借りてみたらこうだった!

GIGABYTEのGeForce GTX 750/750 Ti搭載カードをテスト

高ワットパフォーマンスな「Maxwell」世代モデル、HDMI×2による4K出力にも対応

 今回お借りしたのは、GeForce GTX 750搭載ビデオカード「GV-N750OC-1GI」と、GeForce GTX 750 Ti搭載ビデオカード「GV-N75TOC-2GI」。NVIDIA最新のGPUアーキテクチャ「Maxwell」世代のGPUを登載するGIGABYTE製のビデオカードです。

Maxwellアーキテクチャ採用のGeForce GTX 750/750 Ti

GV-N750OC-1GI(GTX 750)
GIGABYTE GV-N75TOC-2GI(GTX 750 Ti)

 GeForce GTX 750とGeForce GTX 750 Tiは、どちらもMaxwellアーキテクチャを初めて採用したGPUコア「GM107」ベースのGPUです。Keplerアーキテクチャの後継となるMaxwellアーキテクチャでは、CUDAコアなどを束ねたStreaming Multiprocessorの設計を見直し、コア自体の性能向上と、Kepler比で2倍という大幅な電力効率向上を実現したことを特徴としています。

 GM107コアは、既存のKeplerアーキテクチャ採用GPUと同じ28nmプロセスで製造されていますが、電力効率に優れるMaxwellアーキテクチャの採用により、下位モデルのGeForce GTX 750がTDP 55W、上位モデルのGeForce GTX 750 TiがTDP 60Wと、低発熱かつ低消費電力なGPUとなっています。NVIDIAのリファレンス仕様では、両GPUともPCI Expressスロットからの給電のみでの動作を実現しています。

 ただ、今回GIGABYTEよりお借りしたGV-N750OC-1GIとGV-N75TOC-2GIは、いずれもGPUクロックをリファレンス仕様より高めたオーバークロックモデルです。オーバークロックによる消費電力増加のためか、GV-N750OC-1GI、GV-N75TOC-2GIとも、動作には補助電源からの給電が必須となっています。


ビデオカードの仕様をチェック ~ HDMI2系統での4K@60Hz出力も可能

 さて、それでは今回お借りしたGV-N750OC-1GIとGV-N75TOC-2GIについてチェックしていきましょう。

 まずはGeForce GTX 750搭載のGV-N750OC-1GI。100mm径の大口径ファンを備えたGIGABYTEオリジナルのGPUクーラーを搭載するGV-N750OC-1GIは、GPUのベースクロックを1,020MHzから1,059MHz(+39MHz)、Boostクロックを1,085MHzから1,137MHz(+52MHz)までオーバークロックしています。搭載メモリは5GHz動作の1GB GDDR5メモリ。メモリの仕様はリファレンスモデルに準拠しています。

GV-N750OC-1GI
GeForce GTX 750を搭載した「GV-N750OC-1GI」
基板表面
基板裏面
100mm径ファン搭載のオリジナルGPUクーラー
ヒートシンクはアルミ製。ヒートパイプは備えていない
補助電源コネクタは6ピン×1
ディスプレイ出力端子。DVI-D×1、DVI-I×1、HDMI×2
VRAMはSAMSUNG K4G41325FC-HC03

 上位モデルのGeForce GTX 750 Tiを搭載したビデオカードがGV-N75TOC-2GI。2基のファンを備えるGIGABYTEオリジナルGPUクーラー「WINDFORCE 2X」を搭載し、GPUのベースクロックを1,020MHzから1,033MHz(+13MHz)、Boostクロックを1,085MHzから1,111MHz(+36MHz)までオーバークロックしています。搭載メモリは5.4GHz動作の2GB GDDR5メモリで、こちらもメモリの仕様はリファレンスモデル準拠となっています。

GV-N75TOC-2GI
GeForce GTX 750 Tiを搭載した「GV-N75TOC-2GI」
基板表面
基板裏面
2基のファンを備えるGIGABYTEオリジナルGPUクーラー「WINDFORCE 2X」
ヒートシンクはアルミ製のフィンと1本のヒートパイプを備えている
補助電源コネクタは6ピン×1
ディスプレイ出力端子。DVI-D×1、DVI-I×1、HDMI×2
VRAMはElpida W2032BBBG-60-F

