借りてみたらこうだった!

影Mod入りマイクラもバイオ7も遊べる!MSIの薄型ゲーミングノートPC「GP62MVR 7RF Leopard Pro」

薄型でハイスペックは両立するのか?ゲームで性能をチェック text by 加藤勝明

Core i7とGeForce GTX 1060を搭載したフルHDのゲーミングノートPC「GP62MVR 7RF Leopard Pro(239JP)」。実売価格は税込19万円前後だ。

 以前はデスクトップPCの独擅場だったゲーミングPCにも、ノート型がグイグイと浸食。今では市場の中でも大きなカテゴリーを形成している。

 だが、ゲーミング向けのノートPCはパワーと発熱のバランスをどうとるかが難しい。ここがメーカーの腕の見せ所なのだが、薄型となるとさらに難度があがる。

 そこで、今回はMSI「GP62MVR 7RF Leopard Pro(239JP)」を簡単にレビューしてみたい。デスクトップPC並のスペックを薄型筐体に詰め込み、その性能を発揮するための高性能な冷却機構を搭載。ゲーミングデバイスメーカーのキーボードやゲーム向けのサウンド機能を採用するなど、最新ゲーミングノートのお手本ともいえるモデルだ。

 わずか2~3cmの厚さにCore i7-7700HQとGeForce GTX 1060(3GB)を組み込み、どうバランスが取られているのか、性能と薄さは両立できるのか、主要ゲームタイトルを使って見ていこう。

搭載機能を総チェック、写真で見るGP62MVR 7RF Leopard Pro

 まずは写真等で各部をチェックしていこう。

 GP62MVR 7RF Leopard ProのスペックはCPUに物理4コア版の第7世代Core i7-7700HQ、GPUはモバイル向けのGeForce GTX 1060(VRAM 3GB)。これを15.6インチフルHD液晶と組み合わせ、重量2.2kgの比較的薄型ボディーに納めている。

天板はMSI製品でおなじみのドラゴンのシンボルを配置。
パワーのあるゲーミングノートなのでACアダプタも結構大きい。ACアダプタの総出力は180Wだった。
背面は排気孔しかないシンプルな設計。空気の通り道さえ確保すれば、本体を壁に寄せて配置できるので机の上を広く使えるのがこの設計のメリットといえる。
右側面にはUSB 2.0とSDカードリーダー、ACアダプタ用端子のみを配置。
USB 3.0やUSB 3.1 Type-C、HDMI出力などは左側面に集中させることで、ケーブルさばきが楽にできるよう配慮されている。有線LAN(Killer E2500 + Killer Shield K9000)があるのもゲーミングノートならではの配慮といえる。
一部のキーがかなり小さくなっているものの、左Winキーをあえて排除したゲーミングPCらしいキーボード。ゲームで多用するWASDキー近くの特殊キー(Ctrl等)が多く、押しやすくなっている点に注目。
MSIが“Silver Lining Keyboard”と呼ぶ側面からもバックライトの光が漏れるキーキャップ。光量を絞ってもキーの位置が判別しやすいのは良い。
底面は中央部に大きな通風口、両側面奥側(図中右上および左上)にファン用の吸気口を備える。左側中段にサブウーファー用らしきメッシュ部が見えるが、サブウーファーは搭載されていない。
底板を外すと、本機の設計的な特徴があらわになる。中央やや上にGPU、その右にCPUを配置し、GPUに3本、CPUに2本のヒートパイプを割り当てているのがMSIが“Cooler Boost 4”と呼ぶクーリングシステムだ。バッテリは一般的な18650バッテリが6本入っているタイプのようだ。
この何気ない1枚の見どころは2つ。まずGPUの上には分厚い胴板がかぶせられ、熱を効率よくヒートパイプに伝達する仕組みである点。そしてメモリスロットの周囲にある謎の鉄板の下とNVMe SSDを接触(しっかり熱伝導シートも使っている)させることで、SSDの放熱もしっかり考えている点だ。
無線LANは802.11ac準拠の「Intel Dual Band Wireless-AC 3168」。アンテナ線が2本なので867Mbpsの通信が可能だ。最近のBTO系格安ノートだと5GHz帯対応は追加料金というものが散見されるが、ゲーミングノートなら5GHz対応はあって当然というべきか。
搭載されているCPUやGPUの情報を「HWiNFO64」でチェック。ストレージはNVMe SSD+HDD、DDR4-2400メモリなど隙のない構成であることが示されている。
手前側にはステレオスピーカーを配置。サイズが小さいので音の薄さは否定できないが、定位感がよく、ファンが回っていてもしっかり聞こえるのは凄い。
サウンドプロセッシングを司るミドルウェア「Nahimic2」。バーチャルサラウンドを効かせるとステレオヘッドフォンでも立体音響が堪能できる。
キーボード右上のボタン類。一番左から冷却力を上げる“Cooler Boost”ボタン、独自設定ツール“Dragon Center”起動ボタン、そしてパワーボタンとなる。
Fn+F7キーを押せばDragon Centerを経由せずにShiftモードを直接切り替えられる。
キーボード右上の“G”ボタンを押すと起動する「Dragon Center」。様々な機能を持っているが、これはCPUやGPUの占有率やファン回転速度をチェックするためものもの。
Nahimic2のモードや画面の色温度(MSI's RGB)を1画面で切り替えるほか、CPUやGPUのパフォーマンスを切り替える「Shift」機能のインターフェースも兼ねている。ゲームで遊ぶ場合は「Sport」モードに切り替えておこう。

