借りてみたらこうだった!

GIGABYTEのAPU向け高品質マザー「GA-F2A88X-UP4」をテスト

GIGABYTE GA-F2A88X-UP4

 どーも、こんにちは。師走の忙しさにかまけて、提督業が疎かになっている瀬文茶です。

 今回お借りしたのは、AMD A88Xチップセットを搭載したGIGABYTE製のATXマザーボード「GA-F2A88X-UP4」です。新プラットフォームであるSocket FM2+対応製品として登場した新マザーボードの魅力を探ってみました。

Ultra Durable 5 Plus準拠のSocket FM2+マザーボード

 今回紹介するGA-F2A88X-UP4は、AMD A88Xチップセットを搭載するSocket FM2+対応マザーボードです。現時点で対応しているAPUは、Socket FM2対応APUであるRichlandやTrinityですが、将来的に次世代APU「Kaveri」に対応することが予定されています。

バックパネルIO。USB3.0×4、USB2.0×2、eSATA×1、Gigabit LAN×1、PS2ポート×1、光デジタル出力×1、HDMI×1、DisplayPort×1、DVI-D×1、D-sub×1、オーディオ入出力。
拡張スロットのうち、最上段と2段目のPCI Express x16スロットはPCI Express 3.0に対応している。ただし、現行のSocket FM2製品ではPCI Express 2.0として動作する。
SATA 6Gbps対応ポートを7本装備。SATAポート付近には、POSTコード表示用LEDや、UEFI用のフラッシュが実装されている。
メモリスロットは扱いやすい両ラッチタイプを採用。
メモリスロット付近には電源スイッチ、リセットスイッチ、CMOSクリアスイッチを装備。ケースに収める前の動作確認で役立つギミックだ。
「Ultra Durable 5 Plus」構成要件のひとつ、「Ultra Cool」に基づく新設計のヒートシンク。肉厚のアルミを採用して性能を高めただけでなく、黒を基調とし、製品グレード毎のカラーでアクセントを加える。
ヒートシンクを取り外した電源回路周り。CPUソケット北側の2フェーズがGPU用、バックパネルIO側の6フェーズがCPU用。
1チップで60Aの出力が可能なドライバ内蔵MOSFET「IR3550M」。
6+2フェーズ用のデジタルPWMコントローラ「IR3567A」。

 GIGABYTEの製品説明において、GA-F2A88X-UP4は、次世代APU「Kaveri」向けに設計した製品であると説明されています。実際、拡張スロットのPCI Expressスロットが、PCI Express 3.0対応となっているなど、現行製品であるRichland、Trinityではサポートしていない機能が実装されています。

 また、GIGABYTEがIntel 8シリーズチップセット搭載するマザーボードで採用した独自の品質規格「Ultra Durable 5 Plus」に準拠していることも、GA-F2A88X-UP4の特徴です。AMD対応マザーボードを選ぶ際、電源周りの作りが気になる筆者としては、International Rectifier社のMOSFETとPWMコントローラを採用した6+2フェーズデジタル電源回路と、肉厚のアルミを採用した重厚感のあるヒートシンクの採用は魅力的な感じです。


充実のディスプレイ出力 ~ デジタル出力のみでトリプルディスプレイが可能

 CPUにリッチなGPUを統合したAMDのAPU。それに対応するGA-F2A88X-UP4では、当然ながらディスプレイ出力用のポートが充実しており、バックパネル用IOにD-Sub、DVI-D、DisplayPort、HDMIの4種類のインターフェースを各一系統ずつ備えています。

ディスプレイ用の出力端子

各端子の最大解像度
・HDMI 1.4a … 1920×1200(FM2+ APU利用時は最大4096×2160)
・DisplayPort 1.2 … 4096×2160
・DVI-D … 2560×1600
・D-Sub … 1920×1200

 かつてのオンボードGPUマザーボードでは、複数のポートを備えていても、デジタル出力は排他利用でどれか一つしか利用できないという仕様がよくありましたが、GA-F2A88X-UP4では、HDMI、DVI-D、DisplayPortのデジタル出力3系統によるトリプルディスプレイが可能となっています。