 搭載GPUクーラーの仕様に違いはありますが、両製品とも基板のデザインはほぼ共通で、前述の通り6ピン1系統の補助電源コネクタがなければ動作しない仕様となっています。

 その他、両製品共通の仕様として、ディスプレイ出力端子として設けた2系統のHDMI端子を用いて、4K解像度(最大4096×2160ドット)かつ60Hzの出力が可能となっています。HDMI2系統での4,096×2160@60Hz出力には、接続するディスプレイ側の対応が必須となります。

4Kディスプレイ(3840×2160ドット)での動作例。HDMI1系統で画面の半分1920×2160ドットを60Hzで描画することで、3840×2160@60Hz出力を実現する。(※画像は製品発表会時のもの)


パフォーマンスと消費電力をチェック

 Maxwellアーキテクチャ採用GPUの性能は如何程のものなのか。「FINALFANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」で、両製品のパフォーマンスをチェックしてみました。参考までに、Intel Core i7-4770Kの内蔵GPU「Intel HD Graphics 4600」のスコアも掲載しています。

FINALFANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編

・ベンチマークテスト環境
CPU Intel Core i7-4770K マザーボード GIGABYTE GA-Z87X-OC メモリ G.SKILL F3-1600C9D-16GAB(DDR3-1600 8GB×2) OS Windows 8.1 Pro 64bit

 Intel HD Graphics 4600に4~5倍もの差をつけ、格の違いを見せつけた両製品のパフォーマンスは、標準品質(デスクトップPC)では最高評価の「非常に快適」に届き、最高品質設定でも上から2番目の「とても快適」との評価を獲得しています。これだけの性能があれば、フルHD解像度でも多くのゲームを楽しめそうです。

 なかなかのパフォーマンスを見せてくれたGeForce GTX 750/750 Tiですが、Maxwellアーキテクチャで向上したという電力効率はどうなのでしょう。ワットチェッカーを使って、ベンチマーク実行中の最大消費電力と、アイドル時の消費電力、軽いCPU負荷でGPUに高負荷を掛けるGPU-ZのRender Test実行時の消費電力を測定してみました。

 GeForce GTX 750とGeForce GTX 750 Tiの消費電力は最大でも10W程度と、両製品の消費電力にそれほど大きな差は見られませんでした。一方、純粋な消費電力で言えば、Intel HD Graphics 4600が最も低い結果となりました。特に大きな差がついたのはFINALFANTASY XIVベンチマーク実行時で、半分以下の消費電力となっています。

 ただし、FINALFANTASY XIVベンチマーク実行中の消費電力については、3DパフォーマンスでMaxwellベースの2製品に大きく劣るIntel HD Graphics 4600の場合、GPUがボトルネックとなってCPUの使用率が低いことが、消費電力の低さにつながっている面があります。GPU負荷が重い最高品質時より、GPU負荷の軽い標準品質時の方が高い消費電力となっていることが証左です。

 もっとも、最大でも2倍の消費電力で、ベンチマークスコアでは4~5倍もの差をつけている訳なので、ワットパフォーマンスでGeForce GTX 750/750 Tiが、Intel HD Graphics 4600を大きく上回っていることは間違いありません。


優れた静粛性と補助電源コネクタ有りの安心感がポイント

 今回行ったベンチマークテストの結果を見ると、フルHD解像度のディスプレイで時々ゲームを楽しみたいユーザーにはちょうど良いパフォーマンスを持った製品と言えそうです。

 GV-N750OC-1GIとGV-N75TOC-2GIは、いずれも補助電源の接続が必須なオーバークロック仕様となっているため、Maxwellアーキテクチャの省電力性や、リファレンスモデルの補助電源コネクタ不要という要素に期待される方には不向きですが、オリジナルGPUクーラー採用による優れた静粛性は魅力です。また、間違いなく少数派であると思われますが、筆者の場合、ビデオカードへの電力供給をマザーボードのPCI Expressスロットに完全依存する仕様より、補助電源コネクタが有った方が安心感があります。

 補助電源コネクタに安心感を感じられるかは個人の嗜好によりますが、静粛性はGV-N750OC-1GIとGV-N75TOC-2GIの大きな魅力です。どうしても補助電源コネクタがあってはならないという理由があるなら話は別ですが、そこまで強いられていないなら、補助電源コネクタがあるという理由で選択肢から外すのは惜しい製品です。