借りてみたらこうだった!
R.O.G.ブランドのA88X搭載マザー「CROSSBLADE RANGER」をテスト
ついに登場したSocket FM2+プラットフォーム向けのハイエンドモデル
2014年9月22日 12:00
待望のAPU向けR.O.G.シリーズ・マザーボード
ASUSがゲーマーとオーバークロッカー向けに展開しているR.O.G.(Republic of Gamers)ブランド。同ブランド初のAMD APU向けマザーボードとなるのが、今回お借りしたCROSSBLADE RANGER。R.O.G.シリーズ・マザーボードらしい赤黒のカラーリングが印象的ですね。
ASUSのSocket FM2+マザーボードには、A88X-PROという完成度の高いATXマザーボードが用意されていたのですが、CROSSBLADE RANGERはその上位に位置する製品として、DDR3-2666メモリへの対応や、サウンド回路の分離設計など、機能の強化が図られています。
また、オーバークロッカー向けの機能として、マザーボード上には電源、リセット、CMOSクリアなどの各種スイッチやPOSTコード表示用LEDに加え、液体窒素を用いた極冷オーバークロック時の動作を補助するLN2 Modeジャンパと、Slow Modeスイッチが実装されています。常用域を超えるオーバークロック動作を見据えて設計されたCROSSBLADE RANGERは、オーバークロッカー向けとしての指向が強い製品であるという印象を受けます。
スタンダード系製品には無い、R.O.G.シリーズ独自の機能をサポート
R.O.G.シリーズのマザーボードであるCROSSBLADE RANGERには、同じASUS製のスタンダード系マザーボードには無い機能が用意されています。その中で、筆者が特に気になった「ROG SSD Secure Erase」と「RAMDisk」を紹介します。
UEFIメニューに用意されたユニークな機能が、Toolタブから選択できる「ROG SSD Secure Erase」です。
長期間の使用でパフォーマンスの低下してしまったSSDのデータを完全消去することで、パフォーマンスの改善を図る機能です。Secure Erase対応SSDをUEFI経由で簡単にリフレッシュできる便利な機能なのですが、Secure Erase非対応のSSDで実行するとSSDが破損するリスクがあるとされているため、実行する際はSSDがSecure Eraseに対応していることを確認しておく必要があります。
なお、対応SSDに関しては、R.O.G.シリーズ・マザーボードの製品ページから、「Support」→「Memory/Device Support」に用意されたCompatibility Listを確認することが推奨されています。(記事執筆時点でCROSSBLADE RANGERのページには未掲載)
「RAMDisk」は、その名の通りメインメモリを利用したRAMディスクを作成する機能です。
複数のRAMディスクを作成可能な他、RAMディスクが未使用の領域をシステムが利用できるようにする「ダイナミックメモリアローケーション」と、システムが指定したフォルダを参照した際、RAMディスクにアクセスするよう誘導するジャンクション機能を備えています。なお、「RAMDisk」は、64bit版のWindowsでのみ利用可能です。
A10-7850Kを常用域でオーバークロックしてみた
オーバークロック向けの機能が充実しているCROSSBLADE RANGERで、Kaveri世代のAPUはどの程度オーバークロックできるのか。Kaveri最上位APU「A10-7850K」に、高性能な空冷CPUクーラーを搭載し、常用できそうなギリギリのラインまでオーバークロックしてみました。
試行錯誤の結果、負荷テストを実行しても安定して動作したAPUの設定は、CPUクロック4.55GHz、GPUクロック888MHzでした。この際、CPU電圧は1.45Vに昇圧。メモリは使用した製品のスペックに合わせ、DDR3-2666相当に設定してあります。
A10-7850Kの定格動作クロック(CPU 3.7-4.0GHz/GPU 720MHz/DDR3-2133)から随分オーバークロックできた訳ですが、果たしてそのパフォーマンスはどの程度のものなのか。いくつかベンチマークテストを実行してみました。
DDR3-2133からさらにメモリクロックが向上したことで、ファイナルファンタジーXIVやPSO2などの3D系のベンチマークテストでも、定格動作のA10-7850Kから大きくパフォーマンスを伸ばしています。
一方、消費電力はピーク時で30W以上も上昇しており、オーバークロック動作のデメリットである消費電力の増加も大きめです。もっとも、オーバークロック時でも消費電力が150W以下に収まっているあたり、APUの常用オーバークロックに高価な大容量電源を用意する必要は無さそうです。
Socket FM2+でパフォーマンスを極めるならこの一枚
ついに登場したAMD APU向けR.O.G.シリーズ・マザーボード、CROSSBLADE RANGERの販売価格は、税込み2万2千円程度になる見込みです。充実したオーバークロック機能が魅力ではありますが、他のAMD A88Xチップセット搭載マザーボードより1万円近く高い価格は、かなり使い手を選びそうです。
とは言え、安いSocket FM2+対応マザーボードの選択肢は沢山ある訳ですので、コストを抑えるために中途半端な設計になるぐらいなら、高価でもCROSSBLADE RANGERくらい尖っていた方が面白いでしょう。Socket FM2+で本格的にオーバークロックを楽しみたいユーザーにとって、唯一無二の選択肢とも言えるCROSSBLADE RANGER。我こそはという方はぜひ、CROSSBLADE RANGERでKaveriの限界にチャレンジしましょう。
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