借りてみたらこうだった!

お手軽OCで初心者も安心!MSIのCoffee Lake-Sマザー「Z370 GAMING PRO CARBON AC」をチェック

M.2 SSDもしっかり冷却、スマホアプリでLED制御もOK

MSI Z370 GAMING PRO CARBON AC

 第8世代CoreプロセッサーであるCoffee Lake-Sは、Intelメインストリーム向けCPUとして初めて6コア製品が用意され、前世代から大きく向上した性能とコストパフォーマンスで注目を集めている。

 今回、そのCoffee Lake-Sの利用に必須となるIntel Z370 チップセット搭載マザーボードのひとつ、「MSI Z370 GAMING PRO CARBON AC」を借用した。最新世代のミドルレンジマザーボードがどのような機能を備えているのかチェックしてみよう。

Coffee Lake対応のミドルレンジ・ゲーミングマザーボード

 MSI Z370 GAMING PRO CARBON ACは、MSIのミドルレンジ・ゲーミングブランド「Performance GAMING」に属するマザーボードだ。フォームファクタはATXで、基板サイズは304×243mm。

 マットブラックの基板とカーボン調の装飾による黒を基本色とした落ち着きのあるカラーリングを採用し、各部に配置されたRGB LED「Mystic Light」によるイルミネーションによってユーザー好みのアクセントカラーを加えることができる。また、Mystic Light Syncに対応したRGB LED対応デバイスのイルミネーション機能との連携も可能。「魅せるPC」に適したデザイン性の高いマザーボードだ。

基板表面
基板裏面
バックパネルインターフェイス
各部にイルミネーション用RGB LED「Mystic Light」を装備
イルミネーション機能の管理アプリ「Mystic Light」で、発光パターンやカラーを変更できる
AndroidやiOS向けのMystic Lightアプリを用いれば、モバイル端末からマザーボードや接続機器のRGB LEDを制御可能

 Intel Z370 チップセットを搭載したこのマザーボードの対応CPUはCoffee Lake-Sのみとなっている。CPUソケットのLGA1151はKaby LakeやSkylakeで採用されたものと同じ形状だが、電気的な互換性がないためCoffee Lake-S以外のCPUを搭載しても動作しない。

 4本のDDR4メモリスロットは、金属補強と接点増加による強化仕様の「DDR4 Steel Armor」を採用。また、メモリとCPU間はMSIが独自に最適化した配線設計「DDR4 Boost」に基づいており、オーバークロックメモリを用いればDDR4-4000以上での動作に対応する。

CPUソケットのLGA1151
DDR4 Steel Armor採用のDDR4メモリスロット
DDR4 Steel Armorの金属補強は物理的な損傷とEMIシールドとしての役割も果たす

 ストレージ用インターフェイスには、M.2スロット×2本、SATA 6Gbps×6基を装備。2本のM.2スロットはいずれもPCI Express 3.0 x4とSATA 6Gbpsでの接続をサポートしているが、M.2スロットに接続した機器によってはいくつかのSATAポートが無効となる。

 2本のM.2スロットのうち、CPUソケットに近い側のスロットはM.2 SSD冷却用の「M.2 Shield」を装備している。これは、ヒートスプレッダ非搭載SSDの温度上昇を抑制し、サーマルスロットリングによる性能低下を防ぐためのものだ。なお、ヒートスプレッダを標準装備するSSDは、M.2 Shieldをスロットから取り外せば搭載できる。

「M.2 Shield」装備のM.2スロット(M2_1)。42/60/80/110mm長のKye M対応デバイスを搭載可能
M.2 ShieldはSSD冷却用の放熱板であり、熱伝導シートが貼付されている
ヒートシンク付きSSDはM.2 Shieldを取り外すことで取り付け可能
CPUソケットから遠いM.2スロット(M2_2)。42/60/80mm長のKye M対応デバイスを搭載可能
SATA 6Gbpsポート
M.2スロットとSATAポートの同時利用可能な組み合わせ

 拡張スロットはPCI Express x16スロット×3本、PCI Express x1スロット×3本という構成で、いずれもPCI Express 3.0に対応。CPUに直結されたPCI Express x16スロットは強化仕様の「PCI-E Steel Armor」となっており、「x16+x0」または「x8+x8」で動作する。CPUソケットから最も遠いPCI Express x16スロットは最大「x4」動作で、Intel Z370 チップセットに接続する。