DisplayPort、HDMI、DVI-Dによるトリプルディスプレイのスクリーンショット(リンク先は実寸台)。DisplayPortとDVI-Dは2560×1440ドット、HDMIのみ1920×1080ドットとなっている。

 トリプルディスプレイが可能な出力端子の組み合わせは、HDMI + DVI-D + DisplayPort、または、HDMI + DVI-D + D-sub。アナログ出力のD-Subを追加して4画面出力…とはいかないものの、ビデオカードの追加なしでトリプルディスプレイが構築できるのは、APU対応マザーボードならではの魅力ですね。


Intelのメモリプロファイル「XMP」にも対応

 メインメモリをビデオメモリとして利用するAPUの場合、メモリの動作クロックがAPU内蔵GPUの3Dパフォーマンスを大きく左右します。APUが備えるGPUが強力なだけに、Socket FM2+プラットフォームは、かつて無いほどメモリのスペックにこだわり甲斐のあるプラットフォームであると言えます。

 GA-F2A88X-UP4では、ハイクロックメモリが利用しやすいように、AMDが独自に策定したメモリプロファイル規格「AMP(AMD Memory Profile)」に加え、Intelが策定したメモリプロファイル規格「XMP(Extreme Memory Profile)」をサポートしています。AMD向けに最適化されたAMP対応メモリを使うのが理想的ではありますが、現実として世に出回っているハイクロックメモリの大半がXMP対応メモリであることを考えると、この対応はありがたいですね。

 実際に、XMPに対応するDDR3-2400メモリ「OCM2400CL11D-16GBN」を搭載してみたところ、UEFIメニューの「M.I.T.」から「Advanced Memory Setting」を開き、「Extreme Memory Profile(X.M.P.)」を「Disabled」から「Profile1」に切り替えるだけで、メモリクロックや電圧、メモリタイミングの設定が完了しました。

OCMEMORY OCM2400CL11D-16GBN。DDR3-2400動作の8GBメモリ2枚組。メモリタイミング11-13-13-31、動作電圧1.65V。
Extreme Memory Profile(X.M.P.)で読み込むプロファイルを選択するだけで、最適な設定がロードされる。
GPU-Zの実行画面。メモリクロックはDDR換算値前のクロックで表示されるため、DDR3-2400動作は約1,200MHzと表示される。

 APUのスペックを超えるオーバークロックメモリの場合、XMPを読み込んで設定できたからと言って、必ずしも動作するとは限りませんが、これだけ簡単にメモリの設定が行えるというのは手間が掛からなくて良いですね。

 参考までに、A10-6800KにDDR3-2400 CL11を組み合わせた場合と、DDR3-1600 CL11メモリを組み合わせた際のパフォーマンスを比較してみました。PSO2ベンチマークはビデオメモリの帯域幅がスコアに影響しやすいベンチマークテストであるため、DDR3-2400とDDR3-1600では6割近いスコア差がついています。ファイナルファンタジーXIVベンチマークでも3割程度の差がついているのが分かります。

PSO2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0
ファイナルファンタジーXIVベンチマーク:キャラクター編

・テスト使用機材
CPU AMD A10-6800K メモリ OCMEMORY OCM2400CL11D-16GBN OS Windows 8.1 Pro 64bit ドライババージョン AMD Catalyst 13.9


扱いやすく高品質なA88Xマザーボード。拡張性に期待するならAPU+ATXもあり?

 現在、GA-F2A88X-UP4の実売価格は14,000~15,000円程度となっており、現在までに発売されているGIGABYTE製A88Xチップセット搭載製品の中では最も高い価格となっています。

 比較高価なGA-F2A88X-UP4ではありますが、高性能なパーツを用いた電源回路を採用した他、電源スイッチやPOSTコードLEDなど、自作に役立つギミックをボード上に配置することで、扱いやすく高品質な製品に仕上がっています。

 多数の拡張スロットが利用できるという、ATXマザーボードならではの拡張性と、次世代APUへの対応が確約されている将来性が魅力のGA-F2A88X-UP4。後々パーツ構成のアップグレードを考えて自作をするなら、なかなか魅力的な製品と言えそうです。