2.0 x1×1●主なインターフェース:M.2(PCI-E 3.0 x4接続)×1、SATA Express×2、SATA 3.0×8、USB 3.0×14、USB 2.0×6● LAN:1000BASE-T×1●そのほか:OC Panel、USB 3.1拡張カード(Type-A×2)●実売価格:68,000円前後
PCI-E= PCI Express、SATA= Serial ATA、USBのポート数はピンヘッダ含む、USBポートのコネクタ形状を明記していないものはType-A、SATA Express 1ポートはSATA 3.0 2ポートとしても使用可能

【投票者コメント】

・Ta 152H-1
 ハイエンド製品にふさわしいハードウェア仕様の上、オーバークロックやゲーミングといった用途向けのユニークな機能を実装しており、バランスのよい優れた製品と言える。

・鈴木雅暢
 USB 3.1機能の追加がカード同梱による対応という点は残念だが、基本設計はX99マザー最高峰のクオリティ。常用OCにも有効なOC耐性と作業性を備える。


ASRock
Z170 OC Formula

-OCチャンプ監修の競技向けモデル

LGA1151 / Intel Z170 / ATX
I/Oパネル

 著名オーバークロッカーNick Shih氏監修のOCに特化したZ170マザー。

 18フェーズ構成のVRMを搭載するほか、DDR4-4133を超える超高クロックモジュールをサポート。UEFI内には、同氏のOC設定がプリセットとして登録されているので、上級者だけでなく初心者でもOCを楽しめる。

Specification
●対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium●メモリスロット:PC4-36000 DDR4 SDRAM×4(最大64GB)●ディスプレイ:DisplayPort×1、HDMI×1●拡張スロット:PCI-E 3.0 x16×3(x16/- / -、x8/- /x8、x8/x4/x4で動作)、PCI-E 3.0 x4(x16形状)×1、PCI-E 3.0 x1×1、PCI-E 2.0 x1×1、PCI-E Mini Card(ハーフ)×1●主なインターフェース:M.2(PCI-E 3.0 x4接続またはSATA 3.0接続)×3、SATA Express×3、SATA 3.0×4、USB 3.1(Type-A)×1、USB 3.1(Type-C)×1、USB 3.0×9、USB 2.0×6● LAN:1000BASE-T×1●実売価格:44,000円前後
PCI-E= PCI Express、SATA= Serial ATA、USBのポート数はピンヘッダ含む、USBポートのコネクタ形状を明記していないものはType-A、SATA Express 1ポートはSATA 3.0 2ポートとしても使用可能

【投票者コメント】

・Ta 152H-1
 このクラスになると最大限の実装で、OC向けの機能についても可能な限り盛り込むといったことが可能となる。そのことを実践した特徴的な1枚に仕上がっている。

・鈴木雅暢
 60Aパワーチョークを18フェーズ搭載する電源部をはじめ、高耐久設計においてはスタンダードの最上位であるZ170 Extreme 7+をも圧倒する。基本機能も豪華な内容だ。


【問い合わせ先】

Micro-Star International:web-jp@msi.com(エムエスアイコンピュータージャパン)/http://jp.msi.com/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/http://www.asus.com/jp/
ASRock:03-3768-1321(マスタードシード)/http://www.asrock.com/


[Text by 清水貴裕]


DOS/V POWER REPORT 2016年1月号は2015年11月28日(土)発売】

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(AKIBA PC Hotline!編集部)