拡張スロット。「PCI-E Steel Armor」仕様のスロットはCPU内蔵のPCI Expressコントローラと接続している
「PCI-E Steal Armor」は、樹脂スロットの補強とはんだ付け箇所の増加により、スロットの変形や破損を防止する

 基板上のコンポーネントはMSI独自の品質規格「ミリタリークラス5」に準拠しており、高品質・長寿命な日本製コンデンサ「DARK CAP」をはじめ、長期にわたって安定した動作が期待できる部品実装となっている。

 サウンド周りの設計はMSI独自の「Audio Boost 4」に準拠。S/N比120dBのオーディオコーデック「Realtek ALC1220」を搭載した他、サウンド回路を他の回路から分離し、さらに左右のチャネルを別の層に分離する設計や、日本ケミコン製のオーディオコンデンサを採用した。また、音響強化技術の「Nahimic 2」も備えている。

 バックパネルインターフェイスのUSB 3.1 Gen2用コントローラには、ASMediaの「Lightning USB」コントローラASM3142を採用。コントローラとチップセット間をPCI Express 3.0 x2 (2GB/sec)で接続するASM3142は、転送速度が10Gbpsに達するUSB 3.1 Gen2の性能をフルに発揮できる他、2台以上のUSB 3.1 Gen2対応デバイスを同時に使用しても、それぞれに1Gbpsの帯域を割り当てることができる。

 ネットワークコントローラには、Gigabit LAN対応のIntel 219-Vを搭載しているほか、無線LANカードが付属する。無線LANカードには「Intel Dual Band Wireless-AC 8265」が搭載されており、IEEE 802.11a/b/g/n/acとBluetooth 4.2をサポートする。

高品質・長寿命な日本製コンデンサ「DARK CAP」
Audio Boost 4準拠のサウンド回路を搭載
USB 3.1 Gen2対応の「ASMedia ASM3142」
LANコントローラ「Intel I219-V」
IEEE 802.11acとBluetooth 4.2対応の無線LAN拡張カードが付属する
無線LAN拡張カードに搭載されている「Intel Dual Band Wireless-AC 8265」

お手軽オーバークロック機能「Game Boost」を試す

 Intel Z370 チップセットはCore i7-8700Kのような「Kモデル」のオーバークロックに対応しており、同チップセットを搭載するMSI Z370 GAMING PRO CARBON ACのオーバークロック機能も充実している。十分な知識があれば、Coffee Lakeを大幅にオーバークロックして常用することも可能だろう。

UEFI上のオーバークロック関連メニューは充実しており、知識があれば本格的なオーバークロックを楽しめる。
CPUへの電力供給用のVRMは8+2フェーズの構成に大型ヒートシンクを装備。オーバークロックの消費電力増加に耐えられる余裕のある設計だ。

 本格的なオーバークロックをサポートする一方で、MSI Z370 GAMING PRO CARBON ACにはMSI独自のチューニングを簡単に適用する「Game Boost」という機能がある。UEFI上のGAME BOOSTボタン、または「COMMAND CENTER」や「GAMING APP」と言ったユーティリティソフトから利用できる。

 今回はこのお手軽なオーバークロック機能で、Coffee Lakeのパフォーマンスがどの程度向上するのかチェックしてみよう。

UEFIの「GAMING BOOST」ボタン(左上)。ボタンをクリックして「ON」にした後、設定を保存して再起動すると設定が反映される。
MSI COMMAND CENTERのGAMING BOOSTボタン。ONにした後設定を有効化するには1度再起動は必要となる。
GAMING APPの動作モード切替スイッチ。「OCモード」を選ぶとGAME BOOSTと同等の設定が適用される。有効化に1度再起動が必要なのはCOMMAND CENTERと同じ。

 Core i7-8700Kを搭載して「Game Boost」を実行した結果、CPUの最大動作クロックが4.7GHzから4.8GHzに引き上げられた。COMMAND CENTERでCPUの動作設定を確認してみると、使用コア数毎のTurbo Boost時CPU倍率が1ずつ引き上げられていることが確認できる。