ベンチマークで基本的な性能をチェック、搭載ストレージは3.2GB/sとかなり高速

 それではGP62MVR 7RF Leopard Proの基本的なパフォーマンスをチェックしよう。まずはCPUの馬力を見るために「CINEBENCH R15」を使うが、3種類のShiftモード(Sport/Comfort/Eco)が性能にどう影響するかもチェックしてみたい。

CINEBENCH R15のスコア

 Ecoモードに設定するとCPUのクロックを1.37GHzが上限になるため、スコアも一気に下がる。ゲームというよりはバッテリの限界まで書類仕事をしたい時のモードといえるだろう。ただComfortとSportモードには目に見える差はなかった。

 続いては主にGPUのグラフィック性能をみる「3DMark」だ。GP62MVR 7RF Leopard Proの搭載液晶はフルHDなので、テストもフルHD環境を想定した“Fire Srtike”を使用する。

3DMarkのスコア

 このテストではSportとComfortモードの明確な違いが見られた。Comfortでもそこそこのスコアは出せるが、GTX 1060のパフォーマンスをキッチリ出すならSportモードを選ぶべきだろう。という訳でこの後のテストは全てSportモードで実施することとする。

 最後にSSDの読み書き性能を「CrystalDiskMark」で計測してみた。

CrystalDiskMarkのテスト結果

 PCI-E Gen3 x4接続のM.2 SSDとして十分満足できるパフォーマンスを出している。容量が256GB(Cドライブは237GB)と大作ゲームを仕込むにはやや少なめな印象はあるが、ムービーなど大容量ファイルの読み書きは快適だ。

影Mod入りマイクラもバイオ7も快適に遊べる!実ゲームでパフォーマンスをテスト

 続いて実ゲームをベースにしたパフォーマンスを検証する。

 手始めに描画負荷の軽い「ファンタシースターオンライン2(PSO2)」の公式ベンチを使用した。画質は一番高い“6”、解像度はフルHDに設定している。スクリーンショット左上に「Fraps」のフレームレートカウンターを表示しているので参考にして欲しい(以下共通)。

「PSO2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」のスコア。最高画質&フルHDでも快適動作のお墨付きだ。
PSO2のベンチマーク行程の中でも重くなるシーンがここ。重いシーンでも90fps台を割っていない。
敵がワラワラっと出てくるシーンでもフレームレートは120fps前後で超安定。GP62MVRの液晶のリフレッシュレートは60Hzなので、かなり余裕がある数値だ。

 続いては「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド(FF14)」公式ベンチを使用する。画質設定はDirectX11の“最高品質”、解像度はフルHDに設定した。

