借りてみたらこうだった!
静音仕様で高効率なFSP製電源「HG850」をテスト、ロゴの色が変えられるステッカーも付属
80 PLUS GOLD認証の850Wモデル、フルプラグイン仕様 text by 長畑利博
2017年8月7日 00:01
オウルテックの販売するFPSブランド電源「Hydro Gシリーズ」。試用する機会を得たので、使い勝手などを簡単にチェックしていきたい。
「Hydro Gシリーズ」は80 PLUS GOLD認証を取得したATX電源で、PCゲーマー向けとされている。ラインナップは容量別に650WのHG650、750WのHG750、850WのHG850の3種類。5年間の新品交換保証が用意されている点もポイントだ。
今回はその中からハイエンド環境などにも適した最大容量の850Wモデル「HG850」を紹介しよう。
手堅いデザインのフルプラグイン電源、交換ステッカーでロゴマークは好みの色に
まずは外観からチェックしてみよう。
本体の大きさは幅150×奥行き170×高さ86mm。ラインナップ3種類とも外寸サイズは同一となっている。奥行きは170mmは最近の電源としてはやや大きめだが、容量850Wなどの大容量モデルとしては標準的と言っていいサイズ。
また、本体のコネクタ側にデザインとしてグレーのラインが入っているのもおしゃれだ。
本製品には本体側面のロゴ部分に貼るためのステッカーが用意されている。ゲーミングPCでは、PCの中身が見えるようにケースのサイドパネルに透明なアクリルパネルを使用することがある。電源の本体側面は以外と目立つのでステッカーを貼るという発想ははなかなか面白い。
なお、本製品はゲームPC向けとはなっているものの、ファンやロゴ部分にLEDなどの光り物は仕込まれておらず、実用本位な作りとなっている。
付属ケーブルは配線しやすいフラットケーブルで統一
v
ケーブルは必要なものだけを取り付けることができるプラグインタイプ。
本体側に用意されているケーブル取り付け用のコネクタはATX×1、EPS×1、PCI-Express×3、SerialATA×4が用意されている。このコネクタに次に列挙する各種ケーブルを取り付けていく。利用可能なコネクタ数はケーブルの組み合わせによって変わってくる。
付属するケーブルは、ATX(20+4ピン)×1本、EPS(4+4ピン)×1本、PCI-Express(6+2ピン)×3本、SATA×4個付きケーブルが1本、SATA×2個とペリフェラル2個付きケーブルが2本、SATA×2個とペリフェラル1個、FDD4ピン1個付きケーブルが2本という内容になっている。
4系統のPCI-Express補助電源が同時に利用できるため、マルチGPU環境の構築可能。各ケーブルの長さはATX24ピンケーブルでは600mm、SATAでは多少の差はあるが約1mほどの長さになっている。
付属ケーブルは全てフラットタイプ。曲げやすく配線がしやすいことから作業性を重視する人には人気がある。また、プラグインタイプのケーブルは必要な物だけを使用可能なことから、配線作業を行いやすく、エアフローの確保もしやすい点がメリット。ケーブル接続コネクタ部分の大きさは1cmほどで、ケーブルを曲げるスペースも考慮すると、PCケースの電源搭載部分は電源本体の奥行き170mm + 20~30mmの幅があれば十分だ。
コンデンサは日本メーカー製を採用、ファンは大口径135mm
それでは内部を開けて構造をチェックしてみよう。記事では分解しているが、個人での電源分解はメーカーの保証が無くなるので注意したい。
内部はメーカーのうたい文句通り、日本メーカー製の電解コンデンサが一次側、二次側共に採用に採用されている。いずれも温度耐性の高い105℃対応品だ。短絡保護回路(SCP)、過電圧保護回路(UVP)、過温度保護回路(OTP)、過電流保護回路(OCP)、低電圧保護回路(UVP)、過負荷保護回路(OPP)といった各種保護技術が搭載されている。
冷却ファンは135mmという大口径サイズ。ファンの回転は周辺温度によって回転速度が変わる。Hydro Gシリーズの場合、30%以下の低負荷状態ではファンが完全に停止する準ファンレス仕様になっている。ファンは軸の部分に流体動圧軸受を採用しており、動作時でもファンノイズは少ない。
電源ユニットのスペック表にはそれぞれの電圧ごとに出力できる数値の最大値が記載されている。
PCパーツでもっとも使用される+12V出力で、電源をチェックするときに最も重視される。今回紹介しているHG850では+12V出力は1系統にまとまっており、となっている。電力に換算すると12V×70.83Aで849.96Wまでの最大出力を持つ。500W以上の電源が推奨されるGeForce GTX 1080も十分に動かせる。
HG850の実力をテスト、高効率と優れた静音性を発揮
最後にベンチマークテストを行って性能をチェックしてみた。
出力電圧変動テストでは、マザーボードのATX24ピン、EPS12V、PCI Express 6ピンの各コネクタに三和電気計器製のデジタルマルチメータリスト「PC20」を装着。+12Vの電圧変化を計測している。
システム負荷をかけるソフトに関しては電力変化の大きなビデオカード側に負荷がかかるようにベンチマークソフト3DMarkを利用した。バッチプログラムを使用し、Fire Strike Ultra、SkyDiverなどの各種テストを連続して動かしている。
静音性についてはサウンドレベルメーター「SL-1370」を電源のファン上方15cmの位置に置き測定、消費電力については詳細な測定の行なえる「Watts Up? PRO power meter」を利用し、起動からベンチマーク負荷時、ベンチマーク終了10分放置後までの最大、最小の数値を記載している。
・テスト環境
CPU:IntelCore i7-4770K (3.90 GHz)
マザーボード:ASUS H97-PRO(Intel H97)
ビデオカード:STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
メモリ:TEAM TED-316G1600C11DC-AS PC3-12800(DDR3-1,600MHz DDR3 SDRAM 8GB×2)
SSD:Intel SSD 330(250GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit版
暗騒音:33.6db(A)
室温:28℃
無負荷時の電圧は12.4V前後とやや高め。赤いラインのATX24ピンと青いラインのPCI EXpress 8ピンについてはベンチマークテストによる負荷で11.8程度に低下している。それでもATXの規格内に収まっており十分な安定性を有している。
ベンチマーク時の消費電力については低負荷時37.8W、高負荷時は231Wという結果になった。80 PLUS GOLD認証モデルの名に恥じない効率のよい製品に仕上がっている。準ファンレスモデルであるため、低負荷時はファンが回らないことから無音だ。高負荷時のファンが動作している状態でも35.5dBと静か。ケース内に納めた場合はほぼ音が消えてしまうレベルになっている。
静音性にも優れた使い勝手の良いATX電源
全体を通してみるとケーブル取り回しや拡張性、そして動作時の音の静かさなどユーザーの使い勝手をよく考えた製品に仕上がっている。ロゴステッカーを張り替えることで、見た目に変化を加えられる遊び心も嬉しい。
また、個人的には入手性の高さも推したい要素。筆者は一時的に地方暮らしをしているが、わりと困るのが緊急時の機材の調達。秋葉原と違って地方の電気店の場合は自作PC向けパーツ類は種類も少ない。とくに電源ユニットはあまり置いてあるところが少ない。そんな中でもオウルテック製品は大型電気店でも取り扱いされていることが多い。店頭で買いたいと思ったときにわりと入手しやすいのはとても助かっている。
[制作協力:FSP]
バックナンバー
- 借りてみたらこうだった!バックナンバー
- http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/mreview/rental/