定格動作中のCore i7-8700KのCPU倍率
Game Boost適用時のCPU倍率。定格動作より1ずつ高い倍率が設定されいる。

 Game Boostの効果をベンチマークテストでチェックしたところ、CINEBENCH R15ではCPUのマルチスレッド性能が約2.9%、シングルスレッド性能は約6.2%の向上が確認できた。また、VRゲームのベンチマークテストであるVRMarkの「Orange Room」では、平均フレームレートが244.51fpsから247.50fpsへ約3fps向上している。

CINEBENCH R15の実行結果
VRMark Orange Roomの実行結果

 劇的にパフォーマンスが向上したという訳ではないが、おまかせ設定で簡単に適用できるオーバークロックの結果としては上々の結果と言えるだろう。VRゲームや高リフレッシュレートモニターを使用する環境など、高フレームレートでゲームをプレイするユーザーには、簡単な操作でCPU性能を底上げできる「Game Boost」は有効な機能となるはずだ。

【テスト環境】

CPU:Intel Core i7-8700K
マザーボード:MSI Z370 GAMING M5
メモリ:DDR4-3200 8GB×2
ビデオカード:GeForce GTX 1080 Founders Edition
ストレージ:Intel SSD 600p 256GB
電源:玄人志向 KRPW-TI700W/94+(700W/80PLUS TITANIUM)
OS:日本マイクロソフト Windows 10 Pro(64bit)
CPUクーラー:サイズ 風魔
室温 28℃

サーマルスロットリングを抑制するM.2 Shieldの効果をチェック

 先の機能紹介でも触れたとおり、MSI Z370 GAMING PRO CARBON ACが備えるM.2スロットの一つにはSSD冷却用のM.2 Shieldが装備されている。今回はその効果のほどをチェックしてみた。

 テストに用いたSSDはIntel SSD 600p シリーズの256GBモデル。NVMeに対応したPCI Express 3.0 x4接続のSSDで、ヒートスプレッダは搭載していない。このSSDでCrystalDiskMarkを実行した結果が以下のスクリーンショットだ。

M.2 Shieldを使わない場合のCrystalDiskMark実行結果
M.2 Shield使用時のCrystalDiskMark実行結果

 2つの結果を比較すると、特に「Seq Q32T1」のライトテスト以降に実行される「4K Q32T1」、「Seq」、「4K」のライトにおいて、M.2 Shield使用時の方が明らかに高速な結果となった。

 この速度差の原因は、テスト実行中のストレージ温度のモニタリング結果を見ると一目瞭然だ。M.2 Shieldを使わない場合、ベンチマーク中にIntel SSD 600pの最大動作温度である70℃に達してサーマルスロットリングが作動しているのに対し、M.2 Shield使用時は最大でも56℃に抑えられており、サーマルスロットリングによる速度低下が発生していないのだ。

M.2 Shieldを使わない場合。SSD温度が最大動作温度の70℃に達すると転送レートが低下していることが確認できる
M.2 Shield使用時。SSDの動作温度は最大でも56℃に抑えられ、転送レートの低下もみられない。

 M.2 ShieldはSSDの温度上昇を有意に抑制し、サーマルスロットリングによる性能低下を防いでいる。ヒートスプレッダ非搭載のM.2 SSDを利用するなら、ぜひとも利用すべき機能であると言えるだろう。

幅広いユーザーにおすすめのミドルレンジモデル

 MSI Z370 GAMING PRO CARBON ACは、「Performance GAMING」ブランドに属するミドルレンジ・ゲーミングモデルという位置づけの製品ではあるが、派手過ぎない見た目と充実した機能を兼ね備えていることから、ゲーマーのみならず幅広いユーザーにお勧めできるマザーボードだ。

 Coffe Lake-SのKモデルやCore i5以上のCPUと組み合わせるのに好適であり、ミドルレンジ以上のGPUと組み合わせたゲーミングPC、あるいは常用オーバークロックマシンの構築にピッタリのマザーボードだ。もちろん、RGB LEDのMystic Lightを活用した魅せるPCの構築も楽しめる。

 Coffee Lake-Sでの自作を検討しているユーザー。特に、長く楽しく使えるPCの構築を考えているなら、MSI Z370 GAMING PRO CARBON ACは注目すべき一枚であると言えるだろう。

[制作協力:MSI]