借りてみたらこうだった!

ゲーム向けの高品質Mini-ITXマザー「Z170I GAMING PRO AC」を試す

MSIのZ170搭載モデル、小型のゲーミングPC構築に好適な1枚 text by 坂本はじめ

MSI Z170I GAMING PRO AC

 今回紹介するのは、Intel Z170 チップセットを搭載したMSI製のMini-ITXマザーボード「Z170I GAMING PRO AC」だ。

 店頭価格(税込)2.6万円で購入できるLGA1151対応のMini-ITXマザーボードをチェックしてみよう。

ゲーミング仕様のLANやサウンドを備えるSkylake対応のMini-ITXマザーボード

MSI Z170I GAMING PRO AC基板表面。
基板裏面。

 MSI Z170I GAMING PRO ACは、LGA1151対応の第6世代Core プロセッサ(Skylake-S)をサポートするMini-ITXマザーボード。実装されたパーツを黒と赤のツートンカラーで統一することで、見栄えも意識してデザインされている。

 LGA1151ソケットを備え、TDP 91WのKモデルを含め、Skylake-S世代のIntel CoreとPentiumに対応。2本のDDR4メモリスロットを備え、最大で32GB(16GB×2)の容量と、DDR4-4200までメモリクロックをサポートする。拡張スロットはPCI Express 3.0 x16スロットを1基。

 ストレージ用のインターフェースには、Intel Z170 チップセット提供のSATA 6Gbpsを4基備える他、SATA 6Gbps 2基と物理的にポートを共有するSATA Express 16Gbpsを1基、基板裏面に32Gbps M.2(42/60mm対応、80mmは非対応)を1基備える。

バックパネルインターフェース。
LGA1151ソケット。最上位モデルのIntel Core i7-6700Kを含め、Skylake-S世代のCPUを搭載可能。
2基のDDR4メモリスロット。最大で32GBのメモリ容量とDDR4-4200までのメモリクロックをサポート。
拡張スロットのPCI Express 3.0 x16スロット。
SATA 6GbpsとSATA Express。SATA ExpressはSATA 6Gbps2基と端子を共有している。
基板裏面のM.2スロット。PCI Express 3.0 x4(32Gbps)で接続されており、42mmと60mmのM.2カードを搭載可能。

 製品名に含まれた「GAMING」の文字が示す通り、MSI Z170I GAMING PRO ACはPCゲーミング向けのマザーボード。実装面積の限られたMini-ITXフォームファクターながら、オーディオ回路の分離設計を採用し、日本ケミコンのオーディオ向けコンデンサを搭載。また、バックパネルインターフェースに、USBオーディオ接続用に電圧の品質を強化した専用のUSBポート「MSI USB Audio Power PRO」を備えている。

オンボードオーディオ用のオーディオ回路は、回路分離設計と日本ケミコン製のオーディオ用コンデンサを採用。
バックパネルインターフェースの「MSI USB Audio Power PRO」。USBオーディオ機器向けに安定した電圧を供給できるUSB2.0ポート。金メッキを施している。
オーディオコーデックはRealtek ALC1150。EMI対策のシールドを備えており、チップそのものを確認することはできない。
LANコントローラはIntel i219-V。GAMING LANと記されたEMIシールドを備えている。
基板表面のM.2スロットにIntel Dual Band Wireless-AC 8260(8260NGW)を搭載医。Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz、5GHz、最大867Mbps対応)と、Bluetooth 4.2をサポート。

Mini-ITXながらオーバークロックも可能

 Intel Z170 チップセットは、Intel 100 シリーズチップセットで唯一オーバークロックをサポートしたチップセット。同チップセットを搭載したZ170I GAMING PRO ACは、Mini-ITXマザーボードながら、CPUとメモリのオーバークロックが可能だ。

VRMは5フェーズ。放熱用にアルミニウム製ヒートシンクを搭載しており、空水冷で常用可能な程度のオーバークロックであれば耐えられそうだ。
CPU用の電源供給コネクタには、4ピンのATX12Vより許容電流の大きな8ピンのEPS12Vを採用している。
CPU電圧は設定値に固定するManual Modeの他、標準電圧に設定した値を加減算するOffset Mode、定格クロックを超えた時のみ設定した電圧を適用するAdaptive Modeに対応。

 オーバークロック設定が可能であることと、実際に運用できるかどうかは別問題だが、Z170I GAMING PRO ACは5フェーズのVRMを備えており、Intel Core i7-6700Kなどを常用可能な範囲でオーバークロックする程度であれば、対応できるだけの品質は備えている。

 試しに、4コア8スレッドCPUのIntel Core i7-6700Kを定格の4.0GHzから4.4GHzまでオーバークロックしてみた。CPU電圧は定格動作のまま据え置いたが、安定した動作が得られた。

 Mini-ITXマザーボードの魅力であるコンパクトさを生かしたPCを自作するためには、利用できるCPUクーラーの大きさが限られてくる。このため、あまりに発熱が増加する大幅なオーバークロックは難しいが、今回のような10%程度のオーバークロックなら、Mini-ITXの魅力を損ねることなく実現できそうだ。

Intel Core i7-6700Kを4.4GHzまでオーバークロックしたところ。
4.4GHzでCINEBENCH R15を実行した際の温度(Intel純正クーラー「TS15A」を使用)
CINEBENCH R15の実行結果。左が定格、右がオーバークロック(4.4GHz)時のスコア。しっかりスコアが向上していることを確認できる。

高性能なコンパクトマシンの構築に好適なMini-ITXマザーボード

ショートタイプの小型ビデオカードと組み合わせて使用するのもお勧めだ。

 高品位なオーディオ回路を備え、オーバークロックにも対応するZ170I GAMING PRO ACは、Mini-ITXフォームファクターの特徴を生かしたコンパクトなゲーミングPCの自作に適したマザーボードだ。

 ボードサイズの小さなミドルレンジGPUと組み合わせて小型化を追求してもよいし、近年増えつつある大型ビデオカードとATX電源に対応したMini-ITX専用ケースを使い、ハイエンドGPUとオーバークロックしたCPUを組み合わせた、超高性能なゲーミングPCを作ってみても面白そうだ。

[制作協力:MSI]

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