「FF14:蒼天のイシュガルド」公式ベンチのスコア。最高品質でも“非常に快適”の評価を得た。テスト全体の平均フレームレートは85.35fpsと非常に余裕がある。
描画オブジェクトの多いシーンでも70~80fpsあたりで安定している。時々60fps台に落ち込む程度。
多数のエフェクトが飛び交う状況だと60fpsを割り込むことはあるが、すぐ持ち直す。また、50fpsを下回ることはなかった。

 次はちょっと目先を変えて「Minecraft(JAR版)」も試してみた。Mod類を一切入れないヴァニラ状態と、影Mod……ここではOptiFine+Sonic Ether's Unbelievable Shaders(設定は“High”)+Chromahill's Resource Packを指す……を組み込んだ状態の2通りで検証してみた。マップは非常に多くのブロックが表示される“Amplified”で作成し、表示範囲などの設定はデフォルトのままにしている。

ヴァニラ状態だとフルHDのフルスクリーン表示でも600fpsを超える。
影Modを入れた状態では、マップ読み込み直後に重くなるが、すぐに80fps付近で安定するようになる。
上空に上がり、影や水面効果が多くなると60fps近くまで下がるが、十分快適に遊べるパフォーマンスが出せているといえるだろう。
ゲーミングノートで影Mod入りのMinecraftを快適に遊ぶには、Minecraftを起動する際は毎回“高パフォーマンスNVIDIAプロセッサ”、すなわちGeForce GTX 1060を使うようNVIDIAコントロールパネルで設定しておこう。こうしておかないとCPU内蔵GPUで起動するため影Modでエラーが出る。

 さすがGeForce GTX 1060を搭載しているだけあって描画が軽めのゲームなら最高画質で存分に攻められる。では最新のグラフィックエンジンを使用した描き込み重めのゲームではどうだろうか?

 そこで直近の人気タイトルである「バイオハザード7 レジデント イービル」で試してみた。結論から先に言うと、画質設定を全て“オン”もしくは一番高くした設定(アンチエイリアスはFXAA+TAA)だと、VRAM使用量がGeForce GTX 1060のそれ(3GB)を超えてしまい、カクつきが酷くなる。そこで画質を少々落とす(グラフ中の“オススメ設定”)のがポイントだ。ここではゲーム開始間もなく入る廃屋内を歩き回った時のフレームレートを「Fraps」で測定している。

「バイオハザード7 レジデント イービル」のフレームレート
最高画質設定でもバイオハザード7は普通に動く。何もない場所ならおおよそ70~80fpsで安定するが……
突然フレームレートが急激に落ちるポイントがあるため、落ち込むタイミングで固まったように感じる。
そこでバイオハザード7をプレイするなら、とりあえずこの設定をたたき台にしてはどうだろうか。無駄に重いアンビエントオクルージョンや影の設定を削りつつ、画面の粗さ感を下げないようイメージクオリティーを“1”にするのがポイント。
オススメ設定にすれば、光や影が複雑に交叉し、オブジェクトの多いこういったシーンでもフレームレートは高めで安定する。
最高画質設定で強烈なカクつきが出る理由はバイオハザード7プレイ中のVRAM使用量を見ればわかる。最高画質時(左)は3GBを完全に使い切ってしまうが、オススメ設定なら2GB強に抑えられる。

 ゲーム検証の最後は先日リリースされたばかりの「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」だ。

 これは描き込みが多いためGeForce GTX 1060クラスのGPUでは画質は“中”程度に抑えておかないと非常に辛い(最高画質だと最低でもVRAMは6GBは必要になるため、GTX 1060 VRAM 6GBが搭載されているGSシリーズなどの上位モデルが欲しくなる)。ここでは内蔵ベンチマークモードを使用してフレームレートを計測した。

画質“中”設定での「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」のベンチマーク結果
中設定の場合、オブジェが多くなると短時間ではあるが60fpsを割る。少々カクつく感触はあるが短時間で60fps以上に戻る。
草木の茂る負荷の高そうなシーンでもほぼ60fpsはキープできる性能を発揮。

冷却能力が最大になる「Cooler Boost」機能は高負荷ゲームに有効、クーラーの性能をテスト

 これだけのパフォーマンスを薄型ボディーに詰め込んでいるだけに、冷却が間に合うのか知りたいところだろう。

 そこで最後に検証したTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsをおよそ20分プレイした時のCPUおよびGPU温度、および両クロックを「HWiNFO64」で追跡してみた。CPU温度はコアではなくパッケージ温度(Tcase)を比較している。さらに冷却能力が最大となる「Cooler Boost」をオン・オフの2通りで計測することで、冷却力の違いも検証する。

ゲーム起動~ゲームプレイ中のCPUおよびGPU温度推移
ゲーム起動~ゲームプレイ中のCPUおよびGPUクロックの推移
温度推移計測時のHWiNFO64のセンサー情報。物理コア4基全てが96℃以上に到達し、全コアがテスト期間中サーマルスロットリングに入ったことが示されている。

 まずここでプレイした最新ゲームだけにCPU占有率もCore i7全体で6割~8割と高い。GPUはほぼ10割の力で動いているので、冷却性能を試すには格好のテストといえる。

 まず温度推移をみると、ヒートパイプの数がCPUより1本多いGPUの方が低めになっている。特にGPUはCooler Boostを効かせることで3~4℃下がることが確認できた。

 しかし、CPUはCooler Boostを効かせても温度に大きな違いは見られない。今回の検証ではどのコアもサーマルスロットリングに突入しており、特にテスト後半にクロックがダレてしまっているのがわかる。

 ただクロックの推移をチェックすると、Cooler Boost有効下ではCPUクロックの落ちかたが少ない(つまり、サーマルスロットリングの時間が相対的に短い)ことから、Cooler Boostは重いゲームを遊ぶ際には非常に有効な機能といえる。

 ただし、Cooler Boostは効かせるとアイドル時でもファンが全力で回転するため、常用という訳にはいかない。次のグラフは騒音計「AR815」のマイク先端部をパームレストの手間端、上空約10cmに置いた時のものだ。高負荷時とは前述のGRWプレイ約20分後、GRWを終了させアイドル状態に戻して15分後をアイドル時としている。

ファンノイズ

 Cooler Boostを有効にした場合、冷却能力は向上するものの、ファンノイズがかなり大きくなるため、内蔵スピーカーで音を楽しめるとは言いがたい状態になる。Cooler Boostを使用する際は、密閉性の高いヘッドフォンと併用するなど、サウンド環境を工夫をするとよいだろう。

設定を詰めれば最新ゲームも快適、キータッチの良さにもこだわりたいユーザーへ

公式スペックにバッテリ持続時間の記述はないが、画面輝度50%固定、無線LANで主要サイト巡回+キーストローク有り設定にした「bbench」でバッテリ動作時間を計測したところ、約2.5時間という結果が出た。長いとはいえないが6セルバッテリならこの程度だろう。
このノートPCは「レビュー後はパソコンショップ アークでデモされる予定」(MSI)だそう。試してみたいなら同店で確認してみるのもよさそうだ

 GP62MVR 7RF Leopard Proを暫く使って感じたのは、比較的軽めのゲームにおいてはパフォーマンスを出しやすく、キーボードの感触の良さも好印象なゲーミングノートであるということだ。

 Core i7-7700HQとGeForce GTX 1060(3GB)を搭載することで、ミドルクラスのデスクトップ型ゲーミングPCと比較しても遜色ない性能を持っているといえ、バイオハザード7のような最新ゲームでも、VRAM使用量に気をつければ快適に遊べる性能なのは◎だ。

 ゲーミングデバイスはRGB LEDが流行なので、キーボードのバックライトがホワイトのみなのは好みが分れるかもしれないが、軽いタッチでタイピングする筆者にとっては肩への負担も少なく非常に快適だった。

 一方、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのような超高負荷なゲームでは、冷却力に制約のあるノートPCの弱点を強く意識せざるを得ない場面もあったが、そうした場面では、ノートPC用冷却台などを併用することでさらに上の快適性を追求できるだろう。

[制作協力:MSI]

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